L→R ヤスカワアル(Ba)、片桐(Vo&Gu)、マツイユウキ(Dr)

L→R ヤスカワアル(Ba)、片桐(Vo&Gu)、マツイユウキ(Dr)

【Hakubi インタビュー】
自分自身と向き合って作った、
挑戦と変化の2ndアルバム

約1年半振りとなるフルアルバム『Eye』が完成。もがき苦しみながらも強く生きようとする従来のHakubiらしさがありつつ、andropの内澤崇仁、Evergreen Leland Studio、Turntable Films/Subtle Controlの井上陽介、THE CHARM PARKをアレンジャーに迎えるなど変化も鮮やかに感じる今作について、メンバー全員に訊いた。

いろいろなチャンスをもらえたことが
歌詞にもサウンドにも影響している

今作は歌詞の表現やサウンドのアプローチがますます多彩になった印象です。レコード会社の移籍も経験されましたけど、それによる心境の変化などはあったりしますか?

片桐
もちろん大変なこともあったんですけど、マイナスな感じはまったくなくて。ありがたかったのが、周りのスタッフがほぼ変わらずに今もやれているんです。京都MUSEにマネージメントでついていただく関係も続いていて、レコーディング環境も以前のままなので、特に困ったりはなかったよね?
ヤスカワ
そうだね。
マツイ
大きな変化があったという感じではないかな?
片桐
むしろ、プラスの変化がすごくありました。例えば「Rewrite」でTVアニメのタイアップ(『ノケモノたちの夜』エンディングテーマ)に、「Twilight」でゲームのタイアップ(スマートフォン向けRPG『メメントモリ』キャラクターテーマソング)に挑戦させてもらえたことは大きくて。やってみて改めて気づけたんですよ、Hakubiはそういうカルチャーにも似合う楽曲が作れるバンドなんだと。

新たな気づきがあって、より積極的なモードにシフトできたということですね。歌詞の面では、その「Rewrite」や「Twilight」、「天才にも秀才にもなれなかった僕は」「Eye」「ゆれて」「夢が夢であるうちに」にしても、何か大きな挫折みたいなものを味わって深く沈む感じも伝わるというか。窮地からどうにかもう一度立ち上がって未来に向かっていくような、そんな人の姿が見えてくる曲が多いと思いました。

片桐
確かに。いろいろな人に届くチャンスをもらえたことが、歌詞にもサウンドにも影響していると思うんですよね。曲作り以外の面でも、ホールでワンマンライヴ(2022年11月3日開催の『Noise From Here – HALL edition』 at 恵比寿 ザ・ガーデンホール)をやったり、私たちの大先輩にあたる京都発の10-FEETやROTTENGRAFFTYのイベントに出させていただいたり、ライヴの舞台も大きくなって、Hakubiの音楽を聴いてもらえる機会がグッと増えたので、それゆえの葛藤もあります。可能性と規模が広がる中で自分たちらしさを失くさず、どう揺るぎないものにしていくかとか。そういった気持ちが表れたのかもしれません。

1stフルアルバムの『era』(2021年9月発表)を出したあとは、配信でのリリースが続いていましたよね。

片桐
はい。2022年は配信でコンスタンスにリード級の楽曲が出せたと思います。「あいたがい」はこれまでにないストレートな恋愛ソングが書けて、「君が言うようにこの世界は」はすごく大きなライヴ会場がイメージできる曲、「32等星の夜」は私たち初のクリスマスソングと、どれも全然違うタイプの曲が作れたのが嬉しいですね。聴いてくれる方にとっても毎回驚きがあっただろうし、作っている私たちもめちゃくちゃ新鮮に感じていて。一年を通しての挑戦だったり、アプローチが広がったことが伝わるアルバムになりました。

今作で具体的に変えていった点というのは?

ヤスカワ
「サイレンと東京」のような打ち込み然とした楽曲も入れて、サウンドは全体的にオルタナの要素を強くしました。一方で、ショート動画や媒体系のリスナーにも届き得るような、聴いた瞬間に歌詞や音がバチンと伝わる曲も意識しています。表題曲の「Eye」なんかは特にそうですね。あとは、前作でやったロングバラードはあえて抑えてみたりとか。
片桐
アルくんは音楽に限らずいろいろとトレンドに敏感で、冷静にバンドを見られる人なので、そのセンサーはとても信頼しています。「Twilight」でドロップを入れたのも彼のアイディアですね。
ヤスカワ
ドロップってポップスでよく使われているんですよね。K-POPやアメリカの女性シンガーの曲で多いんですけど、日本ではなんだかんだ少ない気がしていて。でも、前作の「在る日々」でAviciiとかをリファレンスに取り入れてみたらすごくマッチしたので、今回の「Twilight」でもしっかり出しました。この感じはまたやっていきたいと思っています。
片桐
「Twilight」はヴォーカリストとして成長できたと感じている曲でもありますね。出だしは囁くように低い声で始まるんですけど、そこからハイトーンの強いニュアンスまで、ちゃんと表現力を維持して歌い切れたのは自信になりました。
マツイ
バンドサウンドがメインだった今までの僕らからすると、「サイレンと東京」はかなり攻めてますね。ドラム的には「Eye」も新鮮です。BPMが高めの4つ打ち曲ってHakubiではあまりなかったし、ここまで手数が多いのも初なので。どっちもライヴでどうなるのかが楽しみなんですよ。

配信でリリースを重ねるうちに、自然とアルバムの方向性が見えてきた感じですか?

片桐
決め込んだ作り方ではなかったですね。『era』はこれまでとこれからのHakubi、メジャーデビュー前の気持ち、助けてもらってきた人たちを想像して書いた曲が多かったんですけど、今回の『Eye』は全曲において自分自身と向き合って作っていたんだと出来上がった曲を見て強く感じたので、このタイトルをつけました。タイアップに取り組むことによって、逆に自分を見つめるきっかけをもらえたと言いますか。より広くアピールできるような曲調でありながらも、内面と深く向き合った歌詞になっているのも面白いと思います。アルバム全体を包み込むようなイメージで最後に作ったのが、表題曲の「Eye」です。
L→R ヤスカワアル(Ba)、片桐(Vo&Gu)、マツイユウキ(Dr)
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アルバム『Eye』【通常盤】(CD)

OKMusic編集部

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