Non Stop Rabbit、ツアーファイナル
豊洲PITで遠慮も容赦もない3年越し
のリベンジを果たす

Non Stop Rabbit『PITやんなきゃ始まらねぇだろTOUR2023〜あの日と違う事はたった一つ、俺たちはメジャーアーティストになった〜』2023.03.11(sat)豊洲PIT
「3年越し、リベンジしに来ました! Non Stop Rabbitです、よろしくお願いします!」
2020年3月に予定されてた同会場でのライブは、コロナの影響で無念の開催中止。ライブ序盤、悲願の豊市PITでのワンマンライブへの意気込みを、矢野晴人(Vo/Ba)が力強く告げる。Non Stop Rabbitが、東京・豊洲PITにて、全国ツアー『PITやんなきゃ始まらねぇだろTOUR2023〜あの日と違う事はたった一つ、俺たちはメジャーアーティストになった〜』のファイナル公演を開催。あの頃よりたくましさを増し、メジャーアーティストになった3人は、遠慮も容赦もない3年越しのリベンジを果たした。
Non Stop Rabbit 撮影=菊島明梨
客電が落ち、ミラーボールの光が会場を眩く照らすと、長いSEで観客の気持ちをたっぷり焦らしたところでメンバーが登場。3人がドラムを囲み、ドガシャーンと音を合わせると、「昔々あるところにウサギとカメがいました。あの日、敗れたウサギはこう思いました。「俺たちはもう止まらない」。止まらないウサギ、Non Stop Rabbit始めます!」の晴人の口上から、「PILE DRIVER」でライブがスタート。太我(Dr)の力強くタイトなビートに、田口達也(Gt/Cho)の繊細かつ鋭いギター、矢野の感情豊かな澄んだ歌声。疾走感ある楽曲に観客が手拍子を合わせると、早くも会場に一体感が生まれる。
「声出せますか!?」の呼びかけに合唱が起き
Non Stop Rabbit 撮影=菊島明梨
Non Stop Rabbit 撮影=千佳 @cka_photo

た「乱気流」、真っ直ぐなメッセージを届けた「BIRD WITHOUT」と続き、晴人の感傷的なハイトーンが胸を締め付ける「私面想歌」と続き、会場を自身の世界に染め上げた序盤戦。「最高だ! こんな大勢の人間を見たのは何年ぶりやろ?」と達也が感慨深そうに話して始まったMCは、ツアーの思い出を語り始めたと思ったら、それぞれが“怖い話”を好き勝手に話し始め、自由すぎる空気感と観客の笑いで会場を包む。このカッコいいと親しみやすいを併せ持った、ギャップや人間味の部分も彼らのライブの魅力なのだろう。
Non Stop Rabbit 撮影=千佳 @cka_photo
Non Stop Rabbit 撮影=菊島明梨
「今日のファイナル、みなさんと同じように俺たちも楽しみにして来たんで。俺らをいかに推してるか、届けてもらえますか? 俺たちに愛を届けられるか?」と達也が煽り、始まった「推しが尊いわ」で<愛してます>と掛け声を合わせて互いの愛を確認し合うと、沸々と沸く静かな怒りを表現した「全部ブロック」へ。続いて、「次やる曲は、僕らが始めてライブをやった時も演った曲です。あの時の気持ちを忘れず、心を込めて歌います」と、たっぷり気持ちを込めた歌と演奏で披露したのは「夏の終わり」。さらに「最後のキス」、「静かな風」とエモーショナルなボーカルで聴かせるセンチな曲が続いた中盤戦。感動した観客から大きな拍手や黄色い声が飛び交う中、聞こえてきたのは「2023、デスゲームのお時間です!」のアナウンス。やはりこの3人、カッコいいままでは終われないようです。
Non Stop Rabbitに関するクイズが出題され、一番答えられなかった人が罰ゲームを受けるというデスゲームのコーナー。圧倒的な強さを見せた大我に対し、全く答えられず完敗したのは達也。観客から悲鳴が上がった罰ゲームが遂行されると、3人がステージから去り、ライブは後半戦へ。突如始まった、“ハッピーな毎日を過ごしていた3人が、宇宙人に連れさられた”というナレーションから始まった楽曲は「豆知識」。宇宙人に抱かれた着ぐるみ姿で登場するや、ダンストラックに乗せてハンドマイクで歌い踊り、フロアを沸かせる晴人と達也。曲中に金の全身タイツで登場した大我は指揮棒を振り、観客は手振りを合わせて大はしゃぎ。着替えタイムを挟んで、3人が再び楽器を背負って仕切り直すと、「偏見じゃん」でライブを再開。いわゆるネタ要素の強い曲だが、ポップな曲調とキャッチーなメロディに観客が飛び跳ね、フロアを熱狂させる。
Non Stop Rabbit 撮影=千佳 @cka_photo
Non Stop Rabbit 撮影=千佳 @cka_photo
息の合った演奏でドラマチックに聴かせた「無自覚の天才」が会場の空気を変えると、<心底欲しい夢があるんだ>と願うように歌う「三大欲求」に手拍子を合わせる観客と、再び心を重ねて気持ちをひとつにした3人。MCで「どんなにフザケていようが、俺たちの根底にあるのはロックバンドなんで。ロックンロールしにきました。この豊洲PITは一旦全てをぶっ壊すのにふさわしい場所だと思うので、好き勝手歌って帰りたいと思います」と達也が自身の想いをシリアスに伝えると、「次の曲は俺たちがただただ好き勝手言うだけの歌です。どう聴いてもらっても構わない。でもこれが、俺たちの“吐壊”だ」と曲紹介し、Non Stop Rabbitsの最新曲「吐壊」が始まる。どっしりとヘヴィなサウンドに、訴えかけるような晴人のボーカルと達也のアジテーションが心に突き刺さるこの曲。いま歌いたいこと、伝えたいことをダイレクトに届けるこの曲にロックバンドとしての強い意志や信念を感じたし、なにより、めちゃくちゃロックンロールだった。
「ここからはみなさんと一緒に作っていくライブです!」と達也が告げて始まった「アンリズミックアンチ」、「Needle return」、「Refutation」と続き、「3年も我慢したんで、すげぇ良い景色見せてもらって良いですか? 飛び跳ねろ!」と、バンドスタイルにもとらわれない自由な表現で会場中を踊らせて、この日のクライマックスを生むと、3年越しのリベンジにいよいよとどめを刺す時が来る。
Non Stop Rabbit 撮影=菊島明梨
3年前、ライブが出来なくて絶望に叩き落されたこと。それでも諦めずにやってきて良かったと今思えていること。そしてあの日、ここでやらなきゃいけない曲があったことを熱く語った達也は、「みなさんはやりたいことは出来てますか? 我慢ばっかじゃないですか? 俺らもそうだった。この3年間、嘘ばっかりだった。でも、今日でやめる。やりたいことをやりたいなと思って、今日ここに立ってます」と告げ、「今年、一生懸命曲作って。絶対大スターになるから、見といて下さい。俺たちが正しいと思って、みんなが喜ぶ曲を俺たちはもっと作る! そんなことを思わせてくれた曲です」と決意表明し、3年前にやらなきゃいけなかった曲「二十五の自白」を披露。<今は死ぬことよりも 何も残せない事の方が ほんの少しだけど怖いから>と、真正直な気持ちを歌ったこの曲。丁寧に言葉と音を紡ぎ、一人ひとりに想いを込めて届けることで、彼らは3年前のリベンジをしっかり果たし、また一歩、前へと踏み出せたはず。
Non Stop Rabbit 撮影=菊島明梨
ラストは達也が「今日からまた頑張れますか? また会えることを約束してくれますか? ここにいる全ての人に幸せに繋がりますように」と告げ、優しく温かく力強く届けた「全部いい」から、「あと一曲、全員で歌いたい曲があるんですけど、やっていいですか? 全員で歌えますか? 俺よりデッカイ声で歌って下さい」と晴人が煽って始まった「FLOW NOW」で最高速度ぶっ飛ばして、会場中の大合唱で最高潮を掻っ攫ってフィニッシュ。すべての演奏を終えると「快進撃始まります。どうか見逃さず付いて来て下さい!」と宣言し、「11月1日、Zepp Shinjukuで会いましょう!」と結成7周年記念ワンマンライブ『歌舞伎町の乱』の開催を予告して、ステージを去ったNon Stop Rabbits。ウサギたちはもう止まらない。

取材・文=フジジュン
Non Stop Rabbit 撮影=菊島明梨

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