葉月

葉月

【葉月 インタビュー】
最初に浮かんできたのが
「睡蓮」のコード進行と
メロディーだった

一番重要なのはコードとメロディー、
歌詞、歌なのかなという気がしている

新しいテイクの表現力も圧巻です。続いて、ここまでもかなり話が出ましたが「ALLIVE」にいきましょう。今作に「ALLIVE」を入れることにした想いというのは?

『奏艶』スタイルのアルバム(『葬艶-FUNERAL-』)を2020年9月に出していて、リード曲がlynch.の「PHOENIX」だったんですね。激しくて、結構シャウトとかもガツンと入っていて、そんな激しいアツい曲をクラシックで表現する成功例としてひとつ僕の中に残っていて、そのテイストで「ALLIVE」もいける確信があったんです。思いどおりの仕上がりになって満足しています。やっぱりチューニングとか、サウンドというのは本当にエッセンスなんだと思いますね。一番重要なのはコードとメロディー、歌詞、歌なのかなという気がしています。

葉月さんが書かれる楽曲はそうだと思います。ということは、激しい曲を、それこそピアノ1本と歌だけなどでしっとり仕上げるようなことは今後もないと?

そういうことは考えたことがないですね。バラード寄りの楽曲をがっつりバラードにしたいというのはあるけど、激しい曲は激しさを継承したかたちで提示したい。僕は自分のYouTubeのチャンネルでカバーをしているし、lynch.でもトリビュートをいくつかやらせてもらったりしていますけど、絶対にもとのかたちは壊さないんです。だって、そこがいいと思って選んだ曲なのに、その大事な部分を変えて別の曲にしてしまったら意味がないと思ってしまうから。僕はこれはこうであってほしいということが、何に対しても強いんですよね。

まったく違うかたちにして意表を突くのはある意味簡単ですが、原曲のエモーションを継承した上で自分なりに昇華するのは難しい気がします。「ALLIVE」の歌詞はラブソングともとれるし、ライヴ賛歌ともとれるというものになっていますね。

答えはもう1択しかなくて、lynch.が日本武道館に辿り着いたことを歌っています。“ALLIVE”というタイトルも“L”がふたつあって、“ALLIVE”という言葉は存在しないんですよね。“到着する”という意味の“ARRIVAL”と、“生きる”という意味の“LIVE”を合体させた造語で、もう歌詞はそれ1択です。でも、違う意味にとろうと思えばとれないこともないと思っていて。「睡蓮」も一緒ですけど、結局僕は“生きる”ということを歌っているだけなんですよね。なので、この曲も好きなように感じとっていただければと思います。

「蓮華鏡」は非常に良質な一作に仕上がっていてリリースが待ち遠しいですし、1月と2月に開催されるソロライヴも楽しみです。

これはもうずっとやっている『奏艶』というクラシックスタイルのワンマンですけど、今回は本数が結構あるんですよね。今までは1デーオンリーだったけど2デイズで、しかも東京の2日目は2部構成なので。さらに、初の東京以外の公演を地元の名古屋でやるんです。なので、まだ予定ですけど、セットリストをちょこちょこ変えてやっていきたいと思っています。曲のストックが結構あるんですよ。カバー曲が半分くらいを占めていて、毎回入れ替えていったから曲がどんどん増えたんです。クラシックの人たちはありがたいことに楽譜で楽曲を管理してくれていて、楽譜を見ればすぐに演奏できるんですよね。そういう意味では、僕が一番大変かもしれない(笑)。だけど、いろんな部分を観せていきたいとは思っています。

いいですね。バンド形態で歌う時と『奏艶』では、やはり歌い手としての感覚は違いますか?

違います。バンドでもlynch.とソロでは違っていたし、クラシックスタイルはなおさら違いますね。歌が目立つじゃないですか、やっぱり。lynch.はみんな人気者なので、本当にありがたくて。お客さんの意識が分散するんですよね。だから、解き放たれた状態でライヴをするけど、『奏艶』はお客さんの全視線が僕にくるし、歌が聴きやすいので緊張します。『奏艶』に関しては、ここ数年は会場の規模が大きかったんですよ。一昨年がメルパルクホールという1,500人くらいのキャパで、昨年の中野サンプラザは2,200人で。ステージも結構大きいので、いろんな人を入れたんです。一昨年は和楽器の方たちを入れて、昨年はトランペット、トロンボーン、サックスといった管楽器を入れて派手な感じでやらせてもらったんですけど、今年は本数が多くステージも小さいので、逆にシンプルに…最初に『奏艶』を始めた時は本当にピアノ1本だったんで、そこに立ち返るパートも作ろうかと思っています。そうなると、余計歌が目立つじゃないですか。その緊張感と久しぶりに戦おうかなという気持ちになっている。観応えのあるライヴになると思うので、ぜひ会場に足を運んでいただきたいですね。

取材:村上孝之

シングル「蓮華鏡」2023年1月25日発売 KING RECORDS
    • 【初回限定盤】(CD+BD+32P PHOTO BOOK+OUTER CASE)
    • KICM-92122
    • ¥9,900(税込)
    • 【通常盤】(CD)
    • KICM-2122
    • ¥1,540(税込)

『葉月「奏艶」』

1/27(金) 東京・日本橋三井ホール
OPEN 18:15 / START 19:00
1/28(土) 東京・日本橋三井ホール
1部:OPEN 13:45 / START 14:30
2部:OPEN 17:15 / START 18:00
2/04 (土) 愛知・名古屋市公会堂
OPEN 16:45 / START 17:30

葉月(lynch.) プロフィール

ハヅキ:16歳よりバンド活動を開始。当時よりオリジナル楽曲の作詞作曲を積極的に行ない、いくつかのバンドを経験する。2004年にlynch.を結成。バンド のメインコンポーザーとしてさまざまな楽曲を制作し活動していくとともに、ヴォーカリストとしてのスタイルを確立させていく。16年よりクラシックスタイルを基調としたソロ公演『奏艶』をスタートさせ、20年9月にアルバム『葬艶 FUNERAL』をリリースし、同年12月にはソロとして初の中野サンプラザ公演を行ない2000人を動員。そして、22年にlynch.でも『奏艶』でもない唯一無二の音楽を生み出すためのソロワークス“HAZUKI”をスタートさせ、同年8月に1stアルバム『EGØIST』を、翌年1月にはシングル「蓮華鏡」を発表。葉月 オフィシャルHP

「睡蓮」MV
※1/20(金)21:00プレミア公開

OKMusic編集部

全ての音楽情報がここに、ファンから評論家まで、誰もが「アーティスト」、「音楽」がもつ可能性を最大限に発信できる音楽情報メディアです。

新着