謎の20才ボーカリスト・超学生とは?
 活動の始まりから総動画再生回数2
億4000万回を突破した現在に至るまで
を語る

“ガナリボイス”を持つ謎の20才ボーカリスト・超学生。YouTubeチャンネル登録者数60万人目前(2022年8月初旬時点)、現時点で総動画再生回数2億4000万回突破、歌ってみた動画だけでなくオリジナル曲も多数配信するなど、精力的に活動している。

本記事では、活動の始まりから現在まで、歌・動画に対する姿勢や思い、そして意外な一面も垣間見た、“超学生”を徹底的に紐解いたインタビューをお届けする。
――マスク越しにのぞかせる甘い顔立ちからは想像できない“ガナリボイス”で中毒者を続々生み出している超学生さん。2001年9月19日生まれ、二十歳にしてYouTubeチャンネル登録者数60万人目前、総動画再生回数2億4000万回突破し、『超学生のオールナイトニッポンX』放送など盛り上がりを見せていますが、ご自身では現状をどう受け止めているのでしょうか。
僕自身の努力というよりは、いろんな方の支えや運のおかげで今があるので。せっかく巡ってきたチャンスを無駄にしないように、ひとつひとつ手を抜かずに向き合っていきたいなと思っています。
――もし自分だったらと想像すると、もっと浮かれているはず……地に足がついていますね。超学生さんが歌声を初めて公開したのは、小学5年生のころ、鎖猫さんが投稿した動画『【超学生✕ 鎖猫】リンレン★ロマンティックナイト【歌ってみた】』になるのでしょうか。
実はですね、初めて自分の歌声を世に出したのはその動画ではなくて、小4のときに投稿した“歌ってみた”のソロ動画なんですよ。
――小4! いったいどんなきっかけから“歌ってみた”を投稿することになったのでしょう。
Google ChromeのCMで初音ミクの「Tell Your World」という曲を知って、いろいろなボカロ曲を聴くうちに、YouTubeの関連動画に出てきた『歌ってみた講座』に出会って。そこでまず、いろいろなボカロ曲を歌い手さんそれぞれの個性を生かしてカバーする“歌ってみた”という文化を知って、自分もやってみたい!と思ったんです。父に「“歌ってみた”を僕もやってみたいんだけど」って相談したら、小さなピンマイクみたいなものを用意してくれて、最初はそれで録音しました。
――それがはじめの一歩だったのですね。初音ミクに出会う前から、歌うことや音楽が好きだったりもしたのでしょうか。
歌うことも音楽を聴くことも、幼いころから好きでした。母はクラシックが好きで、父はヘヴィメタルが好きで……。
――極端(笑)。
そうなんですよ(笑)。家ではケーブルテレビで音楽番組専門チャンネル『SPACE SHOWER TV』が常に流れていたりもして。
――クラシックからヘヴィメタルから洋邦のヒットチャートからボカロ曲まで、多種多彩な音楽が超学生さんの養分になっているのですね。小学生のころに投稿された“歌ってみた”は、高音がきれいで初々しいですが……。
自分で聴いても、力の抜けたいい声だなと思います(笑)。
――声変わりもあったのでしょうが、今のような“ガナリボイス”に辿り着くまでには試行錯誤もあったのでしょうか。
2019年3月に投稿した『ダーリン @歌ってみた』あたりから、だんだん実写素材動画を撮るようになって、投稿頻度も上がったら、コメントをたくさんいただけるようになって。僕はコメントを読むのが好きで隅々まで目を通すんですけど、YouTubeのコメント欄とかって、「ここの歌い方が好き」ってその秒数を書き込んでくれるじゃないですか。特にガナった部分への反応や反響がたくさんあって、そういうリスナーさんの意見を汲み上げていった結果、今の歌い方になっていったんです。
――なるほど、自然と出たガナリの魅力に気づいてくれた人がたくさんいたわけですね。超学生さんのガナリ、とても迫力があってかっこいいのですが、喉への負担はないのでしょうか。
喉を壊しちゃう方もたくさんいると思うんですけど、僕の喉と発声の仕方に限っては、高音を出すより負担が少ない体質だったみたいで。かすれたようなガナリとか動物が吠えるようなガナリとか、いろいろなガナリができたら面白いなと思っていろいろ試してきました。
――リスナーさんの反応、反響を参考にしつつ、あくまでも“楽しい”が根底にあるのですね。
その通りですね。飽き性で自分の好きなことじゃないと続かないタイプなので、歌い方とかミキシングなんかに関しては、飽きたりまた戻ったりもしつつ。
――そのときそのときの直感や感性のまま、正直に活動していると。
それもその通りです。
――今、ミキシングという言葉が出ましたが、さかのぼると『「小学生が「六兆年と一夜物語」を歌ってみた【超学生】』の時点で、「※録音、効果、MIX、うpなどは、すべて超学生が行っております」という注釈がついていることにも驚きます。
初心者ゆえ複雑なことはできていなかったので、今となってはその注釈がすごく恥ずかしいですけど(笑)……小中学生のころはバスケ部やサッカーチームに入りつつ、それとは別に面白いことをしたくて。“歌ってみた”にまつわるいろんな作業を自分でやってみたいっていう興味と、やってみたら楽しいっていう手応えがあったんです。
――スポーツと音楽、どちらも好きなこととはいえ、ちゃんと打ち込んで両立させるのって時間的にも体力的にも大変そうです。
スポーツだったら練習キツいなとか、動画だったら思うように作れないなとか、どっちも嫌になる瞬間があるんですよ。でも、あと2時間練習を頑張ったら家で“歌ってみた”を作れるぞとか、“歌ってみた”でちょっと煮詰まってるから明日は部活でストレス発散できるぞとか、僕の場合はすごくバランスが取れていたんですよね。部活では湯月凜空として、“歌ってみた”では超学生として、それぞれの世界で関わる人たちがまったく違うというのも楽しめていたんだと思います。
――そんな超学生さんですが、将来的に歌で生きていきたいと心を決めたタイミングはあるのでしょうか。
正直に言うと、未だに趣味みたいな感覚でやらせてもらっているところはあるんですけど……歌で生きていけたらいいなと思い始めたのは高2とか高3くらいだと思います。
――ちょうど進路を考える時期ですよね。
“歌ってみた”を仕事にできたらいいなっていうすごくふわっとした感じではあったんですけど(笑)。すると、ちょうどそのころから動画をたくさん観ていただけるようになったんですよね。
――先ほど触れられた『ダーリン @歌ってみた』とか、2020年1月投稿の『エバ @歌ってみた』あたりでしょうか。
そうですね。ひょっとしたら仕事にできるんじゃないかなって思えるくらいの反応をいただけるようになって。
――“ガナリボイス”全開、実写動画への移行などといった変化も要因として考えられますが、なぜ投稿動画がより注目を集めるようになったのか、ご自身ではどうとらえているのでしょう。
たとえばAdoさんだったら「うっせぇわ」とか、僕にはそういう決定的ななにかがあったわけではないというか。おっしゃっていただいたような変化をしつつ、週1ペースで動画投稿をすることで、ぬるっとじわじわと多くの人に観ていただけるようになったのかなと思います。
――週1というハイペースでの投稿を続けることができるのは、どうしてなのでしょうか。どんなに好きなことでも……たとえばどんな好物も、ずっと続いたら飽きてしまうことだってあると思うのです。
確かに。ただ、動画に関してはやりたいことが次から次へと出てきちゃうんですよ。
――表現に関して、欲が尽きないのですね。
そうです。歌だけでも“あの人みたいにうまく歌えないな”って思うし、ミックスにしたって“プロのあの人みたいな音にならないな”って思うし。どんどん発売されるエンジニアさんの著書や、新しく出回る機材やツールを追っていくと、自分の一生じゃやりきれないんじゃないかって思うほど、やりたいことが出てくるんですよ。毎日同じカレーだったら飽きるんでしょうけど、いろんな種類のカレーがあって、それを制覇したら今度はラーメンが出てきて、それにもたくさんの種類や製法があって……みたいな感じで、音楽ジャンルって無限にあるので。毎日いろんな出会いや学びがあるし、新鮮なんです。
――そうした中で、自作の仮面をつけマイクの前に立って歌う横アングルの実写素材にオリジナルMVを透過して重ねる、という手法を編み出したりとか。
ボカロP・バルーンさん(シンガーソングライターの須田景凪)の実写MVの影響はあると思います。そういうヒントを見つけると、どんどんいろんなアイデアが湧いてくるんですよ。
――これまでさまざまなアウトプットをされている超学生さんですが、日々貪欲にインプットしているからそれができているのですね。ただ、自分の表現に対しての肯定的な意見だけでなく、否定的な意見を目にすることもあると思います。そういうとき、どう対処して乗り越えてきているのでしょうか。
僕は超豆腐メンタルで、否定的な意見があるとめちゃめちゃダメージを受けるんですね(苦笑)。だから、危険そうなコメントはスルーするようにしています。「批判的な声も聞くべき」という意見もわかるんですけど、ナイフみたいに鋭い言葉だと傷付いてしまうので。
――賢明な判断だと思います。いっぽうで、動画投稿するたび、作品リリースのたびに寄せられる応援や嬉しい反応は、活動する上での大きな力になっているのでしょうね。
本当にそうです。あと、改善点みたいなものは応援の声からも読み取れるんじゃないかな、と僕は昔から思っているんですよ。たとえば、めちゃめちゃ要素を盛り込んでもそれについてコメント欄で全然触れられていなかったり、自分的には挑戦した部分にあんまり反応がなかったりすれば、みんなにはあまり刺さらなかったんだろうなって逆説的にとらえられるというか。
――いい意味でエゴがないというか、柔軟に考えることもできる人なのでしょうね。
僕は、表現に対してこだわりや愛着がなかったりもするんですよ。突然ガナリが褒められなくなったら、普通にやらなくなると思うし。ここ1、2年でいろんな武器を手に入れられたことでどんな歌い方もできるぞ、これがダメならあっちを試そう、っていう感覚があるんです。
――「いろんな武器を手に入れられた」のは、2020年12月に19歳でリリースしたデジタルシングル「ルームNo.4」から最新デジタルシングル「Fake Parade」まで、ガラっと異なる7作のオリジナル曲を発表してきたことも関係しているのでしょうか。
やっぱり、関係はあると思います。オリジナル曲の場合、ディレクションは自分ではなく作品ごとのプロデューサーさんやエンジニアさんにお任せして、「もうちょっとこう歌ってみましょうか」とかっていう提案をしていただいたり、超学生的にはもう一度録り直したほうがいいと思っても「今の最高です」って言っていただいたり、時には「お」じゃなくて「ぅお」とか、「か」じゃなくて「きゃ」って歌ってみたり。そういう視点もあるのかっていう学びがたくさんあるんですよ。あくまでその曲その曲に相応しい表現をしたいし、再現芸術として成立させたいという想いもあります。
――“超学生”を俯瞰で見ることができているのですね。
そうかもしれないですね。動画にしろ写真にしろ、僕が超学生のファンだったらこうしてくれたら嬉しいな、ワクワクするな、ということも念頭に置いていたりしますし。自分でこれを言うのは気持ち悪いかもしれないですけど、せっかく親からいい声をもらったわけで、それが一番輝くように、自分自身ファンのつもりで表現することが今は楽しいんです。
――オリジナル曲も発表するようになって、リスナーの方からの反応になにか変化はありましたか?
Jazzin’ parkさんや辻村有記さんといった多くの著名アーティストの楽曲を手がける方に楽曲提供いただいたり、谷口崇さん、獅冬ろうさんといったクリエイターさんにジャケットイラストをお願いしたことで、初めて超学生を知って好きになってくれる方もたくさんいますし、化学反応を楽しんでくれているなということは感じます。
――7月27日リリースした7thデジタルシングル「Fake Parade」は辻村有記さんが作詞作曲を、獅冬ろうさんがジャケットイラストを手がけていますが、まさにその化学反応が鮮烈ですよね。息つく間もなくリスナーを巻き込んでいくヘビーでアグレッシブなサウンドと、大胆でいて繊細、奔放でもある超学生さんの歌声の融合、だいぶ刺激的だし、怒濤の展開でまたすぐに聴きたくなる中毒性があります。
ありがとうございます! イントロもアウトロもなく、最初から最後まで声が鳴っているからか、3分間あるんですけど1分間くらいの体感ですよね。これまでのオリジナル曲と同じく、「超学生はなんでもやるので好きに書いてください」とお願いして辻村さんに書いていただいた曲なんですけど、僕自身、化学反応がめちゃめちゃ楽しかったです。
――2022年2月投稿の「ノンブレス・オブリージュ」の声だけ動画にも仰天しましたが、あれができる人だから「Fake Parade」も歌えてしまうのかと感服していたりもします。
「Fake Parade」は歌詞が難しいので、レコーディングでは立ち会っていただいた辻村さんにアドバイスいただきながら、何回か録り直したりもしたんですけど(苦笑)。どうにか乗り越えました。
――<愛を込めて引っ叩いてやるよ>はじめ強烈なフレーズも印象的ですが、超学生さん的なお気に入りフレーズを挙げるとするなら?
<愛を込めて引っ叩いてやるよ>は、YouTubeの概要欄にも書かせていただいたしお気に入りですね。あと、<天使と悪魔の睨めっこ どっちにBet>という韻の踏み方と意味のマッチ度が完璧すぎて衝撃を受けました。さすが辻村さん!って今も感動しています。
――それから、Adoさん、luzさん、__(アンダーバー)さん、肉チョモランマ、松丸亮吾さんなど、数々のコラボレーションや交流でもリスナーを楽しませてくれている超学生さん。そうしたコミュニケーション術はどうやって磨かれたのか、ということも気になっております。
今挙げていただいたコラボはほとんど先方からお誘いいただいたもので、自分から積極的に声をかけられるタイプではないんですよ(苦笑)。去年、『ちゃんげろソニック2021』に出させていただいたときには、Geroさんはじめ子どものころから動画を見ている方々とご一緒できて、夢かと思いました。動画だけの印象だと怖がられることも多いんですけど(笑)、僕はもうなんでもやるので、これからも多方面からお誘いいただけたら嬉しいです。
――「なんでもやる」とおっしゃいましたが、NGはないのでしょうか。
NGですか? えーと……ジェットコースターが苦手なので、それ系はなんとか避けて生きていきたいです(笑)。
――ちなみに、歌が抜群にうまくて多才な超学生さんの意外な一面は?
毎日お風呂2時間くらい入ってます。ぬるめのお湯につかりながら、Kindleで本やマンガを読むんですよ。ふやけるけど(笑)、中学生くらいのころから日課なんです。あとは、夜中に外を走るので体力めちゃくちゃあります。
――ジムに行くのではなく……
外を走るのが好きなんです。学生時代、バスケ部でキャプテンを務めていたときは、体面を保つために長距離走メニューでうしろから抜かされないようめちゃめちゃ頑張っていたんですけど、今は自分のペースで走れるので楽しいんですよ。もし歌い手運動会とかがあったら、持久走でトップを狙える自信はあります(笑)。
――その持久力、今後もしライブを開催するならとても役立ちそうです。
ライブはいつかできたらいいなと思っているので。
――ほかに、今抱いている夢は?
映画の主題歌を担当したいという夢がまずあります。僕はミュージカルアニメの『SING/シング』が大好きなので、シンガーのアクトもいつかやってみたくて。配信でもよく言うんですけど、『SING/シング 3』があるならどうにか出演できないかなって願っています。
――えたい夢は、どんどん口に出していったほうがいいですよね。
と、信じて。トレンド入りしたいなっていう夢は「Fake Parade」のおかげで最近2日連続して叶ったし、夢は叶うんだ、ということを実感していたりもします。あとはですね、僕はこれまでいろいろなジャンルの“歌ってみた”やオリジナル曲にチャレンジしているので、音楽好きならどれか1曲は必ずはまるんじゃないかな、と思います。超学生未体験の方は、ぜひ動画をのぞいてみてください。暇つぶしに聴いたり観たりしていただくもよし、ドハマリしていただくもよし、僕の発信がみなさんの家にいる時間を彩ることができたら嬉しいです。

取材・文=杉江優花

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