渋谷すばる

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【渋谷すばる インタビュー】
今、自分の作る音楽が
どう変化していくのかがすごく楽しみ

渋谷すばるが映画『ひみつのなっちゃん。』の主題歌として初の書き下ろしに挑戦した新曲「ないしょダンス」。“台本を読んだら一気に曲が浮かんできた”と語る同曲だが、本映画は田中和次朗監督のデビュー作とのことで、作品に込められた想いを受け取り、渋谷自身もアツい気持ちを持って完成させた一曲となった。

監督の想いを音楽に置き換えるなら
ロックンロールしかない

渋谷すばる

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「ないしょダンス」は俳優の滝藤賢一さんが映画初主演を務める『ひみつのなっちゃん。』の主題歌として作られた楽曲だそうですね。

はい。最初に台本をいただいて主題歌を書かせてもらいました。コロナ禍で撮影が後ろ倒しになっていたこともあって、まだ撮影が始まっていない時期で、本当に台本しかない状況だったんですけど、読んだら一気に曲が浮かんできたんです。オネエであることを家族に秘密にしていたなっちゃん(カンニング竹山)のお葬式に、ドラァグクイーン仲間のバージン(滝藤賢一)、モリリン(渡部 秀)、ズブ子(前野朋哉)が向かうお話で、なっちゃんの地元が映画の舞台となる岐阜の郡上八幡なんですが、そこまで3人で車で向かうロードムービーということもあり、軽快なロックンロールにしたいと思い立ちました。

タイアップとなるとご自身の経験とはまた別の観点からの構築となると思うのですが、難しさはなかったですか?

テーマがあると作りづらいという人もいるのかもしれないですけど、僕自身は逆に何かをテーマに曲を作るというのは、とても楽しく感じます。いつも自分自身のことを歌詞にすることが多いので、やりづらいんじゃないかと思われがちなんですが、自分の中からは出てこないような発想も呼び起こされる感じがするので、そういう自分と向き合えるのがすごく楽しいんです。

なるほど。でも、「ないしょダンス」を初めて聴かせていただいた時、渋谷さん自身のことを歌っている楽曲なのかと思うほどリアルでした。

確かに、ほぼ自分自身の感情と言ってもいいほど自分の感情と重なりました。『ひみつのなっちゃん。』のお話が、すごく共感できるものだったことが大きかったです。ドラァグクイーンという世間からしたら普通じゃない生き方をしている主人公が、いろんな葛藤の中で一生懸命に自分らしく生きようとする姿に共感したことと、ずっと普通じゃない生き方をしてきた自分自身の人生も重なったというか。自分が歌詞を書いたり、普段思ったりすることと、とても近いものがあったんです。だから、正直言ってそこまでタイアップという別意識にはならなかったですね。
渋谷すばる

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脚本と監督を担当された田中和次朗さんとは楽曲を作る上で何度もお会いになられて、お話されたんですか?

いや、最初は台本をいただいただけで、曲が出来上がったあとに対面でお話させてもらった感じでした。一発で気に入ってくださったみたいで、すごく褒めていただけて、めちゃくちゃ嬉しかったです。“もしも監督がこの映画をしっとりと終わらせたいと思っていたとしたらバラードのほうが良かったかもしれないなぁ。だとしたら、監督のお話を聴いて、そういう曲に作り替えよう”と思ったりもしたんですけど、軽快なロックンロールと力強いバンドサウンドが良かったと言ってくださって、本当に最高に嬉しかったのを覚えています。

主演の滝藤賢一さんが演じるバージンの“歳を重ねて、昔のような煌びやかなステージが自分には似合わなくなっているんじゃないか?”と自信を喪失している心情も描かれていますから、どこをどう切り取るかで楽曲や歌詞のテーマ性も大きく変化する題材でもあったと思うのですが。

本当にそう思いますね。僕がロックンロールを選んだ理由のひとつとして、監督がこの映画をちょっとコミカルに観せたいと考えていることを事前に聞いていたのも大きかったと思うんです。ドラァグクイーンやLGBTQ+を題材にしたストーリーでもあったから、台本を読ませてもらうまではどういうテンションで向き合うべきか考えたというか、ちゃんと向き合いたかったんです。でも、台本を読んでみたら、変に重くなく、特別視するわけでもなく、ハートフルで温かくて。人間同士の関係性もすごく大事に描かれていながら、やっぱりどこかポップで、クスッと笑っちゃうような面白さがあって。そこに監督が描きたかったであろう大事なメッセージがちゃんと詰め込まれている気がして、そんな監督の想いを音楽に置き換えるとしたら、ロックンロールしかないと思ったんですよね。
渋谷すばる
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配信シングル「ないしょダンス」
配信シングル「Stir」
配信シングル「これ」
配信シングル「ぼーにんげん」
配信シングル「7月5日」
(C)2023「ひみつのなっちゃん。」製作委員会
(C)2023「ひみつのなっちゃん。」製作委員会

OKMusic編集部

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