Editor's Talk Session

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【Editor's Talk Session】
今月のテーマ:
それでも世界が続くなら、
最初で最後のレーベル運営に挑戦

リスナーが選んでくれたから、
今ここに立っている

篠塚
前のバンドで所属していたレーベルの人に、バンド名を“それでも世界が続くなら”に変えたいと話したら、“その名前じゃ売れないから、もううちでは出さないよ”と言われて、そもそも売れると思ってもいなかったから“全然構わないです”って辞めて、今のバンドをやっているんです。売れたいだけのバンドからしたら真逆の道だったこんな僕を、リスナーが選んでくれたから、今ここに立っていると思っています。たいして美味しくもないラーメンを“美味しいよ!”と言って無理に売りつけたところで、食べた人は“美味しくない”って言うと思っているので、自分勝手な話ですが、僕たちの作る『YouSpica』というレーベルは技術や知名度は度外視して、まずは僕たちが心底素晴らしいと思うものをリリースする。シンプルだけどレーベルは非営利団体ではないし、それを実践するレーベルはほとんどないはずなので、逆に僕たちにならできるかなと。ここに面白い音楽あるよっていう紹介というか、そういうことを僕はレーベルとしてやりたいんですよね。
千々和
篠塚さんがやろうとしていることはミュージシャンでないとできないことばかりなのに、どうして“自分はミュージシャンだ”と言えないのでしょうか?
篠塚
こればっかりはもう性格でしょうね。音楽でも何でもそうですが、世の中って分かりやすいようにラインキングをつけるじゃないですか。1位に選ばれて嬉しい人がいるのはいいとして、結果的に“見えないところで誰かが最下位になっている”わけで。そうやって何度も最下位にされた人は“自分はたいしたことができない人間なんだ”と思うようになってくるんです。きっと、子供の頃にかけっこで常に最下位だった人は、今は運動していないって人が多いと思うんです。“自分にとって運動はダメなんだ”っていう烙印が押されることで、マイナスな記憶として脳内にインプットされて。それと同じように僕は子供の頃はいじめられっ子だったので、誰かに好かれるようなことができる人間だっていう発想がどうしても持てないままなんだと思います。現状はそうではないことは頭の中では重々分かっているんですけどね。だから、僕は本当に今のバンドのメンバーがいてくれて良かったです。うちのバンドはメンバーが“いや、そんなことねぇよ。一緒にバンドやろうよ”と言ってくれて成立していますから。

OKMusic編集部

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