【ザ・クロマニヨンズ リコメンド】
褪せないロックンロールの
魅力と斬新さが集積したアルバム
聴き込むほどに新たなに
新たな発見がある
怖そうなタイトルの「キングコブラ」は、8ビートを基本としながらも細かい変化をつけたパンキッシュなアレンジがライヴで映えそうだ。タイトルとは裏腹に、サビにポップなメロディーが登場するなど、そのバランス感覚は独特。そして、アルバムの最後を飾るのは「心配停止ブギウギ」。危なっかしいタイトルに思えるが、実はポジティブな志向を歌った内容。シャッフルのリズムを刻みながら、妖しげなメロディーから明るいメロディーへと場面展開していくのも聴きどころ。間奏のロカビリーっぽいギターソロも、これまであまり披露していなかった要素と言えるだろう。
発想の意外性から生まれるオリジナリティーあふれる歌詞、ロックンロールを貫きながらも柔軟性のあるサウンド、そして唯一無二のスタイルと情熱を持った歌声とギター。自分たちの足元を見つめ、そこからぶれることなく歩みを続けるザ・クロマニヨンズの作品は、今回も間違いなく多彩な輝きを放っている。褪せないロックンロールの可能性とともにストイックに音楽を突き詰めながらも、ユーモアや毒をあちこちに忍ばせた楽曲たち。毎回、聴き込むほどに新たなに新たな発見があるのが彼らのアルバムだが、今回も尽きない魅力が集積している。
謎を呼ぶアルバムタイトルと
素晴らしいジャケット
そんな彼らのツアー『MOUNTAIN BANANA 2023』が始まる。アルバムリリース直後の2月2日の東京・Zepp Haneda(TOKYO)を皮切りに4月までのスケジュールが発表されているが、やはり今回も最新アルバムからの曲を中心にセットリストが組まれることになるだろう。これまでも、ライヴで披露されるたびに成長してきた楽曲が多かっただけに、ツアーを経てどんな表情を楽曲が見せるようになるのか楽しみだ。バナナの登場ももちろん楽しみにしておこう。
文:岡本 明
「イノチノマーチ」MV
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