【高野麻里佳 インタビュー】
今、この世界を生きる私たちが、
どんな幸せを
感じているのかを描いている
アルバム制作を通して経験を重ねた、
カッコ良い自分で歌いたかった
カップリング曲「スミレ」は、なぜこのタイトルに？
スミレの花が咲いているという些細な出来事が、自分と大切な人の笑顔につながるという意味が込められているんです。タイトルは“SUMILE”と“SMILE”のダブルミーニングのようになっていて。
なるほど。歌詞には描かれていませんが、高野さんは何色のスミレをイメージしましたか。
私のイメージは完全に黄色でした。笑顔とか、人がハッピーな印象を受ける色って黄色だと思うので。あと、その黄色い花がひまわりなどではなく、スミレなところにもまた慎ましい可愛さがあると思いましたね。
実は事前に調べてきたのですが、黄色いスミレには“田園の幸福”や“慎ましい喜び”といった花言葉があるのだとか。今、お話いただいた内容とまさに合致していますね。
えっ!? 黄色のイメージでぴったりじゃないですか！ 花言葉までは意識してなかったけど（笑）。
ちなみに青のスミレを選んでいた場合、花言葉は“用心深さ”だとか。
それはちょっと意味深ですし、楽曲のイメージも変わってきますね（笑）。黄色をイメージしていて良かった！
そうですね（笑）。楽曲制作時の印象深いエピソードはありますか？
「スミレ」は当初、今の完成形よりもキーが1段階高く設定されていたんです。ただ、作詞家の山本メーコさんからレコーディングの際に、“キーを下げたほうが言葉の意味がストレートに届くかも”とアドバイスをいただいて。確かに、高いキーのほうがメロディーとしては綺麗な一方、言葉の芯の部分が届くのは低いほうだなと。このあたりのバランスはすごく苦戦しましたね。
作詞家が歌唱面に助言をするのは意外ですね。
私がみなさんにたくさん質問しちゃうからかな？（笑） 声優として歌を歌う際も言葉を大切にしたいという想いがありますし、客観的な意見もどんどん取り入れていきたいと考えているので、そうした作家さんとのやりとりもかなりしています。
ところで「LOVE&MOON」「スミレ」には“夢”や“世界”などのフレーズが双方に登場するほか、歌詞の内容にも共通点が多いように思います。今回のシングルにこの2曲を選んだのは高野さんご自身ですか？
そうですね。ディレクターさんとも相談しつつ、私自身で最終的には楽曲同士の相性も踏まえて決めました。この2曲は私の中で特別感を感じる部分がすごく似ているんですよ。
特別感と言うと？
大切な誰かと月を見て幸せを感じる「LOVE&MOON」と、自分の身の回りにある幸せを見つける「スミレ」。どちらもどこか空想の話ではなく、今、この世界を生きる私たちがどんな幸せを感じているのかを描いていることですね。
確かに。
このあたりは1stアルバムの表題曲「ひとつ」にも通じているし、実は2曲ともアルバムの収録候補に入っていたんです。1stアルバムを制作するうちに尖った楽曲が多くなったので、逆に等身大の自分を歌う楽曲も入れたいと感じたのが始まりなんですよね。
では、なぜアルバムには含めなかったのでしょう？
「LOVE&MOON」と「スミレ」は、その頃から“また違う時に歌いたいな”と考えていたので。むしろ、アルバム制作を通して経験を重ねた、カッコ良い自分になってから歌いたかったんです。
そうした経緯があったのですね。話は戻りまして、本シングルには「LOVE&MOON」のMVも収録されています。撮影はいかがでしたか？
今回はとても華があるガールズバンドを組ませていただきました！ ソロアーティストなのに何を言っているんだと思われそうですが、バンドの方向性にはとても悩んで（笑）。結果的に“やさしい愛”をMV全体のテーマに、メンバーのみなさんの中で映像として浮きすぎないようなピンクの衣装を選ばせていただきました。ドクロとかのロックな印象だと今回は違うのかなと。
こだわりポイントがまだまだありそうですね。
今回はタイトルにある“MOON＝月”を、あえて一切映さない映像になっています。というのも、月を見てどんな部分を綺麗に感じるのかは十人十色だと思ったんです。満月や欠けている月、もしかしたら誰かと見ている雰囲気に惹かれるのかもしれない。そうした感性を目に見えるかたちで表現すると、逆に情緒がなくなってしまいそうだなと。なので、みなさんそれぞれ、自分の想う月を想像しながらご覧いただきたいですね。
本作の収録曲ではどちらも夢について歌う部分があるのですが、高野さん自身が抱く将来の夢も聞いてみたいです。
声優デビュー当時から国民的キャラクターの声を担当することが夢なんです。子供から大人まで、家族で楽しめるようなアニメに出演したい！ これはもう今後20年越しというより私の人生を懸けた夢ですし、きっと今すぐには手が届かないので、その目標に向けて地道に歩んでいるところです。
すでにたくさんの作品に出演しているように思えますが。
ありがたいことに。その上で、私がおばさん、両親がおじいちゃん、おばあちゃんになって時間が経ったとしても、“高野麻里佳の声だ！”と分かってもらえるようなキャラクターを演じたいですね。
私も心から応援しています。それでは、プライベートな夢は？
いつか3世帯ぶんの家を買いたい（笑）。こちらも声優デビュー当時からの夢で、お家にいる猫ちゃんとは別で大型犬も迎えられるくらいの庭つきの家がいいな。
それを都内で買いたいと思っているのですか？
できればいいですけどね～。でも、東京で広めの土地を買うのは難しいのと、ひとり暮らしだとお庭の手入れをするのも自分じゃないですか。その点、マンションだと管理費を払えば部屋以外の部分は全てお任せできるので、最近の夢は“マンション購入”です。
思った以上に現実的にイメージをして決められたんですね（笑）。
わりと真面目に考えているんですよ（笑）。これもひとつの夢なので頑張りますね！
取材：一条皓太
「LOVE&MOON」MV
「LOVE&MOON」MVメイキング
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