MORRIE

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【MORRIE インタビュー】
DEAD ENDに対する
ひとつの区切りでありレクイエム

孤高のカリスマアーティスト・MORRIEが完成させたアルバム『Ballad D』は、DEAD ENDの楽曲から彼自身がセレクトした12曲をセルフカバー。2020年に永眠した同バンドのギタリスト・足立"YOU"祐二に捧げる想いを込めたという今作は、シンプルな弾き語りをベースに多彩なアレンジが加わり、DEAD ENDサウンドの新たな魅力と彼の深いヴォーカルを堪能できる一枚になった。

“俺は好きにやるから
君も好きにやっていいよ”

DEAD ENDのセルフカバーアルバムを作ろうと思われた、そのきっかけを教えてください。

DEAD ENDは10年前の2012年3月に『DREAM DEMON ANALYZER』というアルバムを出して、その後3年ほどライヴをやっていたんですけど、2015年に活動が止まっているんです。ちょうどその時期から弾き語りライヴを始めて、自分のソロのレパートリーに加えてDEAD ENDの曲も何曲か取り上げていまして。それら昔の曲を今の自分の歌で歌い直したいという想いは漠然とありましたね。仮にDEAD ENDの曲をやるならば弾き語り的なものがいいと思っていました。そんな中、2020年6月16日にギタリストの足立"YOU"祐二が亡くなってしまった。それが今回のアルバムを作った一番大きな動機、直接的なきっかけですね。彼が亡くなってDEAD END自体をどうするかを考えなくてはいけない。単に考えとしてだけならば、ギターを新たに入れるとか、サポートで呼ぶとか、いろいろな可能性はあるわけです。でも、彼がバンドのメインコンポーザーでしたし、彼の代わりになるようなギタリストはいないので、その可能性は僕の中ではまったくなかった。あと、僕とベースの“CRAZY”COOL- JOEで、このふたりでやるっていうのもなかなか難しい。彼が亡くなってDEAD ENDの新譜が出るというのは考えられないし、そこで弾き語りでアルバムを作ってみようと考え始めたんです。

完成した作品は完全な弾き語りではなく、アレンジがかなりバラエティーに富んでいますね。

最初はシンプルな弾き語りを考えていましたが、実際にやるとなると、単純に面白くないなと思いましてね。だからと言って、バンドアレンジで再現するのも違うし。それで、DEAD ENDの数々のアルバムをプロデュースしてもらった岡野ハジメさんに話をしたんです。岡野さんはDEAD ENDに対する理解が深く、さまざまなアイディアで楽曲を面白いものにしてくれるだろうと。その時に話したのは、とにかくバンドではなく、基本はアコースティック。かと言って、アコギで弾き語り的なシンプルなものでもなく…みたいな話を漠然としたら、岡野さんが乗ってくれました。実際に作業に入ってからは、具体的なアレンジをギタリストの平田 崇くんと森永浩之さん、岡野さんに任せて。最初の「EMBRYO BURNING」(1988年5月発表のアルバム『shámbara』収録)が上がってきたのが、今年1月の半ばくらいです。制作方法としては“この曲は原曲に忠実にいく”とか、“この曲はスパニッシュ調、あるいはボサノバ調でいく”とか、“この曲はお任せしてみよう”とかベーシックアレンジを話し合い、ギタリストのお二人からワンコーラスが上がってきた段階で岡野さんと話し合って方向性を確かめて、テンポを決める。それを最終的にアレンジャーのおふた方に返して最後まで仕上げてもらう。そこに岡野さんが打ち込みでパーカッションやベース、シンセサイザーを入れ、ある程度出来上がったところで僕が歌を入れる。現代ならではですね、録音したファイルのやり取りで完結したので、誰とも実際に会いませんでした。

今作は物語が始まるようなドラマチックな名曲「SERAFINE」でスタートしますね。

「SERAFINE」は『ZERO』(1989年9月発売)というアルバムの最後に収められていて、当時から人気のある曲で…RYUICHI(LUNA SEA)もカバーしてくれていましたね。今回はSUGIZO(LUNA SEA、X JAPAN)にエレクトリックギターでギターソロを弾いてもらっているんですけど、2013年にDEAD ENDのトリビュートアルバム『DEAD END Tribute -SONG OF LUNATICS-』が出た時も彼は「SERAFINE」をやってくれていて、「SERAFINE」と言えば、もう僕の頭の中でSUGIZOのイメージがあるんです。全編にわたってSUGIZOの好きにやってもらって、SUGIZO特有のディレイ、浮遊感のある感じで、印象的なリフレインを弾いてくれていますね。ソロもオリジナルを踏襲しつつ、自分の味にまとめ上げられていて、非常にリスペクトを感じるソロだと思います。

2曲目「EMBRYO BURNING」は大胆なアレンジが加わっていて。

いきなり即興演奏から始まっています。すごくシンプルな構成で、最初の思惑では全曲「EMBRYO BURNING」的なアレンジでいこうという考えがありました。結果的に、かなり多彩なアレンジになりましたが。重厚感というか、バンドでやっている原曲とあまり聴き劣りしないのが面白いところで。コード進行がちょっとスパニッシュなので、ガットギターでスパニッシュ的なフレーバーがあるところなどは、岡野さんがラテン音楽に精通しているからですね。

原曲はかなりギターの音を重ねているということですが。

原曲のイントロは10本以上重ねてると思います。オクターブを弾いたり、ユニゾンしたり、ハモったり、そこのインパクトは強烈ですね。

しかし、どんなふうにアレンジを変えても「EMBRYO BURNING」の持つ空気感は変わりませんね。

YOUちゃんが作る曲はコード進行はとてもシンプルで、そこで彼なりの独特のニュアンスやギターのリフなりメロディーラインを弾いて作り上げることが多いんですよ。別にアバンギャルドでもないし、普通の曲とは言いませんけれども、まず変なことはやっていない。基本がすごく明確で、シンプルなラインがピシッとあるので、アレンジはいろいろな可能性があったと思います。それをアレンジャーのおふたりがどんなアレンジをしてくるのか楽しみでしたし、出来上がってくるものに対して、新鮮な驚きが毎回ありました。

曲を作った当時、足立さんとのやりとりで思い出されことは何かありますか?

これはよく話すんですが、レコーディング中、だいたいギターソロを最後に録るんですよ。僕はほぼ歌い終わっているから気が楽で、彼のギターソロに立ち会うのが一番の楽しみでした。録っている最中のことはよく覚えていますよ。彼が最も真剣になる時でしたね。

ギターソロは悩まれるタイプでいらっしゃった?

悩んでいる時もありましたよ。たぶん嫌がっていたと思うんですけれども、僕みたいなのが“もっとこうしてよ。ああしてよ”と、たまにおこがましくも言っていたので。“しょうがないな。もうひとつ何か面白いものを…”とやっていたと思うんですよ。“とりあえずMORRIEがそう言うんやったら、ちょっとやってみようか”みたいに弾いてくれることもありましたが、頑固なところは頑固なので“これでいく!”と決めると変えない。凄いなと感心しつつギターソロのレコーディングに立ち会うのが好きでした。

お互いどんどんハードルが上がっていくという関係性でしょうか?

僕はそういう対抗心みたいなものはあまりなかったですね。お互いを切磋琢磨するみたいな感じではなかった。それよりも最初は“君、すごいな。一緒にすごいことせん?”というノリで始まって。DEAD ENDってみんなうまいから、何でもできるんですよね。だから、“俺は好きにやるから君も好きにやっていいよ”と、お互い口出しさせない感じですね。大雑把に言っていますが(笑)。ただ、それでうまくいく場合もあれば、うまくいかない場合もある。メジャーの1stアルバム(1987年9月発表アルバム『GHOST OF ROMANCE』)を作る時は、プロデューサーという役割の人がいなかったので、ミックスでL.A.に行った時に、メンバーが好き勝手な注文をするものだから、エンジニアが怒って初日で“辞める!”と言い出したんです。“君らの言っていることを全部実現するのは無理だ”と。それの反省を踏まえて、2枚目の『shámbara』(1988年5月発表)からプロデューサーとして岡野さんが来てくれました。たぶん岡野さんがいないとまとまらなかったと思います。

『shámbara』の収録曲で今作4曲目の「HEAVEN」は、間奏部分が原曲はギターだったのがバイオリンになっていますが、それにはどういった背景があるのですか?

この曲は原曲に忠実なアレンジで、最初は全部アコースティックギターだったんですけど、何かもうひとひねりがいるなと。そうしたら岡野さんから僕の妻であるヘザー・パウイーに“バイオリン弾いてもらうのはどうだろう”と言われて、やってみるまでどうなるか分からなかったんですけど、意外としっくりはまりましたね。

バイオリンになることで原曲とは別の浮遊感が出ている印象を持ちました。

それは岡野さんの見立てというか。「EMBRYO BURNING」がスパニッシュ風なのも、アレンジャーの森永さんにそういう指示を出されたと思います。例えば3曲目の「LUNA MADNESS」はGipsy Kings的なノリでいきたいと言われてました。出来上がったのはハードコアボサノバ風で、これはテンポがオリジナルよりかなりアップしてます。「HEAVEN」に関してはバイオリンで、それもケルト的フィドルな感じを要求されていましたね。

「HEAVEN」は身体を委ねたくなるような美しいメロディーの曲ですよね。

この曲は弾き語りでもかなりな頻度でやっていて。『shámbara』に入っているから34年前の歌ですが、“歌い直したい”という気持ちもかなりありました。

6曲目の「PROMISED LAND」はミックスなどを咲人(ナイトメア)さんが手掛けられたそうで。

アレンジと演奏…ギターはもちろん、ミックスまでやってくれたので、咲人が大活躍しています。

展開がいろいろある曲ですね。

面白い曲ですよね。オリジナルではタブラが入っていてインドっぽいフレーバーがあったので、僕もタントラ〜とか歌っていたりしています。「PROMISED LAND」は咲人がDEAD ENDにのめりこむ導入の曲であったことを彼から直接聞いていたので、この曲をやろうとなった時に咲人がピンときて、彼にアレンジを頼みました。サビでテンポを落として、非常にドラマチックに仕上げてくれまして…気に入っています。
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OKMusic編集部

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