新日本プロレスの支配者 グレート-O
-カーン「アニサマ」にフル参戦!ド
ミネーターが見た「アニソンとプロレ
スの共通点とライブエンタメへのヒン
ト」独占レポート

今年も「アニサマ」の夏が来た。日本におけるアニメソング最大の祭典、『Animelo Summer Live 2022 -Sparkle-(以下アニサマ)』が2022年8月26日から28日にかけて、さいたまスーパーアリーナで開催された。毎年レポートをお届けしているSPICEは、今年縁あって新日本プロレスを席巻する“ドミネーター”グレート-O-カーン選手にレポートを依頼。快く帝国民の依頼を引き受けて頂き、なんと3日間フル参戦してからのレポートを執筆して頂いた。
真剣な眼差しでトータル15時間にも及ぶライブを堪能したO-カーン選手が感じたものは?ライブエンタメのヒントとは?独占&必見の内容でお届けする。

余は新日本プロレスの“支配者”グレート-O-カーンである。此度は2022年8月26~28日の3日間、さいたまスーパーアリーナで行われた『Animelo Summer Live 2022 -Sparkle-』通称「アニサマ」のライブレポートを書いてやるので有難く読むこと。
余のことを知らぬ者もおるだろうから軽く自己紹介をしてやろう。
余はプロレスラーであるが生粋のアニメ好きで、アニメ『りばあす』で声優デビューを果たし、「ゆうときょうかのあつまれ!ささもり!」、「鷲崎健・藤田茜のグレパラジオP」などの声優ラジオにも出演、アニソン誌の雄『リスアニ!』にも登場したアニメ界とプロレス界の架け橋たる存在じゃ。
試合中のオーカーン様 (c)新日本プロレス
当然「アニサマ」への参戦はこれが初めてではない。しかし、余はデビュー以前の記憶を失っているため詳しいことは分からぬが、たぶんコロナの前に来ていた気がする。今回は久しぶりのアニサマ参戦ということで、プロレス界またコロナ前と比べて書いていこうと思う。
あと、余のファンで「アニサマ」を知らぬ者へ説明するなら、ググレカス。というかこれから話すからよく見ておけ。
【1日目】
オープニングアクトで『大空スバル式羊殺し』でお馴染みの大空スバル、湊あくあ、兎田ぺこらのスパイスラブによる「カレーメシ・イン・ミラクル」。アニソンアーティストより声優アーティストが増えてきた昨今、遂にVTuberが「アニサマ」に参戦したかという想い。正確には「アニサマ」参戦とは認められないらしいが、これは点から線…来年以降、VTuberが「アニサマ」に本格侵略する伏線として覚えておく。ヴァーチャルといえどダンス、カメラワークがしっかりしていて現実、生、肉眼とは違う。その奥にある彼女達の努力が垣間見えたのが感動である。しかし、スポンサーの宣伝ソングでこんなに盛り上げられるのは面白い。“初日の初っ端”だからこそ意味があり、これをここに持ってくるのはプロデュースとしてこの上ない。トークも自分達の宣伝よりカレーメシの話が多く、カレーメシが食いたくなってくる。これはスポンサーを持つ多くのイベント、プロレスの興行も見習うべきだろう。当然商売色を避けなければならないが手本はここにある。
カレーメシブースでしっかり『ゆるキャン▲』と記念撮影もされている
さぁ、いよいよ始まる。クイーンの「We Will Rock You」が鳴り響く。「アニサマ」の定番。定番があるのはとても良いことじゃ。“簡単”に場の雰囲気を支配できるからな。それみろ、新日本プロレスにもOPがあるが徐々にジョジョに会場を包み込み一本にまとめ上げる。まるでこれから大きな闘いが起こるかのように。
アーティスト紹介の時は既にスタンディングオーベーションでペンライトの色も満面青一色に染まる。この景色はアーティストを応援する気持ちと、自分自身が楽しむんだという気持ちが具現化したもの。アニオタども、この文化は誇りにせい。なにせこの一体感と景色は東京ドームで試合をしてても追いつかん。
2曲目が始まる前のPVは闘い前の煽りVのように期待感を煽るのに成功した。事実、余に鳥肌を立たせた。アニメ絵のアイドルと声優がシンクロするバックスクリーンが神秘的であった。これだ! これがアニソンなのだ! 声優にしか見せられない景色なのだ。アニメという幻想を現実に近づけられる存在と場。夢と現実の狭間を感じるのはプロレスもライブも一緒。だから、この時は日常とかけ離れた時間でなければならないとつくづく思う。
IDOLY PRIDEの挿入歌が続く。ユニットを変え、同じアニメの曲でも模様を変えていく、声がなくとも体感でファンからの人気を、熱量の違いを感じる。それが良い。
6曲目、燐舞曲の「BLACK LOTUS」でこれまでとは明らかに熱が違った。7曲目、「unravel」はカバー曲だがライブに合う選曲であり、ここによく持ってきたなと思わせる。やれば良いというものではなく、流れの構築ができなければその日の興行がポシャってしまう。そして気づいたが燐舞曲は「カッコつける」才能の次元が違う。カメラが回った時の姿勢と表情。ライトの演出が後押しをするがこれもライブならでは。3つあるモニターの真ん中を白黒でモザイクを散らすのも憎い演出。
アニメ『このヒーラー、めんどくさい』のカーラと、その役の大西亜玖璃の1人二役の兼ね合いはほっこりさせてくれる。こういうつまみがあるのもアニサマならでは。プロレスで例えるならば、試合が終わった後の乱闘か。
輪舞曲 (c)Animelo Summer Live 2022

大西亜玖璃 (c)Animelo Summer Live 2022
Merm4id feat. m.c.A・T (c)Animelo Summer Live 2022
「アニサマ」といえば豪華なサプライズゲストが出てくるが、Merm4idとのタッグで出てきたのがm.c.A・T。懐かしい!そして続け様に燐舞曲とタッグ。同じ『D4DJ』内でこれはズルい。見たかったに決まっとるじゃろ。ファンの足踏みによる会場の揺れを感じた。揺れを感じているのにアーティストから目が話せない。こんなことはメインイベントのタイトルマッチでしか感じない盛り上がり方である。
続けてRAISE A SUILENの出番。これまで見なかった演出だが、バックバンドではなく演者のドラムの演奏だけで空気をガラリと変えたのはアニソンイベントでは見たことがない衝撃。本気でバンドに打ち込んだ成果、それがそこにあった。オーオーオーオーオー。この声は一体どこから生まれたのか? 幻聴か? いや、違う。楽器の音と掛け声のみで空気を作ったのだ。信じられない。なんだコイツら? 信じられないほどの歌唱力と演奏力。ハッキリ言って場違いな存在に感じた。素人でも分かる。上手い! あ、ゲーム「新日本プロレス STRONG SPIRITS」の「Repaint」を歌ってくれたこと感謝してやる。
そして後半戦スタート。この日余が1番の楽しみにしていたCHiCO with HoneyWorks。人前には出るが顔は映さないスタイル。マスクマンみたいにロマンがあるじゃないか。普段顔出しをしないアーティストの歌を生聞ける、その姿を見れる。このことに有り難みを再認識できたのがコロナの唯一のメリットじゃな。
27曲目。これはとても個人的な気持ちだが、愛美がソロで「アニサマ」の舞台に立っている。愛美の言葉と姿になぜか胸が締め付けられる。あぁ、そうだ、人は積み上げてきたヒストリーに惹かれるのだ。愛美これからも頑張れよ、余も負けぬ。
RAISE A SUILEN feat. ましろ&瑠唯 from Morfonica (c)Animelo Summer Live 2022
CHiCO with HoneyWorks×亜咲花 (c)Animelo Summer Live 2022
愛美 (c)Animelo Summer Live 2022
そして「アニサマ」といえばその日の出演者全員で歌う「アニサマ」のテーマソングで〆なければならぬ!
「Sparkle」爽やかで明るい曲は終わりではなく“次”を想像させてくれ。出演者が3日間変わるので毎日楽しみをさせてくれる。上段にいた女性陣の可愛らしいダンスが最後まで満足度を高めた。袖口への帰りに投げキスや可愛らしいポーズを見れて余は満足じゃ。
【2日目】
1曲目、FLOW✕GRANRODEO✕angelaによる「SKILL」。初曲にメインイベント級の曲とアーティストを組み込むのはプロレスでは見られない興行の作り方。プロレスでは前座は若手の出番で、こんな各団体のレジェンド同士がタッグを組むことがあるか? 特別感、そしてテンションを上げる曲が3曲続く、これぞ夏。
FLOW×GRANRODEO×angela (c)Animelo Summer Live 2022
DIALOGUE+ (c)Animelo Summer Live 2022
4曲目、最近余が1番注目しておるDIALOGUE+。ダンス、パフォーマンスをしっかりやっていてレベルの高さで「強いアイドル」といったイメージと、どこか応援したい欲を刺激してくる。単純に可愛いからだろうか。いや、運動量が多いのに3曲連続で歌って踊ってる時点でとんでもない練習を重ねたのだろう。それを感じるから応援したくなるのだ。やはり頑張っている姿には惹かれるものだな。悔やまれるのはメンバーが勢揃いした姿で見たかったのぅ。
8曲目、幹葉(スピラ・スピカ) feat. 重永亮介で「サヨナラナミダ -piano ver.-」。静かに音を楽しめた。ライブは盛り上がってこそと思うかもしれぬが音を楽しめる時間もほしい。じゃが先程とは打って変わりトークパートではトークが止まらない。本当に! こういう破天荒そうな奴はレスラー味があって好きじゃな。
10曲目、StylipS(小倉唯石原夏織豊田萌絵伊藤美来)復活…他のライブレポートでも題名になったり、メインになるだろうというぐらい衝撃だった。声出し禁止だが今のところ唯一声が出ていた。そりゃ是非もなかろう、プロレスで例えるならnWoが復活するようなもんだ。違う道を歩むことで成長することは容易にある。「この道を行けばどうなるものか、危ぶむなかれ、危ぶめば道はなし、踏み出せばその一足が道となり、その一足が道となる。迷わず行けよ行けばわかるさ」。トークパート+3曲を歌ったはずだ、それなのに10秒しか彼女たちを見れていないような、それよりずっと早くに終わったような喪失感が残った。
StylipS (c)Animelo Summer Live 2022
angela (c)Animelo Summer Live 2022
ウマ娘 プリティダービー (c)Animelo Summer Live 2022
angelaは歌、トーク、客いじり、全てを使って場を盛り上げる力、盛り上げようとする意欲力が1番あると感じた。総合力があるのが一番安定する。
休憩明け、ウマ娘 プリティーダービー。真ん中のモニターは出走者12人のウマ娘の特別ライブPV!! 今日の為だけに作られたPV。ここでしか見れないものだが、プロフェッショナルってのは見られる場所や回数じゃのうて、いつ何時もこだわりを貫くことじゃと思っとる。
藍井エイル。活動復帰からは初の拝見。活動を続ける難しさと有難さを教わった。推しは推せる時に推せってことじゃ!!
ReoNa。事前に聞いていたテリトリーポジションから動かない静のパフォーマンス。それを確認するつもりではいたが、終始彼女に釘付けにされた。釘付けにするパフォーマンスというのは案外身振り手振りではない。見る場所が増えるからである。ReoNaを見て大切なことを思い出した。やれば良いというものではない。増やすな、削れ!! 尖らせた先にファンは刺さっとる。
藍井エイル (c)Animelo Summer Live 2022
ReoNa (c)Animelo Summer Live 2022
FLOW (c)Animelo Summer Live 2022
2日目のトリのFLOWはさすがライブ慣れしてるなと、マイクの内容も完璧。ラストにアニサマアーティスト全員を呼んで、客と一緒にジャンプさせることができるのはFLOWというレジェンドだけだろう。実力と格がある奴には全てがついてくる。大事なこと。
次のページは……
■いよいよアニサマも三日目、グレート-O-カーン様が見た松平健の衝撃、そして総評は…?
グレート-O-カーン

【3日目】
4曲目KARAKURIの「AMATERRAS」。モニターでの演出、振り付け、コスチュームで興味を惹かれた。興味を惹くものは本質と違ってもいいのだ。細かいものにほどこだわる。それがプロというものよ。
Tokyo 7th シスターズのターン中。トークパートを全てアニメキャラのセリフとして喋る。あり得そうで無かった。言ってみればアフレコ現場を生で見てるようなもの。これも声優にしかできない演出。つくづく可能性というものをアニサマは感じさせやがる。
Tokyo 7th シスターズ (c)Animelo Summer Live 2022
i☆Ris (c)Animelo Summer Live 2022
i☆Risは場慣れしてるアイドル。ヒット曲もある、ダンスもしっかりやる、可愛さも魅せる、高クオリティで安定している。20曲目の「チキチキバンバン」 i☆Ris feat. PROPS(たくさんのチビダンサー)と、あのダンスを踊られたら流石の余もそりゃパリピにもなるっしょ! めっちゃテンション上がるメーン。ウェーイ! 本人達も言っとったがカバー感を出させなかった。10年で培った実力とキャラクターの強さがあればオリジナルと並び立つこともできるのだ。i☆Risはさいたまスーパーアリーナクラスの大舞台が似合うと感じた。ワンマンライブと言われてもおかしくないぐらい客を掴んでいるし、雰囲気、華と言われる言葉で語れぬ魅力がある。
22曲目、松平健&まあや姫 feat. i☆Ris with 腰元ダンサーズ&アニサマフレンズによる「マツケンサンバII(Summer Sparkle ver.)」。言葉を置いてきぼりにする圧巻のパフォーマンス…これは現地で見なければ100分の1も伝わらぬ愉快さである。余はプロレスもコンサートもじっくり見る派なのだが、この時だけは歓声禁止、身体を激しく動かせないことが悔しかった。
松平健 (c)Animelo Summer Live 2022
松平健 (c)Animelo Summer Live 2022
やなぎなぎ (c)Animelo Summer Live 2022
31曲目、やなぎなぎ「メルト 10th ANNIVERSARY MIX」。感動。語彙力を失って上手く言えないが、感動した。この3日間で唯一歌を口ずさみ、手拍子を取り、ジャンプをしていた。恥も外聞も捨て、周りのオタクどもと同じフィールドにいた。「余は貴様らと違うもんね」とイキっていたが、見事に崩された。感動とは…深く感じて、心を動かすこと。気づいたら身体も動かされていた。どうすればこんなことができるのか今の余にはできぬ次元。天晴。
WANDS。ボーカルが変わりあの頃と少し違うかもしれないがWANDSが「これがWANDSなんだ」と言うのならWANDSなのだ。39曲目「錆びついたマシンガンで今を撃ち抜こう」懐かしくもあり新しくもあり、この気持ちを表す言葉は何が正しい? 分かってるのはただただ歌唱力が違う。上手すぎる。40曲目「世界が終るまでは...」WANDS feat. 大黒摩季。歌唱力の次元が違う2人のデュエット。知らない奴が聞いても楽しいだろうが、『SLAM DUNK』好きの者からしたら夢の時間だ。「アニサマ」ありがとう。
WANDS feat. 大黒摩季 (c)Animelo Summer Live 2022
TrySail (c)Animelo Summer Live 2022
「アニサマ」の大トリを務めるのはTrySail。何年前か知らんが過去のライブ映像と今を重ね、決めポーズのところで今とモニター映像をスイッチさせる。初シングル発売から3ヶ月でアニサマデビューからのアニサマ3日間の大トリ。ヒストリーの魅せ方としてこれ以上ない最高の演出じゃ。
【総評】
歌とダンスと演奏は当然として。ライト、モニター、映像、コスチューム、トーク、サプライズ等全てレベルが高く、それらにインスピレーションを受けた。客を楽しませる部分で通ずる技術や根本は変わらない。他業種、他コンテンツを見るのはモチベーションアップにも繋がるしアイディアも浮かびやすい。こちらも自慢ではないが毎年東京ドームで試合をする身。だが、「アニサマ」を見るとまだまだ上があると思い知らされる。
また、プロレス会場でもコロナの影響で声を出しての応援は無しだ。今年の「アニサマ」も合いの手がないのは盛り上がりに欠けるのか? と思っていた。元々じっくり見たい派ではあるがアーティストのパフォーマンスをしっかり観れるし、歌声もしっかり聴こえるのは利点でしかない。ペンライトを振るのは許されているのだから騒ぐことも可能である。"楽しみ方が変わっただけ"だが、客側にも“楽しもうとする努力”は絶対に、どのジャンルでも必要だと理解した。
(c)Animelo Summer Live 2022
そしてもう一点気になる部分がある。これは是非もないことだが、声出し禁止だが何度か“歓喜”の声が漏れた。これはコロナならではの爆発。プロレスの会場でも起こるムーヴじゃがこれが起きた時、演者は相当嬉しいもんだ。なぜ嬉しいか? 結局は客が楽しんでくれるのが1番嬉しいからじゃよ。そのために演出の全てにこだわるし、客も楽しもうとする気持ちが大切。ここにいるすべての人間でライブは成り立っている。それを総評として締めようと思う。
せっかく良いこと書いてやったんだから、来年の「アニサマ」でまた会うためにもこの記事をSNSにアップしまくれよ!!!!
PS.弁髪の髪の色をアニサマカラーにしたんだが気づいた?

レポート=グレート-O-カーン 構成=林信行 加東岳史

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