L→R RONZI(Dr)、TOSHI-LOW(Vo&A.Gu)、KOHKI(A.Gu)、MARTIN(Vo&Violin&A.Gu)、KAKUEI(Percussion)、MAKOTO(Kontrabass)

L→R RONZI(Dr)、TOSHI-LOW(Vo&A.Gu)、KOHKI(A.Gu)、MARTIN(Vo&Violin&A.Gu)、KAKUEI(Percussion)、MAKOTO(Kontrabass)

【OAU インタビュー】
一曲一曲が次の段階へと
進んでいる作品になった

BRAHMANの4人とMARTIN(Vo&Vn&A.Gu)、そしてKAKUEI(Per)からなるOAUが2年半振りとなるフルアルバム『Tradition』を完成させた。本作が彼らの第2章の始まりに相応しい作品になったのは、バンドのコンセプトを大胆にアップデートしたからに他ならないが、今回はどんなチャレンジがあったのかをMARTINが語ってくれた。

90’s、80’sの音楽も今では
トラディションになっている

フルアルバムとしては5枚目となる『Tradition』もとても聴き応えがありました。ご自身ではどんな手応えを感じていますか?

前々作の『FOLLOW THE DREAM』(2014年9月発表)までは“アコースティックバンドと言ったらこれでしょう”という決まったサウンドがあったんですけど、改名してOAUになってからは、そういうルールみたいなものにとらわれずにもっとやりたいことをやるようになりましたね。『OAU』(2019年9月発表のアルバム)ではサウンドも曲の感じもちょっと変わったと思うんですよ。今回はその続きで、さらに深く掘り下げていて。だから、もっと自由に考えて、エフェクターもより使っている。前作でもリバーブやディレイとかは使っていたけど、あまり分からないように使っていて。でも、今回は思いっきりエフェクトをかけてる曲も入っていて、バンドが全体的に次の段階に進んでいるアルバムになったと思います。

作り始める前からそういうアルバムにしようと考えていたわけですね。

そう。もちろん、OAUが始まった頃に考えたテーマというか、ポップスを作りながらもフォークをはじめ、古い音楽のエッセンスを入れるところは変わらずに残してはいるんですけどね。作る前に考えてたのが、今の若い人たちにとって90’sの音楽はオールディーズだなって。自分としては90年代がそんなに昔だとは感じていないけど、実際そうなんですよ。だって、30年前でしょ? さらに90年代の30年前の音楽と言ったら、ドゥーワップとか、エルヴィス・プレスリー、The Beatlesとか、今で言うクラシックロック。だから、90’s、80’sとかの音楽も今となっては、もはやトラディションになっていると思うんですよね。だから、今回はフォークだけにとどまらず80’s、90’sとかも含めて、いろいろな古い音楽からエッセンスを取り入れながら一曲ずつ作ったんです。

なるほど、それでタイトルが伝統を意味する“Tradition”なんですね。

今っぽさと昔っぽさのある曲がOAUだと思いますが、それを今回は結構出せたんです。

例えば、全14曲の中で90’sの音楽の要素を取り入れたのは?

「夢の続きを」ですね。僕の中での90年代はレイブのシーンなんです。もちろん、その頃にブームが始まったパワーポップも聴いていたけど、どちらかと言うとレイブのシーン。KAKUEIも僕と同じで。KOHKIもDJをやる時って、そのシーンの音楽をかけたりしているんですよね。

確かにドラムのキックの4つ打ちとか、パーカッションとかがクラブミュージックっぽいですよね。

「Time’s a River」も弾き方はブルーグラスだけど、エレキに持ち替えて音を歪ませたらカッコ良いパワーポップになりますよ。

作品資料に“OAUの第2章がついにその幕をあける”と書かれていましたが、そういう手応えもあるわけですね。

もちろん。自分たちはもう20年ほどやってきて、いいものが作れている自信はすごくあります。

他に今作で新境地だと考えている曲を挙げるとしたら?

例えば「Blackthorn‘s Jig」はすごく古い感じの曲なんですけど…

フォークダンスっぽいですね。

そうなんですよね。実はこういう曲ってあまりやったことがなくて。OAUのインストでアイリッシュ調の曲と言ったら「Peach Melba」(2022年2月発表のEP『New Spring Harvest』収録曲)とか、「Bamboo leaf boat」(2007年5月発表のEP『all the way』収録曲)とかがありましたけど、どっちもファンクだったり、ロックだったりして。でも、「Blackthorn‘s Jig」はアイリッシュパブで演奏していそうなトラディショナルな曲なので、それはOAUにとっては新しかったですね。TOSHI-LOWから少し前に使い始めたブズーキでメロディーを弾きたいと言われて作ったんです。この曲は難しかったと思うけど、彼はチャレンジャーだから弾けるように頑張っていましたよ。

なるほど。そういう新しさもあるわけですね。

「Family Tree」のカントリーな感じ、エルヴィスとかジョニー・キャッシュとかの時代の雰囲気も今まではなかったですよね。

「Family Tree」のMARTINさんの歌い方は、明らかにエルヴィスを意識していますよね?

いやぁ、同じアメリカ人だからじゃない?(笑) 3人で歌っているんだけど、上ハモと下ハモの真ん中で歌っているので音程的にちょっとエルヴィス感が出たかもしれない。どちらかと言うとエリック・クラプトンかな? クラプトンに「Lay Down Sally」という曲があって、そういうノリの曲を作りたいと思ったんです。だから、ギターもテレキャスターみたいな音にしました。

えっ!? 「Family Tree」のギターはエレキじゃないんですか?

OAUで使ってるのは全部アコギなんですよ。アコギにエフェクトをかけてやればカッコ良くなると思っていたから。持ち替えちゃうのは簡単だからね。「夢の続きを」もアコギにディレイをかけながら指でスラップして、パカパカパカって鳴らしているんですけど、新鮮に聴こえるし、他で聴いたことないユニークな音になりましたね。

「Family Tree」の2番で何かが“みよーん、みよーん”と鳴っているんですけど、あれは?

ジューズハープですね。

エフェクトをかけているんですか?

かけてないです。あれは、“いーよ、いーよ、いーよ”って口のかたちをつくりながら演奏してるだけなんですけど、確かにちょっとモジュレーターっぽいですね(笑)。演奏にもリズムにもなる変な音を加えるのは、カントリーミュージックの古いスタイルなんですよ。

カントリーではスプーンを楽器として使いますよね。

スプーンは『New Spring Harvest』の「Apple Pie Rag」というスウィングっぽいインストで使いましたね。

「Homeward Bound」のファンキーなギターリフもOAUとしては珍しくないですか?

『New Spring Harvest』の「Peach Melba」にも同じリフが入っていて、インストの「Peach Melba」と歌モノの「Homeward Bound」という感じで同じ頃に作ったんです。この2曲をライヴで続けてやるというイメージもあって。KOHKIはファンクとかソウルとかすごく好きで、そういうギターのカッティングが得意だから、KOHKIの得意なところを出せる曲を作りたくて2曲をほぼ同時に作りました。自分のルーツにはそこまでファンクがないから新鮮です。
L→R RONZI(Dr)、TOSHI-LOW(Vo&A.Gu)、KOHKI(A.Gu)、MARTIN(Vo&Violin&A.Gu)、KAKUEI(Percussion)、MAKOTO(Kontrabass)
アルバム『Tradition』

OKMusic編集部

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