ClariSが見せた 輝く冬の物語 『Cla
riS HALL CONCERT 2022 〜Let's Sno
w Parade !〜』レポート

2022.12.17(Sat)『ClariS HALL CONCERT 2022 〜Let's Snow Parade !〜』@TOKYO DOME CITY HALL
北の国からやってきた少女たち、2022、冬。クララとカレンの成長を綴る新しいドラマ「Let’ s Snow Parade!」を見るために、東京ドームシティホールへやってきた。真夏の夜の夢をファンタジックに描いたホールコンサート「Twinkle Summer Dreams」から4か月、今度は美しいイルミネーションに飾られた冬の物語だ。リリースされたばかりのカバーアルバム『WINTER TRACKS ―冬のうたー』からの曲もたっぷり聴けるだろう。舞台は整った。
「レッツエンジョイ・トゥゲザー、アーユーレディ? レッツ・スノーパレード!」
幕が下りたままのステージに鳴り響く、ファンファーレ、ナレーション、そして鮮やかなワインレッドの、アシンメトリーなドレスに身を包んだクララとカレン。「It’ s showtime!」の軽快なリズムがはじけ、やがて幕が上がると目に飛び込んで来る、階段セットに8名のダンサーと3名のコーラス隊。おそらくClariS史上最もステージに人が多い? 「Fairly Party」から「Sweet Holic」へ、軽快なスウィングジャズ風のダンスチューンを連ねてフォーメーションダンスで魅せる、これはコンサートというよりレヴュー? 完成度の高さが圧巻だ。

アリーナから第3バルコニーのてっぺんまで、グリーンとピンクのペンライトが揺れる中、二人だけで明るく元気よく歌い踊るのは「ヒトリゴト」と「Prism」。優雅なクララとパワフルなカレン、振りは同じでも個性の違うダンスに自然と目が行く。カレンの靴はクララよりピンヒールが細く高く、なのにどうしてあんなに激しく踊れるんだろう? 「スノーパレードへようこそ!」「一緒に楽しい時間を過ごしましょう!」 MCは曲に乗せて簡潔に、どんどん曲を聴かせるスピーディーな展開が楽しい。

コーラス隊がにぎやかに盛り上げた「クリスマスメドレー」のあとは、クララがソロで歌う「ウソツキ」へ。ブレス多め、清純なエアリーボイスが麗しい。シースルーの生地を使った淡いブルーのロングドレスが美しい。「eternally」の出だしをカレンに任せ、あっという間の早着替えも実に鮮やかだ。お揃いの、真っ白の綿菓子みたいにふくらんだスカートとケープがかわいい。今回の衣装もクララのアイディアによる、寒い冬に似合う配色のエレガントでキュートなものばかりだ。
冬の純真バラード「ひとつだけ」から「グラスプ」へ、スクリーンには粉雪が舞い、冬のせつない情景がさらに色濃くなる。『WINTER TRACKS ―冬のうたー』に収録された唯一のオリジナル曲「スノーライト」は、ダンサーとコーラス隊と共に冬の楽しさを思い切りアピールする。イントロが始まる一瞬前からカレンがステップを踏み始めてるのが微笑ましい。踊りたくってたまらない、前のめりな仕草が彼女らしい。あっという間にコンサートは中盤、そろそろ折り返し地点だ。
ここからはカバーコーナーです――。クララの言葉をきっかけに、『WINTER TRACKS ―冬のうたー』からのカバーを一気に4曲。T.M.Revolution「WHITE BREATH」は、男性ダンサーを従えたハイテンションのダンス、オレンジのペンライトと共にとことん激しくパワフルに。SPEED「White Love」、中島美嘉「ORION」は、白一色に染まったホールの中でどこまでも美しく幻想的に。そしてクララがソロで歌い切った辛島美登里「サイレント・イヴ」は、若さとひたむきさに大人の落ち着きを添えて、30数年前の懐かしい曲に新たな命を吹き込む。大人びたクララ、とても魅力的だ。
クララが魅せればカレンも魅せる。和風情緒たっぷりのソロ曲「Butterfly Regret」では、凛々しい和装と銀の扇、狐面の男性ダンサーを従えた軽やかな演舞で衆目をひとりじめにし、ソロパフォーマー・カレンの凄みを見せつける。アクティブなカレン、とても魅力的だ。
着替えタイムも無駄にはしない。男性ダンサーによる、昭和生まれには懐かしい「ヒゲダンス」が盛大な拍手を浴びると、コンサートはいよいよ終盤へ。クララはピンク、カレンはグリーン、艶やかなドレスに身を包み、ペンライトを振りながらノンストップで歌い、くるくる踊る。曲は「blossom」「border」、そして「again」と、アップテンポのキャッチーなダンスチューン3連発。女性ダンサーがクラップで煽り、息の合ったフォーメーションで盛り上げる。これだけのパフォーマンスを完成させるには、どれだけ練習を積めばいいんだろう。このコンサートに賭ける思いが、二人の一挙一動に詰まってる。
「みなさん楽しんでますか?」「最後まで楽しみましょう!」
ゴールに向けてラストスパートをかける前の合図のように、二人が声を重ねて呼びかけると、客席のペンライトが大きく揺れる。「irony」から「コネクト」へ、明るくはずむリズムに乗って、目まぐるしいポジションチェンジと正確な音程、そして笑顔を忘れない。ここまで歌い続け踊り続け、息も切らさず連携ミスもない、完成度の高さには驚くしかない。「今日はみなさんと一緒に冬の思い出を作ることができてうれしかったです」「楽しい時間をありがとうございました」――。最後を飾る「カラフル」の前向きな疾走感が、いつまでも消えない爽やかな後味を残す。ダンサー、コーラス隊と共に、細部の演出まで練り込まれ、誰一人をも置いて行かない一体感と幸福感にあふれた、これがClariSのスノーパレード。
「アンコールありがとうございます!」「もっともっと盛り上がっていきましょう!」
ダンサー、振付師、MCとしてもClariSのステージを支える熊谷拓明が軽妙なトークで会場を和ませ、ダンサーとコーラス隊を紹介したあとは、にぎやかなパーティー気分いっぱいのアンコールタイムだ。Tシャツにチェックのミニスカート、ショートパンツ、ロングソックスに厚底ブーツの原宿系カワイイファッションで、クララはウサギ、カレンは猫の仮面をかぶり、歌うは「仮面ジュブナイル」。男性ファンにはドキドキまぶしく、女性ファンはキラキラあこがれる、これが目と耳を飽きさせないClariSスタイル。
ほぼMCなしで突っ走った本編の代わりに、ここからはリラックスした二人のトークがたっぷり聞けた。冬のコンサートのテーマ、衣装の解説、グッズ紹介、そして「2022年のClariS活動記録」を一つ一つ振り返りながら語るコーナー。「こんなこともあったね」と、クララとカレンが笑顔で語るのを聞きながら、過行く1年をしみじみと思うひととき。そして2023年は、1月に「リスアニ!LIVE 2023」、2月に「オダイバ‼ 超次元音楽祭」、そして5月には「ClariS Spring LIVE 2023 in Zepp Haneda」の開催が決まった。最後の最後、本当のラストチューン「ALIVE」を歌う二人の目線はきっと、もう来年に向いている。
「今日は本当に素敵な思い出をありがとうございました!」「メリークラリスマス!」
おどけてはしゃいでるカレンに、クララが後ろから蹴りを入れるふりをして笑ってる。『リコリス・リコイル』OP映像のオマージュも見せてくれた彼女たちは、清楚な可愛らしさと、真面目なかっこよさと、高いエンタテインメントスピリットと、様々な表情を見せながらClariSは成長する。2023年はどんなシーンが見られるのか、新たなドラマの続きを見逃さないようにしよう。
レポート・文=宮本英雄

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