アニマルズ解散後、
エリック・バードンが挑んだ新境地

派手さはないものの、
堅実なR&Bとグルーヴを追求し、
成果を残す

彼らは1作目の成功に気をよくして同年もう1枚『エリック・バードンの黒い世界!!(原題:The Black-Man’s Burdon)』(’70)をリリースする。より中身を充実させ、ローリングストーンズの「黒くぬれ!(原題:Paint It Black)」、ムーディブルースの「サテンの夜(原題:Nights In White Satin)」のカバーを含むLP2枚組のボリュームでリリースされるが、こちらも内容は素晴らしかったものの、デビュー作ほどは振るわず、ここで一旦バードンとウォーは袂を分かっている。喧嘩別れではなく、バードンはまた違うことがやりたくなっていたのだろう。「お前らだけで充分やれるよ」と、暗に独立を促したのだろう。とはいえ彼らは数年後、再度合流し充実作『ラヴ・イズ・オール・アラウンド(原題:Love Is All Around)』(’76)を残している。以降、バードンはエリック・バードン・バンド結成へ、ウォーは独立という形で活動を続ける。エリック・バードン&ウォー名義での音源だけで構成された『The Best of Eric Burdon and War』(’96)もあるので、まずは彼らの…という方にはこちらの音源がオススメだ。

補足になるが、ウォー単独のアルバム「オール・デイ・ミュージック(原題:All Day Music)」(’71)が出て、シングル「Slippin’ Into Darkness(原題:暗闇へつっ走れ)」が全米16位のヒット、続いて「世界はゲットーだ(原題:The World Is a Ghetto)」(’72)が7位、「仲間よ目をさませ!(原題:Why Can't We Be Friends?)」(’75)が6位と、彼らも快進撃を続けた。

バードンは今年で82歳になる。長いキャリアのわりに派手なスキャンダルもなく、音楽ニュースに出る機会も少ない。だから、仲間内の飲み会でも彼の名が挙がることは皆無に等しい。目下のところ最新作は『’Til Your River Runs Dry』(’13)だが、英国が生んだ偉大なるシンガーの業績を私自身、これを機会に辿り直し、今度、飲み会の席で「エリック・バードンってすごかったよな」と話題を振ってみようかと思っている。

TEXT:片山 明

アルバム『Eric Burdon Declares “War”』1970年発表作品
    • <収録曲>
    • 1. Vision of Rassan: Dedication/Roll on Kirk, The
    • 2. Tobacco: Tobacco Road/I Have a Dream/Tobacco Road
    • 3. Spill the Wine
    • 4. Blues for Memphis Slim: Birth/Mother Earth/Mr. Charlie/Danish Pastry/Mother Earth
    • 5. You're No Stranger

OKMusic編集部

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