カワカミー賞発表! [Alexandros]川
上洋平の2022年上半期のベストアクタ
ーや特別賞は?【映画連載:ポップコ
ーン、バター多めで PART2】

大の映画好きとして知られる[Alexandros]のボーカル&ギター川上洋平の映画連載「ポップコーン、バター多めで PART2」。今回は独断と偏見で選ぶ「2022年上半期カワカミー賞」を発表。いくつかのジャンルに分けてのそれぞれのベスト作品やベストアクターを発表します!
ベストアクション賞:『アンビュランス』
カイチでした。改めてマイケル・ベイ監督、カッコいい映画作るなー。「アクション映画とは何たるか?」を考えさせられました。というのもアクション映画って賞レースではメインの部門にノミネートされることがぼぼないジャンルなわけで、受賞したとしても撮影賞とかVFX賞とかが多い。かのジャッキー・チェンも誰もが認めるスーパースターだけど、賞レースとはずーっと無縁でようやく最近になって功労賞的なものは受賞していましたよね(本当に嬉しそうだったけど)。
僕は「アクション映画が一番好き!」というわけではないんですが、人生で最初に映画館で観た映画はティム・バートン版の『バットマン』。父親の影響で『ダイ・ハード』はテレビにかじりつきながら観ていたし。それもあって、賞レースにおいて若干虐げられているアクション映画の存在意義をもっと高めてあげたい!と、誰も求めていない上からの余計なお世話を発揮してます(笑)。せめてカワカミー賞ぐらいでは一番目立つポジションで称賛させていただきたいなと。いや~、めっちゃ良かった。
『アンビュランス』より
アクションは色気なんですよね。『アンビュランス』は派手な銃撃戦や爆発シーンはふんだんに盛り込まれていますが、それだけじゃない。ビルの上から地上へのカメラワークとか、ドローンを最大限に駆使して、めちゃくちゃ艶めかしい映像になってます。もはや主人公が“人間”ではなく、“人間の行為”そのものでした。事実、『007』や『ミッション:インポッシブル』的なヒーロー然とした主人公がしっかり存在しない映画なんですよね。もちろん主要キャラクター3者とも素晴らしい演技をかましてましたが、いわゆるわかりやすいヒロイズムはほぼありませんでした。「アクション映画ってヒーローがいてなんぼじゃないの?」って思うかもしれませんが、『アンビュランス』は"アクション"そのものが主人公なわけです。だから心配ご無用です。
『アンビュランス』より
よくあるマッチョなヒーローとはほど遠く、『アンビュランス』のジェイク・ジレンホールはインテリな、IT実業家ぽい雰囲気さえある。しかも結構な犯罪者ということで全然主役っぽくない。そこに良心を持った義理の兄弟である元軍人が加担して、一緒に銀行強盗をする。その元軍人もマッチョなキャラクターではないんですよね。そして救命士の女性も絡んでいくわけですが、その3人の絡み方が割と複雑で面白いんですよね。群像劇っぽい雰囲気もあって。『クラッシュ』を思い出したのは俺だけじゃないはずです。あと、『ヒート』みたいなハードボイルドな男同士のロマンみたいなのが好きな人も楽しめると思います。そういう意味では「あー、どうせアクション映画でしょ(笑)」って思ってる人に是非観てほしい。
『アンビュランス』より
ベストロマンス賞:『パリ13区』
良かったですねー。登場人物が女性も男性も性に対して奔放で、結婚にも執着しない。「フランスってこんな感じなの?!」とちょっとカルチャーショックを受けちゃいました(いや、偏見だとは思いますが)。日本では共感を得られないかもしれないけど、刺激的な映画としておすすめしたいです。日本では芸能人が不倫すると「道徳的違反だ」って炎上して、謝罪会見して、みたいな流れが主流ですが(笑)、そんな不思議な文化が心底恥ずかしくなる映画でした。主演の方が典型的なフランス人女性じゃなく、アジア系の女性が主人公なのも珍しかったなー。
『パリ13区』より
ベストやりすぎで賞:『哭悲/THE SADNESS』
やりすぎな映画っていうと、僕は『ムカデ人間』シリーズを思い浮かべちゃうのですが、そのマイルド版が『SAW』シリーズだと思ってます。で、『哭悲』はちょうどその中間ぐらいって感じ。いいとこついてきますねーって感じがしました。中規模映画館でやってもギリギリセーフなちょうどいいグロさ。笑えるし。
台湾が舞台で、監督は台湾在住でカナダ出身のロブ・ジャバズさん。はじめまして。韓国の『新感染』に次ぐアジアゾンビ映画ここに誕生!と言いたいところですが、ゾンビ映画とはまた違う印象を個人的には持ちました。個人的には、台湾の映画ってドメスティック過ぎてちょっと入り込めないなーって思う作品が多かったんですが、これはしっかりワールドワイドを狙ってますね。
『哭悲/THE SADNESS』より
僕は映画館で観たんですが、最高でしたね。笑えてグロいけど、悲壮感もある。それがタイトルにも繋がるんですが。ちょっと『アイアン・スカイ』っぽいノリもあったな。国際映画祭でしっかり賞を取ったりしてるんですが、僕が観に行った時はお客さんが少なかったのでしっかりおすすめしたいですね。めっちゃ面白いんだよ。
やりすぎで賞の次点は『X エックス』です。なんか不思議ちゃんなスプラッター系のホラー映画でした。主役の女性と怖いおばあちゃんが○○○○という仕掛けがあったりとか。そこは続編に繋がる隠し要素だったりもするのでしっかり目に焼き付けておいてください。
『哭悲/THE SADNESS』より
ベスト切ないで賞:『さがす』
評判通り、素晴らしかったです。片山慎三監督の前作『岬の兄妹』も好きでしたが、そこからさらにポップさが加わり、なんというか、楽しかったです。監督自身もインタビューでおっしゃってましたが『さがす』は商業デビュー作ということでちょっとマイルドにしたそうです。あと、殺人犯役の清水尋也さんがすごい。「『さがす』は僕の代表作です」っていうことを記者会見か何かで言ってましたけど、これからどんどん代表作が増えていくでしょうね。かっこいいけど、それだけじゃない妖しさに惚れました。
『さがす』より
ベストやるせないで賞:『ボイリング・ポイント/沸騰』
この連載でも取り上げましたけど、超好みです。90分ワンカットで、あるレストランの一夜を追う映画なわけですけど、ただレストランで巻き起こる騒動を撮ってるだけなのに没入してしまう。最初は「どうやって撮影したんだろう?」と気にしながら観てたんですが、途中からそんなことはどうでもよくなってくる。“頑張ったで賞"にしようかと思ったんですが、話の内容的に“やるせないで賞"にしました。
※『ボイリング・ポイント/沸騰』を取り上げた回はこちら
『ボイリング・ポイント/沸騰』より
ベストアクター:スティーヴン・グレアム(『ボイリング・ポイント/沸騰』)
役者さんの集中力ってすごいと思うんです。特に舞台とかだと、自分が出ていないシーンもありながら2時間くらいずっと集中力を保ち続ける。その入り込みはライブ以上でしょうね。主役でありながら、光が全くあたってない。そんな演技をかまされたら、いやはや、拍手喝采です。
『ボイリング・ポイント/沸騰』より
ベストアクター:ルーシー・チャン(『パリ13区』)
『パリ13区』が映画デビュー作で、パリの芸術学校で演劇を学んでいる時に映画出演が決まったそうです。「ビギナーズラックですか!?」って思わず意地悪を言いたくなるぐらい素晴らしかった。飲食店で働いている休憩中に抜け出して男性とセックスして、その後店に何食わぬ顔で戻るんだけど、突然店内で踊り始めるっていうシーンは、ここ最近で一番まぶたの裏に残ってます。まーぶーたーをーとじーればーあなーたがー。
『パリ13区』より
特別賞:ブライス・ダラス・ハワード(『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』)
『ジュラシック・ワールド』の1作目から好きでした。小学校の頃の好きだった子に似ているんですよね。はい、それだけです。
『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』より
ベスト作品賞:まだ現れてないです
作品として一番なのは『ボイリング・ポイント』なんですが、正直ベスト作品賞までは至ってないんですよね。あと、単純に今年の上半期はあまり映画を観れていないんです。まだ50本もいけてなくて。下半期はがっつり観ます。ツアー中だからさ。言い訳です。おやすみ。
※2021年カワカミー賞はこちら
文=川上洋平 構成=小松香里
撮影=河本悠貴 ヘア&メイク=坂手マキ(vicca)
アレキ像制作=しげたまやこ
※本連載や取り上げている作品についての感想等を是非spice_info@eplus.co.jp へお送りください。川上洋平さん共々お待ちしています!

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