阪口大助と釘宮理恵が読み解く「パラ
ドックス13」の群像劇!? 「阪口くん
と釘宮さんのブックトラベラー」コラ
ム第6回

 声優の阪口大助さん、釘宮理恵さんをパーソナリティに迎え、ラジオ大阪、アニメハック公式YouTube、ニコニコチャンネルプラスで、毎週日曜深夜12時(24時)から放送&配信中のラジオ番組「阪口くんと釘宮さんのブックトラベラー」。番組内では、読書好きという共通の趣味をもつ2人が「本」をメインテーマに、さまざまな話題について語り合っており、月1回ペースでの生配信(前半無料)も行われている。

 番組内で語り尽くせなかった“こぼれ話”を中心にお届けする本コラム第6回では、9月の課題図書に選ばれた東野圭吾作品「パラドックス13」について2人が熱く語った模様をお届け。10月の課題図書「退出ゲーム」の話題や、第2話が幕を開けた「原作者になろう」コーナーの今後の予想も飛び出した。
――9月の課題図書「パラドックス13」はいかがでしたか?
釘宮:私としては、大助さんに東野圭吾作品を紹介できたことがうれしかったです。東野圭吾さんの本流はミステリーだと思うので、入り口として触れてもらうのが、SF的なこの作品で良かったのかなという思いはあるのですが……。私自身、しばらくぶりの東野圭吾作品だったのですが、スポンジが水を吸い込むが如くスーッと入ってきて、やっぱり気持ちいい読書体験をさせてくれる作家さんだなと次第です。ただ、大助さんが苦手そうな描写もあったので、そこは反省しながら読んでいました(苦笑)。
阪口:カバー裏の紹介文を読んで、もっと凄惨なものを想像していたので、くぎみーが思うほど苦手な感じではなかったです。もっとみんなエゴ丸出しで、ひどいことになるんじゃないかと思っていたので……。
釘宮:久我誠哉の統制が厳しすぎたから(笑)。
阪口:あいつが上手くコントロールはしていたんだよね。誠哉と冬樹、2人の兄弟の視点で描かれる物語なんですが、どっちにも肩入れできない。
釘宮:2人とも共感しにくいですよね。
阪口:それぞれが極端に偏っていて、間が取れないんですよ。
釘宮:足して2で割りたい。
阪口:作中のような極限状態なら、誠哉みたいなタイプは頼りになるなとは思いますけど。自分があの状況下に置かれたら、メシの心配だけをして誰かの命令で動く、新藤太一のポジションになってしまうでしょうね(苦笑)。その点、くぎみーは結構しっかり回してくれそう。
釘宮:私の場合は、重圧に押しつぶされて、だんだんヒステリックになっていくと思います。「みんな、なんでちゃんとやってくれないの!?」みたいな。
阪口:そういえば、作中にはそういうタイプのキャラクターがいなかったね。
釘宮:物事をかき乱すタイプの登場人物は、あまりいませんでしたね。もしかすると、それが冬樹だったのかも(爆笑)。
阪口:主人公なのに、よりにもよって(笑)。ただ、彼の場合はヒステリーではなく、マイ正義感からの行動だけど。実際、それが功を奏するシーンもあるわけから、必ずしも悪いとは言い切れない。難しいよね、なにが正しいんだろうと考えながら読んでいました。
釘宮:確かに……。人の感情が醜く描かれていない群像劇って、結構貴重ですよね。
阪口:ところどころ嫌なところが見え隠れはするものの、基本的には登場人物みんな悪い人じゃない。
釘宮:起きていることが、あまりにも大きすぎるから。
阪口:だからこそ、人間の善良さが全面に出てきている。ヤクザの河瀬ですら例外ではなくて。
釘宮:(河瀬は)むしろ一貫して“善”だったと思う。
阪口:彼はリアリストで、誠哉とも違う“善”をもっていたんだよね。それだけに、作中の展開には驚かされたなあ。くぎみーは心配だったようだけど、僕としては楽しい読書体験でした。
釘宮:それなら、何よりです!
――10月の課題図書は初野晴さんの「退出ゲーム」に決まりました。こちらはどんな作品なのでしょうか。
阪口:吹奏楽部を舞台にした、僕が好きな、人の死なないミステリーです。高校野球を見ていたら、ブラスバンドの子たちが一生懸命演奏していたので、この作品を思い出しました。
――「ハルチカ~ハルタとチカは青春する~」のタイトルでアニメ化もされた「ハルチカ」シリーズの作品ですね。アニメ版では、第3話で「退出ゲーム」が映像化されています。
阪口:僕はアニメ版には、まだ触れられていないんですが、アニメだと第3話なんですね。原作の「退出ゲーム」は、「ハルチカ」シリーズ最初の作品なんですよ。
――今のところ本編が5巻、番外編が1巻刊行されています。
阪口:このシリーズは、お話が進むごとに、少しずつ部員が増えていくのも、なんだかゲームみたいで楽しいです。巻数を重ねるごとに主人公たちも学年が上がっていくのですが、「いよいよ最終学年!」というところに来て、僕の心もザワザワしてしまいました(笑)。「もうすぐ終わってしまうんだな」という寂しさを感じてしまって。まるで“夏の終わり”みたいな、楽しいお祭りが終わってしまうような……。だから、きっと「ハルチカ」シリーズも、最終巻は読めなくなってしまうんじゃないかと思っているんです。
――そういえば、2022年の夏は終わってしまいましたね。今年の夏はいかがでしたか。
阪口:久しぶりに実家に帰ることができました。母親が作ってくれた餃子を、親子3人で100個ほど食べました(笑)。うちの餃子は、キャベツではなくて白菜を使うんです。歯ごたえがちょっと変わって、おいしいんですよ。そうそう、うちの父親はネギが大嫌いなんですが、いつの間にか玉ネギ入りのカレーを食べられるようになっていて「大人になったなあ!」ってビックリしました(笑)。
釘宮:私は夏の暑さが苦手なので、仕事以外では、日中はお昼寝して夜に活動するようにしていましたね。イベントごとに積極的に参加するタイプでもないので“夏!”っていう感じではなかったんですが、その分読書ははかどりました。
阪口:今年の夏は猛烈に暑かったから、そういう人も多いんじゃないかな。「山、海、BBQ!!」みたいな夏らしさも悪くはないんだけどね。
釘宮:そうなんですよね。マシュマロとチョコを焼いてクッキーで挟んで……。
阪口:ああ、スモア!! おいしいよね。
釘宮:そういう夏の過ごし方も素敵だなとは思うんですが、どうしても暑さに負けちゃって(苦笑)。
――話は変わりますが、今回の「原作者になろう」のコーナーはいかがでしたか。
阪口:構成作家の稲葉風太さんの文才が光っていましたね。見事に視聴者を騙せていました。
――コメントを見ると、視聴者の意見も割れていました。
釘宮:みんなの意見が一致したタイミングは、ほとんどありませんでしたね。
阪口:一致しても、それは外れているという。
釘宮:私たちと視聴者のみなさんのフィーリングは合ったけれども(笑)。
阪口:まんまと騙されました。
――第2話のタイトルも「ドヴォルザークと踊る夜」に決定(?)しましたね。
阪口:“ドヴォルザーク”っていう響きが強そうだよね。
釘宮:私は“踊る”で「踊る大捜査線」の青島刑事が脳裏に浮かんできてしまって。なんとなく暑苦しいイメージが……。
――ところで、どこからドヴォルザークが出てきたんですか?
阪口:これも、収録前に甲子園の中継を見ていて、そこでドヴォルザークの「新世界より」の演奏を聴いたからだと思います。“ドヴォルザーク”っていう名前の響きも、中二感があっていいですよね。
釘宮:どんなストーリーになるんだろう。ドヴォルザークの曲がかかると、体が勝手に踊り出す病気にかかってしまうとか?
阪口:それでミステリー?
釘宮:謎じゃないですか?
阪口:確かに謎だけど(笑)。
釘宮:じゃあ逆に、踊っていたらどこからともなくドヴォルザークが聞こえてくるっていう……。
阪口:踊りづらいわっ!! まあ、曲にもよるだろうけど。「もしや、これがドヴォルザークの呪い……?」って(笑)。構成作家さんが何でもこい状態なので、タイトルからは内容が全然想像ができないです。
釘宮:構成作家さんって、ドMじゃないとなれない職業なんだなって思いました(笑)。
阪口:全然ストライクを投げてこないピッチャーと、どんなボールでも捕ってしまうキャッチャー。我々ピッチャーとしては、ありがたいですね。いいバッテリーだと思います。
※「阪口くんと釘宮さんのブックトラベラー」生放送は9月25日21時より放送開始

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