横浜流星「確実にパワーアップした作
品」~中村隼人とともに出演する舞台
『巌流島』初日前会見&ゲネプロレポ
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舞台『巌流島』が2023年2月10日(金)から明治座ほかで開幕する。

 
『真田十勇士』や『魔界転生』といった作品で大ヒット作を生み出してきた脚本家・マキノノゾミと演出家・堤幸彦が再びタッグを組み、宮本武蔵と佐々木小次郎の壮絶な戦いを新解釈・新設定で描き出した本作は、本来2020年に上演予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で中止に。この度、満を持しての上演となる。
主演の宮本武蔵を演じるのは、テレビや映画など数々の主演作・注目作への出演が続く、横浜流星。佐々木小次郎役には、若手歌舞伎俳優の中でも活躍目覚ましい、中村隼人。初日前の9日(木)に行われた、取材会と公開舞台稽古の様子を写真とともにお伝えする。
堤幸彦、横浜流星、中村隼人(左から)
取材会では代表質問のみが行われた。
ーーまずはご挨拶をお願いします。
横浜流星(以下、横浜):皆さん、本日はお越しいただきありがとうございます。宮本武蔵を演じます横浜流星です。よろしくお願いします。
中村隼人(以下、中村):佐々木小次郎役の中村隼人です。こんなに大勢の方々にお集まりいただき、本当に嬉しく思っています。よろしくお願いします。
堤幸彦(以下、堤):演出の堤幸彦です。こんなにたくさん、ありがとうございます。初日を前にしてこれから最後のゲネプロということで、大変緊張しております。お手を柔らかにお願いします、よろしくお願いします。
横浜流星
ーーキャストのお二人におうかがいします。いよいよ初日を迎えますが、稽古を重ねて、役作りでこだわった点やこの舞台の魅力など、さまざまな思いがあると思います。今のお気持ちをお聞かせください。
横浜:明日初日ということで、そうですね、『巌流島』の作品はたくさん作られていますが、今回、新解釈、新設定なので、まったく新しい形の『巌流島』ができたなと今感じています。武蔵と小次郎の関係性を特に注目してみていただきたいです。さっきまで稽古をしていたんですけど、やるべきことをやってきたし、あとはもう役として舞台上で生きていくのみだと思っています。
中村:この『巌流島』のお話を最初にいただいたときは、いろんな大先輩たちが演じてきた役をどう演じようと思ったんですけど、お話を聞くと令和版新解釈の『巌流島』ということで、マキノノゾミさんが書かれた脚本に、演出の堤幸彦さんの力が加わり、全く別物とまではいきませんが、佐々木小次郎、宮本武蔵の名を借りたまた新しい作品が出来上がったと思っています。
約1ヶ月毎日毎日稽古をしてやってきたので、その成果を2月10日の初日から出せればいいなと思っています。
中村隼人
ーー稽古を終えて、武蔵と小次郎の印象をお願いします。
堤:言っちゃう?(笑)
横浜・中村:お願いします!
堤:まず私の舞台の作り方として、最初に若者衆をみんなで作ってしまうんですね。それをこの二人に見てもらって、そこにハマってもらう。ただハマるだけではなくて、そこからそれぞれの魅力を出してもらう。こちら側も(演出上のアドバイスなどを)言いますが、自分で考えてもらう。そうすると、毎日どんどん変わるんですね。
この二人の芝居に対する熱というか、役に対する情熱や気合いが日々力強くなっていて。これからゲネプロをするわけですが、多分今までやってきたことを乗り越えるものになるんじゃないかと思わせてくれる二人なんです。本当に楽しみ。私も演出家として、こういうドキドキ感、ワクワク感はなかなかないことなので、大変期待しております。頑張ってください。
横浜・中村:ありがとうございます!
堤幸彦
ーー今回はモノクロの世界がベースのシリアスな人間ドラマだとうかがいましたが、演出のポイントを教えてください。
堤:おっしゃった通りです(笑)。背景はデジタルな世界、そしてシンプルな世界を作っています。結構私はごちゃごちゃとカラフルな舞台が多いんですけど、またそれも大好きなんですが、今回は一切そういうことを封印し、舞台上のギャグのようなものも一切封印し、シリアスな人間ドラマです。
特にこの二人がどう出会って、どういう過程を経て、なぜ対決しているのかということに、上り詰めていく人間ドラマにしたいと思っています。本当にシリアスです。ぜひその意外性みたいなものも含めて期待していただきたいし、デジタルと人間力の究極の融合を目指したいなと思っています。
堤幸彦、横浜流星、中村隼人(左から)
ーー全国で上演を心待ちにしている皆様に対して、メッセージをお願いします。
横浜:全国で待ってくださっている皆様、大変お待たせしました。3年前中止になってしまった作品がいよいよ10日からスタートします。あの時の申し訳ない気持ちだったり、悔しい思いをしっかりと晴らせるように。新たなキャストも加わって、確実にパワーアップした作品になっていると自信を持っています。みなさん、ぜひ期待して待っていてください。お楽しみに。
舞台『巌流島』のゲネプロの様子
舞台『巌流島』のゲネプロの様子
舞台『巌流島』のゲネプロの様子
舞台『巌流島』のゲネプロの様子
武蔵と小次郎はどこで出会い、どんな人生を歩んできたのか。そしてなぜ戦わなければならなかったのか……。闘いの裏に隠された人間ドラマを捉え、関門海峡に浮かぶ「巌流島」で繰り広げられた大勝負をアクション時代劇として描き出した本作。
一幕のみが公開されたゲネプロ(総通し舞台稽古)を観た。
演出の堤が会見で話していたように、舞台セットはとてもシンプル。巨大な黒いLEDに白い線が浮かび上がったかと思えば、その線が動き出して、草むらや仏像といった場面の背景を描き出し、具象風の舞台セットに変身する。まるで水墨画を見ているような、はたまた漫画の背景画を見ているような、モノクロの演出。「人間を見てほしい」という堤の思いが伝わってきた。
舞台『巌流島』のゲネプロの様子
舞台『巌流島』のゲネプロの様子
舞台『巌流島』のゲネプロの様子
舞台『巌流島』のゲネプロの様子
宮本武蔵役の横浜流星は2017年以来6年ぶりの舞台出演。作品冒頭、何も言わずそこに立っているだけでも強い存在感を放ち、最後まで観客の視線を離さない。本格的な殺陣は初めてらしいが、相当練習を重ねたのだろう、剣豪・宮本武蔵らしい腕前を見せてくれた。一方の佐々木小次郎役の中村隼人。歌舞伎俳優としての活躍が目覚ましい中村だが、やはり歌舞伎で培った「見せ方」が光る。歌舞伎俳優としても腕を磨き続けて欲しいが、本作を機に歌舞伎以外の舞台出演も期待したいところ。
第一幕55分 、休憩25分、第二幕95分。令和版新解釈で、宮本武蔵と佐々木小次郎の二人の関係性と心模様を色濃く描き出した『巌流島』をぜひお見逃しなく!
取材・文・撮影=五月女菜穂

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