博多華丸インタビュー~タップと和太
鼓に初挑戦した舞台『羽世保スウィン
グボーイズ』を明治座で上演

博多華丸主演の舞台『羽世保スウィングボーイズ』が2022年10月23日(日)~10月28日(金)に明治座で上演される。
昨年7月に博多座、8月に新歌舞伎座で上演され好評を博した本作は、九州のとある港湾都市・羽世保を舞台に、ジャズの盛んな町の造船会社で巻き起こる様々な逆境と、それに真っすぐ立ち向かう社員たちの姿、そして揺るぎない家族愛を笑いと涙で描く完全オリジナル作品となっている。
作・演出のG2は、これまでも『めんたいぴりり~博多座版~』『熱血!ブラバン少女。』と華丸主演の舞台を手掛けており、共演者もバラエティーに富んだメンバーが顔をそろえている。
二度目の明治座主演となる今回について、華丸に話を聞いた。
継続しているタップダンスの練習 その練習場所とは?
――『羽世保スウィングボーイズ』は昨年7月に博多座、8月に新歌舞伎座で上演され、1年経って待望の明治座公演となります。昨年の公演を振り返ってみていかがでしょうか。
今までの作品もみんなそうだったんですけど、この作品もやっていて楽しかったですね。お客様を置いてけぼりにはせずに、舞台上も客席もみんな楽しくやれたんじゃないかなと思います。
――和太鼓とタップダンスへの初挑戦はお忙しい中で練習を重ねられたと思います。挑戦してみての感想や苦労されたことなど教えてください。
リズム感がいい方ではないので、本番でもちょっと間違っちゃったときもあったりして、うまくごまかせたかな?みたいな感じでしたね。
――これまでタップダンス以外のダンス系はやられたことがあったのでしょうか。
ほぼないですね。28歳くらいのときに一回、一般の方に混じって博多で開催されたパフォーマンスコンテストに出て、大吉さんはギター、僕はブレイクダンス的なものをやりました。テレビのロケだったこともあり、特別賞をもらいましたが、2人とも無茶苦茶でしたね(笑)。ちなみにそのとき優勝したのはまだデビュー前のMISIAだったという、とんでもない大会でした。
――そのときブレイクダンスをやってみていかがでしたか?
番組の企画でやってくれと言われたからやりましたけど、自分なりにちゃんと取り組んだつもりです。でも難しいな、僕にはできないな、というのが正直なところでした。
――和太鼓への挑戦はいかがでしたか。すぐにちゃんと音が出るものなのでしょうか。
やっぱり打つ場所によって出なかったりとか、打ち所が悪かったらばちが折れたりとかするんですよ。ゲームセンターの『太鼓の達人』とは全然違うなと思いました(笑)。練習のために頂いたばちがあって、それに自分の名前を書くんですけど、同じものでも違う人が使っているものは、野球のバットじゃないですけど、握ったときに「あれ、これ僕のじゃないな」とわかるようになりましたね。それが演奏にうまくつながっているかはわかりませんけれども、そうやって手になじんでいくものなんだな、というのは感じました。
――和太鼓を演奏するときに大事なものは何だと感じていらっしゃいますか。
生バンドとのセッションの息が合うかどうか、ということが大事だったように今は思います。やっぱり向こうはプロなので、僕に合わせてもらっちゃったなという気はしています。だから今回はなるべく気を使ってもらわなくてもいいように、うまい具合にセッションできたらいいなと思って練習に励む所存です。
――1年ぶりの公演になりますから、和太鼓も思い出し稽古をされることになると思いますが、タップダンスもでしょうか。
いえ、タップダンスは継続してやっているんです。和太鼓のように道具がいらないから、一人でもできるので。
――そうだったのですね! 練習はどのようにやっていらっしゃるのでしょうか。
月に2回くらい先生にステップを教えてもらって、それを繰り返し自主練習しています。特に音楽とかはなしで、リズムを取りながら足の動きを練習します。
――練習をする場所はご自宅とかですか?
いえいえ、(レギュラー出演している「あさイチ」の本番前に)朝ドラ見ながらやってますよ(笑)。毎日の積み重ねが大切だと言われたので、もうルーティンにしてしまって。多少、番組スタッフにはご迷惑をかけていますけれども(笑)。
――タップシューズに履き替えたりはしないんですね。
タップシューズはさすがに履かないですよ! それでNHKやってたら片手間がひどいじゃないですか、怒られますよ(笑)。
>(NEXT)昨年コロナ禍の中で全公演やれたことが明治座に繋がっていく
昨年コロナ禍の中で全公演やれたことが明治座に繋がっていく
――今作は作・演出がG2さんです。
G2さんにはこれまで何度もお世話になっていて、本当に心から信頼して胸に飛び込んでいっている感じですね。
――華丸さん演じる五代剛はどんな人物でしょうか。
造船所の溶接のおじさんです。わかりやすくいえば九州男児という感じですけど、武骨で非常に熱くて、ちょっと怒りっぽいけど心はピュアなおじさんって感じですかね。
――共演者の方々が非常にバラエティーに富んでいらっしゃいます。大空ゆうひさんは『めんたいぴりり~未来永劫編~』に続いての共演ですね。しかも今回はジャズを歌うシーンもあるということで非常に楽しみです。
やっぱり大空さんの歌うシーンは今作の見どころの一つですし、タップダンスのダンサーの皆さんとのセッションもありますから、正面から舞台を見たいなといつも思います。大空さんは『めんたいぴりり~未来永劫編~』のときの学校の先生の役とはまた雰囲気の違う役どころで、更に今回は大空さんの歌声がしっかり楽しんでいただける展開になってます。「さすが!」という感じなのでぜひ楽しみにしていただきたいですね。それと、吉本を代表する歌姫・椿鬼奴との対決も見どころですよ。大いに比較してください(笑)。鬼奴も頑張ってジャズを歌っています。
――斉藤優さん(パラシュート部隊)の存在はもはや華丸さんの出演舞台には欠かせない存在となっていますね。
全部の舞台作品に一緒に出てもらっているので、付き人みたいになってます。本当に欠かせない存在で、助かっています。花いちもんめだったら最初に「斉藤くんが欲しい!」って言って取りに行きますね(笑)。
――南沢奈央さんとは今作が初共演ということですが、どういった印象をお持ちになりましたか。
方言で苦労されていたと思いますよ。方言については、東京の役者の皆様には苦労をかけちゃってるなとは思います。でも結局のところ、オンもオフもトータルで一番楽しんでいたのは南沢さんだったような印象です(笑)。違うジャンルの職業の人たちとの交流とかもあって、一番満喫していらしたんじゃないですかね。
――ジャズミュージシャンや和太鼓奏者、タップダンサーと様々な方が出演されています。
そうですね、だから30人余りが出演していて役者さんが11人しか出ていないという、そういう舞台も珍しいと思います。
――昨年の公演のときに何か心に残っているエピソードはありますか。
千穐楽のカーテンコールで鬼奴が号泣したことですね。もう本番中から泣いてましたから。裏でスタンバイしていたら泣きながらはけてきたから何事かと思いましたよ。
――それは舞台が終わってしまうことに感極まって泣かれていたということでしょうか。
多分そうじゃないですかね。思いもひとしおみたいで、こらえきれなかったんでしょうね。まあでも、やっぱりコロナ禍での公演ということで、いろいろきつかったですからね。天津木村くんは袖からマスクしたまま舞台に出てしまったことがありました。「風邪をひいている」っていうアドリブを入れてみんなで隠し通……せたのかはわからないですけれども(笑)。新歌舞伎座では濃厚接触者が出てしまって代役を立てたりとか、いろいろありながらも無事に全公演やれたので、これが明治座に繋がるんじゃないかなと思います。
――昨年の公演は博多大吉さんはご覧になったのでしょうか。
来ていないです。やっぱりそれぞれの劇場の地元のお客さんがほとんどでしたね。
――明治座の公演には来ていただけそうでしょうか。
どうなんでしょうね? 本人次第ですからわからないですけど、「来ていただける」って言うほど偉くないですし、来ていただかなくても結構ですけど(笑)。
>(NEXT)見始めたら時間が経つのがあっという間のポップな舞台
見始めたら時間が経つのがあっという間のポップな舞台
――これまで博多座では2年に1度のペースで座長公演を重ねて来られました。これからもこのペースは続いていきそうですか。
まあ、まだ先のことは決まっていませんけれども、やらさせていただけるのであれば定期的にはやりたいですね。舞台をやりたい、という思いももちろんありますが、やはり長期間福岡に帰れるというのは大きいですね。福岡に行くと元気になるし、福岡に帰るときは福岡空港が見えてくる上空くらいからもうホッとしますね。
――『めんたいぴりり〜博多座版〜 未来永劫編』の明治座公演前のインタビューでは、明治座のエリアにはあまりなじみがないとお話しされていましたが、その後印象は変わられましたか。
ロケなんかであのあたりに行ったり、近くを通過したりすると「ああ、明治座の近くだな」なんてちょっと懐かしい感覚になったりしますね。たった一週間でしたけど、やっぱり濃い一週間だったので、それなりに思い出はあります。
――公演中には明治座周辺は散策されましたか。
「ただいま」って言えるほどなじみの店があるわけではないですけれども、ゴハンを食べに行ったりしましたよ。今回も、なかなか最終日までは余裕がないかもしれないですけど、周辺のエリアを楽しむ時間も作れたらなとは思っています。
――昨年行われた今作の博多座公演の際の取材会で「前回が好評だったから今回がある」といった主旨のお話しをされていました。3年前の初の明治座公演ではどういった手ごたえを感じられましたか。
僕に限らず出演していた人たち、福岡から出てきている人たちは特に「東京でもやれるんだ」っていうのは思ったんじゃないですかね。お客様の反応も、福岡と変わらないなと思いました。やっぱり方言が多いし明太子の話だからどうかな、とは思ったんですけど、すごく喜んでいただけたのでよかったなと思います。
――今作は『めんたいぴりり』ともまた違った魅力を持った作品なんだろうなと想像しています。
全く違うと思います。僕自身のキャラクターはあまり変わらないかもしれないですけど、内容はすごくポップですし、見始めたら時間が経つのがあっという間だと思います。もう一回見たいな、というくらいの感じになってもらえたらありがたいですね。
――最後に公演に向けてのメッセージをお願いします。
役者さんが11人で、芸人が5人で、アイドルが2人、ダンサーが11人、和太鼓奏者が2人という、もうごちゃまぜなチャンプルー舞台ですけれども、だからこそ役者さんだけのお芝居とは違うものがあると思いますし、何の予習もせずにパッと見ても楽しめる作品になっています。公演期間も短いので「行こうと思ってのに終わっちゃってた」ってならないように、ぜひ早めにチケットを買っていただきたいです。チケットの売り上げが気になってこちらも稽古どころではなくなるので(笑)、なるべく早めにチケットが売れるように、皆さんお願いします!
取材・文=久田絢子 撮影=中田智章

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