INTERVIEW / lo-key design 進化し続
ける2人の現在地。1stアルバム『PAL
ETTE』以降の足取りと、成長の実感

R&Bを軸としながらも多彩なビート/サウンド・アプローチをみせるトラックと、それを乗りこなすスキルと確かな存在感を感じさせるボーカル。シンガーのsaltoとプロデューサー・marsh willowによるユニット、lo-key designはコンスタントな楽曲リリースを続けつつ、着実に認知と支持を拡大させている。
昨年リリースした1stアルバム『PALETTE』はそのタイトル通り、色鮮やかな音世界を描いた作品だったが、以降もlo-key designの勢いは止まらない。ふたりがリスペクトするDJ/プロデューサーであるTAARによる「Cruise」のリミックスを年末に発表して以降、今年はすでに4作のシングルをリリース。いずれも新たなポテンシャルを感じさせる作品と言えるが、全体的に感じるのはグルーヴ感の強化。これまであまり積極的には行っていなかったというライブ活動への期待も高まる。
今回はそんなlo-key designにインタビュー。直近の活動を振り返りつつ、進化の真っ只中にいる2人の現在地を探ることに。
Interview & Text by Takazumi Hosaka
Photo by Maho Korogi(https://www.instagram.com/maho_korogi/?hl=ja)
「アイデアの解像度が上がった」
――先日の『MODERN DISCO』でのライブ、盛り上がってましたね。
salto:『MODERN DISCO』のお客さんは温かいよって事前に聞いてたんですけど、想定以上に盛り上がってくれて。lo-keyはまだライブ経験が少ないので、あの日はお客さんに助けられたという感覚が強いです。
marsh willow:貴重な経験でしたね。
――ライブをすることで気づくこと、発見などはありますか?
marsh willow:ライブのことを意識せずに作っていた曲なのに、意外とフロアで映えるなって思うことはあります。それは先輩たちがDJで自分たちの曲をかけてくれたときにも感じたことで。もちろん逆もしかりなんですけど。
――なるほど。今回のインタビューでは1stアルバム『PALETTE』リリース以降の話をお聞きしたいと思います。初のアルバム制作、そしてそれを発表したことで得たこと、感じたことはありますか?
salto:制作面でいうとあれだけの曲数を短期間で作ったのは初めてで、そこで鍛えられた感覚はあります。今でもそんなにリリース・ペースが早いとは言えないと思うんですけど、それでも自分たちとしては成長できたなと。
marsh willow:アルバムのコンセプト的に、自分たちを俯瞰して色々な曲を入れたいというのがあったんですけど、以前よりも狙って作ることが上達したのかなって思います。デモの段階で思い描くアイデアの解像度が上がったというか。
――以前はもっと自然発生的に作ることが多かったのでしょうか。
marsh willow:カッコよく言えばそうなるのですが、正直に言ってしまえば行き当たりばったりというか(笑)。でも、僕たちはCDを買ったりもアルバム通して聴くことも好きなので、やっぱり自分たちでアルバムを作るときは全体の構成や流れもこだわりたくて。そのせいで制作面ではかなり苦労したんですけど(笑)。
あと、もうひとつ変化したことがあって。これまではあえて避けてきた方法なんですけど、最近の制作では2人の中でリファレンスをはっきりと出し合うようになりました。これもリリース・ペースを上げるためでもあるんですけど。
――活動初期の頃の方がそうした手法を取る方が多そうですが、lo-key designの場合は逆だったと。
marsh willow:はい。最初の頃はトラックメイクの技術もノウハウもなかったので、リファレンスを意識しちゃうと物真似になっちゃうんですよね。でも、今だったら参考にしつつも自分たちらしい作品を作れるようになったと思うので。
“表現すること”を肯定したい――lo-keyのリリックに通底する思い
――アルバム・リリース後の活動はいかがでしょうか。今年は1月発表の「Outsider」以降、コンスタントなリリースが続いていますよね。
salto:去年、先行シングルの連続リリースとアルバムを発表したことで、リスナー数が増えているのがデータとしてわかって。なので、今後もできるだけ頻繁に作品をリリースしていきたいねとは話し合っています。
marsh willow:アルバムをリリースした後はSNSでメンションしてくれる人も増えたりして、そういうのはすごくモチベーションに繋がりましたね。
――では今年リリースのシングルについて、「Outsider」から順に制作面についてお聞きしてもいいですか?
salto:これまではビートを作って、メロを乗せてっていう形が多かったんですけど、「Outsider」はほぼ同時にできたよね?
marsh willow:そうだね。そういう作り方がアルバム・リリース以降増えてきて。基本的にメロディとリリックはsaltoにお願いしていたんですけど、アルバムの制作のときに曲数も多いので全部任せるのは厳しいよなと思って、自分も少しずつ考えるようになったんです。
――marsh willowさんが意識する範囲が増えたという。
marsh willow:はい。今までもsaltoから返ってきたメロディなどに「ここはこうした方が良いんじゃない?」という意見を投げることはあったんですけど、ゼロイチから自分でアイデアを出すようになったのも、アルバム以降の変化ですね。
――「Outsider」はファンキーかつグルーヴィな1曲ですが、リファレンスとした曲もそういった方向性のものだったのでしょうか。
marsh willow:70〜80年代のソウルやファンク、あとはニューファンクのプレイリストなどもよく聴いていて。そういった曲のテンポ感やドラムの3点とベースで曲を引っ張っていく感じの曲がその当時の僕らの気分にフィットして、自分たちでもそういう曲を作りたくなったんだと思います。
salto:あと、「Outsider」作ってたくらいのタイミングで2人の中で4つ打ちブームがきたよね。
marsh willow:そうだね。
――リリックはどのようなことを意識して書きましたか?
salto:フックのメロディは僕が作ったんですけど、なんとなく「Outsider」っていう言葉が浮かんできて。そこから膨らませていった感じですね。ただ、これは全曲に言えるんですけど、自分の主観をあまり押し付けないようにっていうことを意識しています。聴く人それぞれが好きなように解釈できるように書いています。
――3月にリリースした「BLOOM」は一転してしっとりとしたソウルフルなナンバーです。この曲はどのようにして生まれたのでしょうか。
marsh willow:制作順では実はその後にリリースする「NEON」が先だったんです。ただ、テンポ感的にも「Outsider」と近かったので、自分たちとしてももっと異なる曲調の作品を出したいなと考えて。
――そこから膨らませていったと。
marsh willow:はい。あと、こういったサウンドはプリコーラスとかでコード進行を変えて展開を作った方がドラマチックになると思うんですけど、そういったことは敢えてせず、シンプルにまとめることも意識しました。それはlo-keyの作品全般に言えることでもあるんですけど。
salto:コード進行とかじゃなくてメロディで展開を作っている感じの曲だよね。サウンド的にも温かみがあるし、ちょうど季節的にも冬から春に向かっている時期だったので、そういった雰囲気がリリック面に表れていると思います。
――ソウルフルなコーラスも印象的です。
salto:サウンドの温かみを活かすためにも、コーラスは盛々にしてみようと思って。僕の方で厚めに作って、それを後から削ってもらいました。
――先ほどお話に上がった「NEON」は、これまたベースラインがグルーヴィーな4つ打ちで。
marsh willow:ちょうどハウスをよく聴いていた時期で、「Outsider」は生音っぽいテイストですけど、「NEON」はビートもドラムマシンっぽい音色を意識して作りました。
salto:「Outsider」と「NEON」はどちらもライブでパフォーマンスすることを考えながら作ったので、メロディも盛り上がるというか、覚えてくれて一緒に歌ってくれたらいいなと。リリックもクラブやダンス・フロアをイメージして書いているんですけど、この曲に限らず、リリックを書くときはいつも聴いてくれた人の心が少しでも動くというか、意識が変化するきっかけになればと考えていて。「NEON」も最終的にはそういう部分と結びつけることができたのかなと。
――今お話してくれたリリックに対する考えは、自身もそういった体験があったからこそ生まれたものなのでしょうか。
salto:僕は元々引っ込み思案というか、人前に出るのが苦手なタイプだったんです。そんな僕でも今、こうやって活動ができているのは間違いなく音楽の力で。人それぞれ違いがある中で、例えばSIURPさんやTENDREさんなど、誰かを肯定してくれるような表現には特に救われました。
――なるほど。
salto:僕みたいに人前に出るのが得意じゃない人でも、きっと人それぞれ胸に秘めてる思いっていうのはあるはずで。どんな形であれ、それを表現することを後押しというか肯定してあげたいんです。
――それがlo-key designの作品全体に通ずる思いになっていると。
salto:lo-keyというよりは主に僕なんですけど、特にリリック面では常に意識していることですね。
「シーンを引っ張っていけるような存在になれたら」
――6月には現状の最新シングルとなる「attention」をリリースしました。
marsh willow:元々lo-keyで使うかどうかも決めずに作ってたビートがあって、それをsaltoに会ったときに聴かせたら「いいじゃん」って言ってくれて。じゃあlo-keyの曲として仕上げようかと。
salto:メロディもmarsh willowが作ってくれた部分が多いよね。
marsh willow:saltoは刻むようなメロディが苦手って言ってたんですけど、この曲では敢えて挑戦させてみたり。
salto:こういう刻むメロディはこれまでだったらファルセットで歌ってたんですけど、今回Bメロでは地声でトライしてみて。全般的にボーカル・レコーディングは苦戦した記憶がありますね。
marsh willow:言葉の詰め方とか色々試行錯誤したよね。
salto:フックの部分はファルセットだと厚みが足りないなと感じたので、コーラスも重層的に組んでみて。
――リリースの際に発表したコメントによると、ミックス面でも挑戦した部分があるとのことですが、具体的にお聞きしてもいいですか?
marsh willow:単純にミックスについてもっと勉強しなければって思って、色々と勉強し始めた時期だったんですよね。知識を付けていくにつれて、それまで何となくでやってた部分への理解度も増して、それを「attention」で実践してみたっていう感じです。
――メロディの件もそうですし、まさしく今、進化の真っ只中という感じなんですね。
salto:marsh willowは僕にない引き出しを持っているし、かつlo-keyを客観的に見ることに長けていると思っていて。だからこそ、彼が提案してくれたメロディは新鮮で魅力的なものが多いと感じますし、ミックスに関しても過去の作品と聴き比べても進化が実感できています。
――今後のlo-key designの活動についてはどのように考えていますか?
marsh willow:引き続き作品をコンスタントに発表していこうと考えています。あと、最近は打ち込み感の強い作品が多かったと思うんですけど、これからは生感というかバンド感も取り入れた作品を作りたいなと考えています。僕らは元々バンドを組んでいたということもあって、一周回ってそういう方向性に帰ってきたというか。ギターとベースは自分で弾けるのと、ドラムは最近自分でプリセットを組んだお気に入りのやつがあるのでそれを使って。サンプル音源を使うときもできる限り生演奏っぽく使用するように意識しています。
あとは僕らの曲、というか主にトラックの面なんですけど、シンプルに作ってるが故に結構さっぱりしているというか、カラーがないなと感じることも多くて。今後はもっと癖の強いというか個性的なトラックを作れるようになりたいなって思っています。
salto:今月には関口シンゴさんにギターで参加してもらった新曲「」をリリース予定で。今後はこういったコラボレーションも積極的に行っていきたいなと考えています。
marsh willow:昔からOvallが大好きなので、関口シンゴさんとのコラボはめちゃくちゃ嬉しかったですね。
――では、長期的な視野でみた目標やゴールを挙げるとすると?
marsh willow:難しいですね。やっぱり音楽が大好きなので、何よりも長く続けられることが理想かなと思います。あとは今でも一作ずつ成長できている実感はあるものの、まだまだ力不足を感じることも多くて。それを限りなくなくしていきたいというか、もっと思いのままに音楽を作れるようになりたいです。
――なるほど。saltoさんはいかがでしょうか?
salto:界隈というかシーンを引っ張っていけるような存在になれたらなって思います。地元である関西の方でもヒップホップなどは盛り上がっているのですが、僕らのやっているような音楽でもムーヴメントみたいなものを作っていけたらなと。
marsh willow:僕らのような音楽――大雑把に言ってしまえばオルタナティブなR&Bをやっている人はたくさんいると思うんです。でも、まだあまり繋がれてないなと思うので、もっと連帯していけたらなと思います。あと、この前の『MODERN DISCO』でもライブを観てくれたShin Sakiuraさんなど、まさに今の日本のシーンを牽引しているような方々の輪に加われるよう頑張ります。
【リリース情報】
lyrics, music, prod, mixing & mastering by lo-key design
guitar by 関口シンゴ
Marketing & PR: ArtLed
Distribution: NexTone Inc.
■配信リンク
■lo-key design: Twitter(https://twitter.com/lo_key_design) / Instagram(https://www.instagram.com/lo_key_design/)
R&Bを軸としながらも多彩なビート/サウンド・アプローチをみせるトラックと、それを乗りこなすスキルと確かな存在感を感じさせるボーカル。シンガーのsaltoとプロデューサー・marsh willowによるユニット、lo-key designはコンスタントな楽曲リリースを続けつつ、着実に認知と支持を拡大させている。
昨年リリースした1stアルバム『PALETTE』はそのタイトル通り、色鮮やかな音世界を描いた作品だったが、以降もlo-key designの勢いは止まらない。ふたりがリスペクトするDJ/プロデューサーであるTAARによる「Cruise」のリミックスを年末に発表して以降、今年はすでに4作のシングルをリリース。いずれも新たなポテンシャルを感じさせる作品と言えるが、全体的に感じるのはグルーヴ感の強化。これまであまり積極的には行っていなかったというライブ活動への期待も高まる。
今回はそんなlo-key designにインタビュー。直近の活動を振り返りつつ、進化の真っ只中にいる2人の現在地を探ることに。
Interview & Text by Takazumi Hosaka
Photo by Maho Korogi(https://www.instagram.com/maho_korogi/?hl=ja)
「アイデアの解像度が上がった」
――先日の『MODERN DISCO』でのライブ、盛り上がってましたね。
salto:『MODERN DISCO』のお客さんは温かいよって事前に聞いてたんですけど、想定以上に盛り上がってくれて。lo-keyはまだライブ経験が少ないので、あの日はお客さんに助けられたという感覚が強いです。
marsh willow:貴重な経験でしたね。
――ライブをすることで気づくこと、発見などはありますか?
marsh willow:ライブのことを意識せずに作っていた曲なのに、意外とフロアで映えるなって思うことはあります。それは先輩たちがDJで自分たちの曲をかけてくれたときにも感じたことで。もちろん逆もしかりなんですけど。
――なるほど。今回のインタビューでは1stアルバム『PALETTE』リリース以降の話をお聞きしたいと思います。初のアルバム制作、そしてそれを発表したことで得たこと、感じたことはありますか?
salto:制作面でいうとあれだけの曲数を短期間で作ったのは初めてで、そこで鍛えられた感覚はあります。今でもそんなにリリース・ペースが早いとは言えないと思うんですけど、それでも自分たちとしては成長できたなと。
marsh willow:アルバムのコンセプト的に、自分たちを俯瞰して色々な曲を入れたいというのがあったんですけど、以前よりも狙って作ることが上達したのかなって思います。デモの段階で思い描くアイデアの解像度が上がったというか。
――以前はもっと自然発生的に作ることが多かったのでしょうか。
marsh willow:カッコよく言えばそうなるのですが、正直に言ってしまえば行き当たりばったりというか(笑)。でも、僕たちはCDを買ったりもアルバム通して聴くことも好きなので、やっぱり自分たちでアルバムを作るときは全体の構成や流れもこだわりたくて。そのせいで制作面ではかなり苦労したんですけど(笑)。
あと、もうひとつ変化したことがあって。これまではあえて避けてきた方法なんですけど、最近の制作では2人の中でリファレンスをはっきりと出し合うようになりました。これもリリース・ペースを上げるためでもあるんですけど。
――活動初期の頃の方がそうした手法を取る方が多そうですが、lo-key designの場合は逆だったと。
marsh willow:はい。最初の頃はトラックメイクの技術もノウハウもなかったので、リファレンスを意識しちゃうと物真似になっちゃうんですよね。でも、今だったら参考にしつつも自分たちらしい作品を作れるようになったと思うので。
“表現すること”を肯定したい――lo-keyのリリックに通底する思い
――アルバム・リリース後の活動はいかがでしょうか。今年は1月発表の「Outsider」以降、コンスタントなリリースが続いていますよね。
salto:去年、先行シングルの連続リリースとアルバムを発表したことで、リスナー数が増えているのがデータとしてわかって。なので、今後もできるだけ頻繁に作品をリリースしていきたいねとは話し合っています。
marsh willow:アルバムをリリースした後はSNSでメンションしてくれる人も増えたりして、そういうのはすごくモチベーションに繋がりましたね。
――では今年リリースのシングルについて、「Outsider」から順に制作面についてお聞きしてもいいですか?
salto:これまではビートを作って、メロを乗せてっていう形が多かったんですけど、「Outsider」はほぼ同時にできたよね?
marsh willow:そうだね。そういう作り方がアルバム・リリース以降増えてきて。基本的にメロディとリリックはsaltoにお願いしていたんですけど、アルバムの制作のときに曲数も多いので全部任せるのは厳しいよなと思って、自分も少しずつ考えるようになったんです。
――marsh willowさんが意識する範囲が増えたという。
marsh willow:はい。今までもsaltoから返ってきたメロディなどに「ここはこうした方が良いんじゃない?」という意見を投げることはあったんですけど、ゼロイチから自分でアイデアを出すようになったのも、アルバム以降の変化ですね。
――「Outsider」はファンキーかつグルーヴィな1曲ですが、リファレンスとした曲もそういった方向性のものだったのでしょうか。
marsh willow:70〜80年代のソウルやファンク、あとはニューファンクのプレイリストなどもよく聴いていて。そういった曲のテンポ感やドラムの3点とベースで曲を引っ張っていく感じの曲がその当時の僕らの気分にフィットして、自分たちでもそういう曲を作りたくなったんだと思います。
salto:あと、「Outsider」作ってたくらいのタイミングで2人の中で4つ打ちブームがきたよね。
marsh willow:そうだね。
――リリックはどのようなことを意識して書きましたか?
salto:フックのメロディは僕が作ったんですけど、なんとなく「Outsider」っていう言葉が浮かんできて。そこから膨らませていった感じですね。ただ、これは全曲に言えるんですけど、自分の主観をあまり押し付けないようにっていうことを意識しています。聴く人それぞれが好きなように解釈できるように書いています。
――3月にリリースした「BLOOM」は一転してしっとりとしたソウルフルなナンバーです。この曲はどのようにして生まれたのでしょうか。
marsh willow:制作順では実はその後にリリースする「NEON」が先だったんです。ただ、テンポ感的にも「Outsider」と近かったので、自分たちとしてももっと異なる曲調の作品を出したいなと考えて。
――そこから膨らませていったと。
marsh willow:はい。あと、こういったサウンドはプリコーラスとかでコード進行を変えて展開を作った方がドラマチックになると思うんですけど、そういったことは敢えてせず、シンプルにまとめることも意識しました。それはlo-keyの作品全般に言えることでもあるんですけど。
salto:コード進行とかじゃなくてメロディで展開を作っている感じの曲だよね。サウンド的にも温かみがあるし、ちょうど季節的にも冬から春に向かっている時期だったので、そういった雰囲気がリリック面に表れていると思います。
――ソウルフルなコーラスも印象的です。
salto:サウンドの温かみを活かすためにも、コーラスは盛々にしてみようと思って。僕の方で厚めに作って、それを後から削ってもらいました。
――先ほどお話に上がった「NEON」は、これまたベースラインがグルーヴィーな4つ打ちで。
marsh willow:ちょうどハウスをよく聴いていた時期で、「Outsider」は生音っぽいテイストですけど、「NEON」はビートもドラムマシンっぽい音色を意識して作りました。
salto:「Outsider」と「NEON」はどちらもライブでパフォーマンスすることを考えながら作ったので、メロディも盛り上がるというか、覚えてくれて一緒に歌ってくれたらいいなと。リリックもクラブやダンス・フロアをイメージして書いているんですけど、この曲に限らず、リリックを書くときはいつも聴いてくれた人の心が少しでも動くというか、意識が変化するきっかけになればと考えていて。「NEON」も最終的にはそういう部分と結びつけることができたのかなと。
――今お話してくれたリリックに対する考えは、自身もそういった体験があったからこそ生まれたものなのでしょうか。
salto:僕は元々引っ込み思案というか、人前に出るのが苦手なタイプだったんです。そんな僕でも今、こうやって活動ができているのは間違いなく音楽の力で。人それぞれ違いがある中で、例えばSIURPさんやTENDREさんなど、誰かを肯定してくれるような表現には特に救われました。
――なるほど。
salto:僕みたいに人前に出るのが得意じゃない人でも、きっと人それぞれ胸に秘めてる思いっていうのはあるはずで。どんな形であれ、それを表現することを後押しというか肯定してあげたいんです。
――それがlo-key designの作品全体に通ずる思いになっていると。
salto:lo-keyというよりは主に僕なんですけど、特にリリック面では常に意識していることですね。
「シーンを引っ張っていけるような存在になれたら」
――6月には現状の最新シングルとなる「attention」をリリースしました。
marsh willow:元々lo-keyで使うかどうかも決めずに作ってたビートがあって、それをsaltoに会ったときに聴かせたら「いいじゃん」って言ってくれて。じゃあlo-keyの曲として仕上げようかと。
salto:メロディもmarsh willowが作ってくれた部分が多いよね。
marsh willow:saltoは刻むようなメロディが苦手って言ってたんですけど、この曲では敢えて挑戦させてみたり。
salto:こういう刻むメロディはこれまでだったらファルセットで歌ってたんですけど、今回Bメロでは地声でトライしてみて。全般的にボーカル・レコーディングは苦戦した記憶がありますね。
marsh willow:言葉の詰め方とか色々試行錯誤したよね。
salto:フックの部分はファルセットだと厚みが足りないなと感じたので、コーラスも重層的に組んでみて。
――リリースの際に発表したコメントによると、ミックス面でも挑戦した部分があるとのことですが、具体的にお聞きしてもいいですか?
marsh willow:単純にミックスについてもっと勉強しなければって思って、色々と勉強し始めた時期だったんですよね。知識を付けていくにつれて、それまで何となくでやってた部分への理解度も増して、それを「attention」で実践してみたっていう感じです。
――メロディの件もそうですし、まさしく今、進化の真っ只中という感じなんですね。
salto:marsh willowは僕にない引き出しを持っているし、かつlo-keyを客観的に見ることに長けていると思っていて。だからこそ、彼が提案してくれたメロディは新鮮で魅力的なものが多いと感じますし、ミックスに関しても過去の作品と聴き比べても進化が実感できています。
――今後のlo-key designの活動についてはどのように考えていますか?
marsh willow:引き続き作品をコンスタントに発表していこうと考えています。あと、最近は打ち込み感の強い作品が多かったと思うんですけど、これからは生感というかバンド感も取り入れた作品を作りたいなと考えています。僕らは元々バンドを組んでいたということもあって、一周回ってそういう方向性に帰ってきたというか。ギターとベースは自分で弾けるのと、ドラムは最近自分でプリセットを組んだお気に入りのやつがあるのでそれを使って。サンプル音源を使うときもできる限り生演奏っぽく使用するように意識しています。
あとは僕らの曲、というか主にトラックの面なんですけど、シンプルに作ってるが故に結構さっぱりしているというか、カラーがないなと感じることも多くて。今後はもっと癖の強いというか個性的なトラックを作れるようになりたいなって思っています。
salto:今月には関口シンゴさんにギターで参加してもらった新曲「」をリリース予定で。今後はこういったコラボレーションも積極的に行っていきたいなと考えています。
marsh willow:昔からOvallが大好きなので、関口シンゴさんとのコラボはめちゃくちゃ嬉しかったですね。
――では、長期的な視野でみた目標やゴールを挙げるとすると?
marsh willow:難しいですね。やっぱり音楽が大好きなので、何よりも長く続けられることが理想かなと思います。あとは今でも一作ずつ成長できている実感はあるものの、まだまだ力不足を感じることも多くて。それを限りなくなくしていきたいというか、もっと思いのままに音楽を作れるようになりたいです。
――なるほど。saltoさんはいかがでしょうか?
salto:界隈というかシーンを引っ張っていけるような存在になれたらなって思います。地元である関西の方でもヒップホップなどは盛り上がっているのですが、僕らのやっているような音楽でもムーヴメントみたいなものを作っていけたらなと。
marsh willow:僕らのような音楽――大雑把に言ってしまえばオルタナティブなR&Bをやっている人はたくさんいると思うんです。でも、まだあまり繋がれてないなと思うので、もっと連帯していけたらなと思います。あと、この前の『MODERN DISCO』でもライブを観てくれたShin Sakiuraさんなど、まさに今の日本のシーンを牽引しているような方々の輪に加われるよう頑張ります。
【リリース情報】
lyrics, music, prod, mixing & mastering by lo-key design
guitar by 関口シンゴ
Marketing & PR: ArtLed
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