【白井悠介 インタビュー】
白井悠介がどんな人間なのかが、
この一枚で分かる
ゲスト声優の3人は
一緒にいて楽な人たち
「Youthful Graffiti」はキラキラとしたEDMサウンドが印象的でした。
“さわやかな青春”という印象の曲です。朝の出勤や通学の時など、気分をアゲたい時にぜひ聴いてほしいですね。
各曲について“こういう曲や歌詞がいい”と白井さんから提案したのですか?
内容については自分から言っていないんですが、3曲ともジャンルの違う曲調がいいという話はさせていただきました。どの曲も雰囲気が違うし、ショートドラマからの流れで自然に聴けるんですけど、歌詞的に一貫しているのは白井悠介の考え方だったり生き方が表現されている点で、そこは松井さんが見事に表現してくださいました。
「ツバメと風」ではラップも披露していて。
もともとラップが好きで、『ヒプノシスマイク』にかかわる前からカラオケでラップの曲を歌ったりしていたんです。それを自分名義で歌えたのはありがたいし、嬉しかったです。
歌詞はこの先も含めた人生観を歌っていますね。
このアルバムではエンディング的な立ち位置になっていますけど、今までの人生や思い出を振り返りつつ、希望に満ちた未来に向かって飛んでいこうという前向きな楽曲で。曲調としては少し落ち着いていますが、ポジティブなメッセージが詰まっています。
《ゴールが欲しい訳じゃなく僕でいたいだけ》というフレーズもあって、サッカー好きの白井さんらしい表現ですね。
本当にそうですね。作詞の松井さんって俺なのかと思うくらい(笑)、どの歌詞もすごくしっくりきました。
でも、なぜツバメだったんですか?
それは分かりません。いつか、松井さんに訊いてみようと思います。ただ、僕が小学生の頃に住んでいた家の隣のパン屋さんの軒下に、毎年ツバメが巣を作っていたという思い出があります。松井さんがその話を知っていて書いたのだとしたら、ちょっとホラーですね(笑)。
今回の楽曲を生で披露する機会というのは?
発売記念イベントもありますし、ちょっと先の話ですけど、来年の3月に今回参加してくれた声優の3人をゲストに迎えたトーク&ミニライヴのスペシャルイベントもあります。
ショートドラマに出演した代永 翼さん、西山宏太朗さん、伊東健人さんですね。この3人は白井さんにとってどんな存在ですか?
一緒にいて楽な人たちです(笑)。代永さんは年上で先輩ですが、変に気を使わないでいられるし、上下関係を感じさせないくらいやさしくて気さくで。宏太朗はふたりでいて無言でも平気なくらいです。沈黙って本来はあまり好きじゃないんですけど、宏太朗なら全然気にならないです。自然体でいられます。健人は「Only My Story」を作曲してくれた山口くんと僕がアルバイトしていたところのバイト仲間でもあるんです。3人への実際のオファーはスタッフさんにお任せしたのですが、候補を出したのは僕で、“絶対に断らないだろうな”という3人を挙げさせていただきました(笑)。
ショートドラマの収録はどんな感じでしたか?
「誕生」や「白井兄弟ラジオミステリー」などでは僕の両親や兄弟の役を演じてもらったんで、それに関しては僕がディレクションさせていただいたんです。“うちのお母さんはそういう言い方はしないので、もうちょっと柔らかくお願いします”とか。「アサリの気持ち」はすごく伸び伸びとやっている様子が伝わってくるんじゃないかと思いますね(笑)。
「アサリの気持ち」はシュールで面白かったです。
実話ではあるんですけど、なんでそこをクローズアップしたのかは僕も謎です。そこが川尻さんのセンスだなって。
最後の「イースト&ウエストホワイトウイング」では白井さんが50歳になられていましたが。
はい(笑)。まずタイトルは、伊東、西山、白井、翼という僕らの名前を英語にしただけで、収録当日にその場で僕が適当に考えてつけました(笑)。内容は“もしもの話”みたいな感じで、その頃にはリヴァプールに移住したいという夢が叶っていたらいいなと。
今はリモートでも収録ができますから、リヴァプールに住みながら声優もできますね。
リモートの技術がもっと発達して、アフレコスタジオでなくても遜色ないクオリティーでできるのであれば、今すぐにでもリヴァプールに住みたいです! その前に、英語を勉強しなきゃいけないですけど。
50歳の白井さん、どんなふうになっていそうですか?
独立して個人事務所を構えている…みたいなイメージが一般的にはありますよね。でも、僕はそういうビジョンをなかなか想像できなくて。ただ、楽しくやりたいことがやれていたらいいなと思っています。
白井さんらしいですね(笑)。では、11周年を振り返り、どんな11年だったか、そして今後はどんな活動をしたいかを教えてください。
事務所に入って4年くらいは、何ひとつオーディションに受からなくて。やっとオーディションに受かった『美男高校地球防衛部LOVE』という作品がきっかけでいろんな人に知ってもらえ、仕事も一気に増えて、そこからは激動で! それまでとはまったく違う景色が待っていました。デビューした頃には予想できなかった11年間だったと思います。ラッキーも重なったと思いますしね。
ラッキーも自分が引き寄せたんですよ。
どうなんですかね。でも、ラッキーなタイミングが来た時に、存分に力を発揮できるように、常に準備を怠らないことは大事だと思います。それはこれからの11年も心がけていきたいですね。運も実力のうちとは言いますけど、それだけじゃなく、自分からどんどん発信していけるようにしていきたいです。今もYouTubeチャンネルやアパレルブランドなど、わりと自分から発信することができているので、それをもっと広げていけたらいいなと。発信することと声優業をうまく結びつけて、それを循環させていけたらいいなと思いますね。
11年後は47歳ですね。
今はまだ学生とか若者の役が多いので、中高年の大人の役もやっていたいです。今の自分にはそういう役をやるだけの深みを出せないけど、それは人生経験を積むことで磨かれていくものなのかなって。いろいろなことを経験して、人としてもっと成熟して、深みや説得力のあるお芝居をしていたいです。そういう意味では、11年後の自分がすごく楽しみですね。
取材:榑林史章