2022年の演歌・歌謡曲ランキングから
考えるダウンロードの魅力と価値、レ
コチョクが発表

レコチョクは、12月9日(金)にレコチョクが展開する音楽配信サービスの3つのランキングを発表した。(集計期間:2022年1月1日~2022年11月30日)なかでも、ダウンロードランキング「レコチョク年間ランキング2022」は、より今年の音楽のトレンドを映し出した結果となった。

サブスクやSNSからヒットが生まれると言われる今、ダウンロードして楽曲を楽しんでいる音楽ファンとは? その視聴志向を知るために、レコチョクのサービス利用者を対象にアンケートを実施。1万人超もの回答から見えてきたのはヒットの拡散をさらにアシストし、また、推しを応援するファンダムや推し活の存在。今回は、近年、若い世代からも特に注目を集めている昭和・平成の歌謡曲、そして演歌を中心に、レコチョクランキングの動向を365日チェックする音楽ジャーナリスト・臼井孝による2022年の傾向をまとめた考察が到着した。


■音楽の聴き方、推し方、発信の仕方が選べる時代に考える、ダウンロードの魅力と価値(演歌・歌謡曲編)
2020年代に入って、ヒット曲の多くはサブスクから生まれるようになった。その一方で、より幅広い世代に楽曲が浸透されていくには、それを補完しうる音楽を聴く手段やメディアでの情報伝達が重要となる。

そんな中、ダウンロードのヒット動向(日間/週間/月間/年間などの総合・各ジャンルのランキング)を読み解くと、日々のテレビ番組での露出やネットニュースでの情報が反映され、いわば、世の中の動きが反映され、また、サブスク発のヒットが、ここでより拡大していく様子が見て取れる。

レコチョクが実施した【「レコチョク」ダウンロードサービス利用者調査】(期間:2022年11月14日~27日、回答数:10,242)によると、最近1年間の音楽視聴方法は、「ダウンロード」、「YouTube」「CD(購入)」と続いている。
「ダウンロードで音楽視聴する理由」に対して、8割近くが「欲しい楽曲だけ購入できるから」と回答。無料も含めてサブスクでも音楽を聴くことができる機会が増える中、半数が理由としてあげた「手元に置いておきたい」と思う楽曲をダウンロードすることこそが、より国民的ヒットにつながっているといえるだろう。ダウンロードならではのヒット現象は今なお存在し、これもまたヒットをさらに拡大する起点として見逃すべきではない。

今回は、そんな「レコチョク」のダウンロードランキングの傾向を軸に、若い世代も巻き込んだ昭和・平成のリバイバルブームや知る人ぞ知る、「歌謡曲/演歌」ランキングを中心に紐解いてみた。
■昭和ポップスブームとテレビ出演の効果
近年、昭和ポップスの再評価が著しいが、ダウンロードランキングからもこの現象が顕著にみられる。
まず、2022年がデビュー40周年となる中森明菜は、地上波、衛星波ともに特集番組が企画され、オンエアされるたびに、デビューから9年間のヒットシングル27曲を収録したアルバム『中森明菜シングルス27 1982-1991』が上昇。特に、NHK総合でのライブ放送特番と、TBS系「マツコの知らない世界」が放送された7月度はアルバム月間ランキング1位にまで上り詰めた。デビュー40周年に合わせ、当時の発売記念日ごとにシングルを最新リマスタ音源で配信し直すのも、コアなファンの間で話題となっている。12月24日にはオフィシャルサイトをリニューアルするなど、今後の活動とともに旧譜も話題を集めそうだ。

また、デビュー35周年を迎えた工藤静香は、セルフカバー・アルバム『感受 -Shizuka Kudo 35th Anniversary self-cover album』から段階的に1曲ずつ先行配信し話題性を継続、全曲配信前後にフジテレビ系「ノン・ストップ!」「ポップUP!」などの情報番組、フジテレビ系「MUSIC FAIR」、NHK総合「SONGS」といった音楽番組に出演し、いずれのタイミングでも新旧の楽曲がダウンロードランキングで上昇している。

他にも、浅香唯中山美穂が日本テレビ系「しゃべくり007」に出演した際に、デイリーシングルランキングでTOP30入りするほどの反響があるなど、テレビ番組と、テレビ番組を見ながら購入できるダウンロードは、リンクしやすい傾向にある。
■令和の演歌・歌謡曲
新曲やそのカップリング違いのシングルが配信リリースされる度に、「歌謡曲/演歌」部門のTOP5内にランクインする演歌歌手は多いが、今年も、山内惠介「誰に愛されても」、辰巳ゆうと「雪月花」、丘みどり「雪陽炎」、純烈らの新曲が上位にランクインした。

特に、2022年内でメンバーの小田井涼平が卒業する純烈は、ベストアルバム『純烈ベストVol.3』、主演映画『スーパー戦闘 純烈ジャー 追い焚き☆御免』サウンドトラック、ダチョウ俱楽部とのコラボ作「白い雲のように」など、2022年は様々なタイトルがリリースされ、その結果、ランクインすることが多かった。特に、小田井涼平のソロ作品『息子がお世話になりました』ではレコチョクのプラットフォーム・murketを採用した「
」で、デジタルオーディオとさまざまな施策を組み合わせた企画を実施(2023年1月10日(火)まで)。「ジャケット写真にお名前入りデジタルサイン」「小田井さんに卒業メッセージを送る」「サイン&メッセージに対するコメント動画が届く」など、こういった施策はデジタルで記念の作品を手元に置いておきたい、また、アンケート4位にも入っていた「ダウンロード購入することでアーティストを応援したい」というファンの心をくすぐりそうだ。

9月には、ソニーミュージックが演歌・歌謡曲ファンのリクエストに応え、渥美二郎「夢追い酒」をはじめ、小林旭城之内早苗杉良太郎など誰もが知るヒット曲、隠れた人気曲など
した。現在ほぼ入手不可能な作品もあり、スマートフォンの保有率が約8割という昨今、配信で音楽を楽しむ演歌・歌謡曲ファンがさらに増えそうだ。

2022年11月末には、これまで「限界突破×サバイバー」やアルバム『You are you』などポップス作品を中心に配信リリースしていた氷川きよしが、デビューシングルから最新シングル「甲州路」までの
。これにより、「箱根八里の半次郎」「きよしのズンドコ節」など当日はレコチョク「歌謡曲/演歌」部門のTOP100に32曲ランクインする快挙となった。12月24日(土)には最新曲が配信解禁となり、全楽曲が配信中となっている。

また、ランキングの動向で見逃せないのが大晦日の「NHK紅白歌合戦」だ。毎年、音楽シーンを彩ったさまざまなアーティストが出場するが、歌唱したアーティストの楽曲が、翌日以降のダウンロードランキング上位に登場することが恒例になっている。今年も好きな楽曲と出会い、また、再会し、デジタルで手元に置いておきたいというファンの気持ちがランキングに反映しそうだ。

2022年における演歌・歌謡曲を中心にダウンロードのランキング傾向を考察したが、共通するのは、そこに時代が反映しているということ、そして、楽曲やアーティストのファンダムや推し文化など、ある種の熱量が生じており、よりヒットが広がる原動力になっているということだ。そんな熱量があるからこそ、今後もダウンロードランキングは、数年後、数十年後もその楽曲が残っていくのかどうかの重要な指標となるだろう。

※「レコチョクアプリ(Android)」「レコチョクplus+(iOS)」は2022年12月20日をもって、アプリの提供を終了しました。今後、「レコチョク」のサービスは、Webブラウザのレコチョクサイト「レコチョク スマホWebストア」「レコチョク PCストア」でお楽しみください。レコチョクのサービスは終了いたしませんので、引き続き楽曲をご購入いただけます。
■臼井孝(人と音楽を繋げたいマーケッター)
1968年京都市生まれ。歌謡曲から最新J-POPまで様々なヒット市場を分析し、人と音楽をつなげることを生業とする。書籍『記録と記憶で読み解くJ-POPヒット列伝』のほか、フムフムニュース、日経エンタテインメント!、共同通信等で執筆、ラジオ『渋谷のザ・ベストテン』(渋谷のラジオ)にレギュラー出演中。プレイリスト『おとラボ』の選曲監修が好調。

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