川島海荷が弟妹と結託して叶えた夢と
は? 舞台『きっとこれもリハーサル
』インタビュー

舞台『きっとこれもリハーサル』は、ある日「喪主の練習がしたい」と言い始めた母の提案で、お葬式のリハーサルをすることになった家族のハートフルコメディ。2022年9月29日(木)~10月13日(木)に東京・新国立劇場小劇場、10月22日(土)に大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA TTホールで上演される。出演は、石野真子鈴木福、川島海荷、しゅはまはるみ、羽場裕一。潤色・演出を土田英生、脚本を赤松 新が手掛ける。
<あらすじ>
喪主の練習がしたいの。あなた、付き合って。
ある日突然、「喪主の練習をしたい」と言い始めた母。ご近所さんのお葬式がグダグダで、本当に酷かったらしく、「自分が喪主をする時に、ああはなりたくない」と、近所の葬儀屋と手を組んで、一からお葬式を学んでいく。
「なんで俺が先に亡くなる前提なんだ!」と怒りながら白装束をまとう父、親になかなか言い出せない秘密を抱えた姉、大学受験を辞めようとしている弟。
バラバラの方向を見ている家族が、やる気が空回りする葬儀プランナーの指示のもと、お葬式のリハーサルをやらされることになるのだが……。
誰もが一度は経験するだろう”お葬式”についてちょっと詳しくなれる物語。

このほど、「お葬式リハーサル」に臨む太田家の長女・泉美役を演じる川島海荷にオンラインインタビューを行い、台本を読んだ感想、川島家にまつわる初出しエピソード、共演する鈴木福への想いなどを語ってもらった。

■実の弟・妹と結託してえたことは?
──「お葬式のリハーサル」という変わった題材の作品です。台本を読んだ感想から伺えますか?
設定自体はとっても変わっていますよね。だけど、その中には家族のリアルな部分が描かれていると思いました。
お互いに思い合っているからこそのすれちがい、親子やきょうだいの間にある信頼関係がバランスよく表現されていて、しかも最後にはホロっとさせられる。素敵なお話だし、この家族の一員になれるのはうれしいなと思いました。
稽古はまだこれからですが、主演の石野真子さん始め共演者の皆さんも穏やかな印象の方ばかりです。あたたかい雰囲気の稽古になりそうで、今から楽しみです。
──川島さんは長女の太田泉美役を演じられます。川島さんと泉美に共通点はありますか?
私自身も泉美ちゃんと同じく長女なので、共感する部分があります。特に、親に対して少し反抗的になってしまうところがあって……。全部をさらけ出せる相手だからこそ、つい言い過ぎてしまうんでしょうね。それでも今は大人になって落ち着いてきたので、少しマイルドになったと思うんですけど。
──親御さんに反抗的とは……ちょっと意外な面が伺えてうれしいです! ごきょうだいとの関係性はいかがですか?
妹と弟がいて、2人とはすごくいい距離感ですね。普段からベタベタするわけじゃないけど、必要なときはちゃんと話し合える。私はお姉ちゃん感を出して2人を引っ張るというよりは、どちらかというと見守るタイプです。
みんなそれぞれ我が道を進む性格なので、元気に頑張ってくれていたらそれでよくて、たまに会って一緒にご飯食べたりお酒飲んだりしながら近況を報告する、みたいな関係ですね。
──舞台の中では、鈴木福さんときょうだい役ですね。2人はお互いの秘密を共有しつつ、ある目的のためにしぶしぶお葬式のリハーサルに参加します。
そうですね。今思い出したんですが、実際のきょうだいとも目的を持って結託したことがありました。
──どんな目的ですか?
犬を飼いたいと思って、弟と妹と一緒に親にお願いしてみたら、最初大反対されて。でもあきらめずに3人で力を合わせて、あの手この手で親を説得したことがあります(笑)。
──おお! どういう作戦だったんですか?
親の目につく場所にペットショップのチラシをさりげなく置いてみたり、新聞やチラシの束の中に犬の写真を挟み込んでみたり……普段の会話の中で、近所の犬の話を持ち出したこともありました。
そのころ私が中学1年で、ちょうどこのお仕事を始めたときだったので、弟と妹が「お姉ちゃんのためにも、家に癒しが必要だよ!」って言ってくれたらしくて(笑)。
──策士ですね(笑)!
それを聞いて、親も「たしかに」って思ったみたいです。最初は「絶対に飼わない」と聞く耳を持たなかったのが、2ヶ月かけて犬を飼う生活を刷り込んでいったら、ちょっとずつ態度が変わっていったんです。最終的には「見るだけ」と言いながらペットショップに連れて行って、無事に飼うことになりました。
──3人の作戦勝ち!
そのとき飼い始めたのがヨークシャー・テリアで、最初は「小さくて踏み潰しちゃうよ~」なんて言ってた父が、結局は家族の中でいちばん可愛がってましたね(笑)。
──このエピソード自体がお話になりそうです(笑)
そういえば、と思ってお話ししたけど、このエピソードは初出しです!

■18歳になった鈴木福をどう呼ぶか問題
──タイトルが『きっとこれもリハーサル』ですが、川島さんはリハーサルがお好きですか?
好きか嫌いかで言うと、実は好きではなかったんです。子どもの頃にピアノを習っていて、発表会の前にはリハーサルをしないといけなかったけど、退屈で……。
ただ、俳優のお仕事を始めてからはリハーサルがつきものですし、その大事さをしみじみと感じることばかりです。映像でも舞台でも、練習すればするほど本番のクオリティが上がっていきますし。
──俳優としてのお仕事を重ねる中で、リハーサルの重要性に気づかれたんですね。川島さんは舞台にも映像にも出演されていますが、舞台で演じる際にはどんなことを感じていますか?
舞台はすごく鍛えられますね。筋トレみたいな感覚があるかもしれません。始まったら一度もカットがかからないのは、映像との違いですよね。最後まで休む暇もないから、集中力を切らしちゃいけないですし。だから、私の中では無酸素運動で鍛えているようなイメージです(笑)。
あとは、上演が始まるたびに新鮮な気持ちで演じることも映像との違いですよね。
──毎回気持ちを新鮮に保つためのコツはありますか?
私はまだまだ切り替えが上手にできる方ではなくて、役者の先輩方を見習って勉強している最中ですね。
舞台上で共演者の方々を見ていると、やっぱり日々表情や演じ方に変化があって。それに気がつくと、こちらも気が引き締まります。そういう意味では、いつも舞台でいい経験をさせてもらっています。
あとは、観てくださる方を意識するのも大事ですね。こちらは何度も演じているけど、観てくださるほとんどの方にとっては初めてなので、その責任を感じながら舞台に立つようにしています。
──鈴木福さんは、今回ストレートプレイ初挑戦となります。ストレートプレイの先輩として、何かアドバイスはありますか?
いや、全然アドバイスできる立場ではないんですけど……。でもこちら側の空気感って、舞台上に出ると思うんです。特に今回はきょうだい役なので、稽古場からいい関係性を築いていけたらいいなと思っているのでよろしくお願いします、と伝えたいですね。
福くんはすごくピュアに成長されていて、いい意味で印象が変わらないですよね。お会いするのが楽しみですし、意外な面も見れたらうれしいです。ちょっと大人な福くんとか。
──お2人には幼い頃から俳優として活躍されているという共通点がありますね。
私も福くんも、いろんな方が親のような気持ちで見守ってくださるのを感じていると思います。「こんなに大人になって……」と声をかけられることがうれしくもあり、葛藤みたいなものもあったりして。きっと通ずる部分があると思うので、近い距離感で一緒に頑張りたいです。
──それを聞いたら、福くん……じゃなくて福さんもきっと心強いですね。
どう呼べばいいのかわからないですよね(笑)。もう18歳なのに、つい「福くん」って呼んじゃう。「鈴木さん」って呼べばいいかな。……いや、きょうだい役なのでむしろ「福!」くらいの感じでいきたいですね(笑)。
──実際のきょうだいに負けず劣らずの仲になるかもしれないですね。最後に、これを読んでいる皆さんにメッセージをお願いします。
私はこのお話に気持ちを揺さぶられたので、観ている方にもそれが伝わるように頑張りたいです。観終わった後には、寂しさとあたたかさが残る不思議な作品ですし、きっと自分の家族のことを思い浮かべるんじゃないかと思います。よかったらぜひ、劇場に足を運んでください。
取材・文=碇雪恵

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