L→R 山葵(Dr)、亜沙(Ba)、蜷川べに(津軽三味線)、神永大輔(尺八)、鈴華ゆう子(Vo)、町屋(Gu&Vo)、いぶくろ聖志(箏)、黒流(和太鼓)

L→R 山葵(Dr)、亜沙(Ba)、蜷川べに(津軽三味線)、神永大輔(尺八)、鈴華ゆう子(Vo)、町屋(Gu&Vo)、いぶくろ聖志(箏)、黒流(和太鼓)

【和楽器バンド インタビュー】
『ボカロ三昧』の続編は、
いつかやりたい企画のひとつだった

2014年4月にボーカロイド楽曲のカバーアルバム『ボカロ三昧』で衝撃的なデビューを果たした和楽器バンド。彼らがその第二弾となる『ボカロ三昧2』を完成させた。8周年を迎えて原点に立ち返りつつ、より魅力を増したバンドの最新形をパッケージした同作は圧巻のクオリティーを誇っている。鈴華ゆう子(Vo)、町屋(Gu&Vo)、いぶくろ聖志(箏)に『ボカロ三昧2』について語ってもらった。

ここでまたカバーに戻るというのは
面白いんじゃないかなと思った

まずは、このタイミングでボカロ曲のカバーアルバムを作ることにした経緯を教えてください。

鈴華
和楽器バンドは8人編成なので、私たちは“8”という数字にこだわっているんですね。ファンクラブも“真・八重流”という名前だったりしていて、8周年に何かしようという話になりまして。それに、私たちが最初に出したアルバムが『ボカロ三昧』だったので、メモリアルイヤーに『ボカロ三昧2』を作るのはどうだろうかと以前から話していたんです。それで、10周年ではなくて8周年のタイミングで一度原点に返って、ボカロのカバーアルバムを出すことになりました。
町屋
僕はボカロシーンをずっと追いかけているし、『ボカロ三昧』の続編は、このバンドでいつかやりたい企画のひとつだったんです。なので、今回いいタイミングでできたと思いますね。
聖志
8周年を記念して『ボカロ三昧2』を作る話が出た時は、いいんじゃないかと思いましたね。『ボカロ三昧』から始まって、そこから自分たちのオリジナル作品をいろいろ作ってきて、ここでまたカバーに戻るというのは面白いと。それはみんな同じだったみたいで、反対するメンバーはいなかったです。

みなさんの気持ちが一致した状態で制作に入られたんですね。『ボカロ三昧2』に収録する楽曲はどんなふうに決めたのでしょう?

鈴華
うちのバンドは町屋さんとベースの亜沙くんみたいにボーカロイドをよく聴いている人もいれば、あまり聴いていない人もいるので、まずは町屋さんと亜沙くんにオススメの曲とか、最近のトレンドとかをリストアップしてもらいまして。で、それをそれぞれが聴いて候補を絞っていって、メンバーとして“これは和楽器バンドとしての色が出せるんじゃないか”というものを選んで、それをもとにレーベルのスタッフさんと相談していきました。レーベル側もこだわりとして“これは入れたい”という曲があったので、総意の落としどころをまとめたのが今回の13曲です。
町屋
曲を決めるのも比較的スムーズだった印象がありますね。メンバー内で意見がぶつかったりすることは一切なかったです。
鈴華
個人的に絶対に入れたかったのは、まずはリード曲になった「フォニイ」ですね。大好きな曲ですし、ぜひ和楽器バンドのバージョンも聴いてほしいです。前回の『ボカロ三昧』の時は私たちがまだ世の中に認知されていなかったので、とにかく詩吟の歌い方を全曲に無理矢理にでも入れて印象づけようとしていたんです。今回はそこにこだわる必要はなくて、自分らしく歌えばいいというところに至っていたわけですが、私が普段歌っているキーよりも5~6度くらい高いわけですよ。それを歌いこなそうと思った時に、どういうふうに自分を表現するかということで深く向き合ったので、すごく思い入れがあります。

新しいことに挑戦されたんですね。「フォニイ」をアレンジするにあたって大事にしたことは?

町屋
どの曲もそうですけど、原曲のイメージを残すには耳に飛び込んでくるフレーズを誰かが担わないといけないんですね。なので、「フォニイ」の冒頭の《この世で造花より》というところのバックは原曲はピアノなんですけど、ピアノの右手のパートを箏が弾いて、左手をギターが担当するという棲み分け方になっています。今回のアルバムはそういうことの積み重ねで、原曲のイメージを崩さずに、かつ余計な足し算をあまりしないように心がけて作りました。
鈴華
あと、「紅一葉」も絶対にやりたいと言った曲です。和楽器バンドのお家芸みたいになっている和風バラードは入れたかったし、それこそこの曲は思いきり詩吟の歌い方を取り入れたい想いもあって。「千本桜」の作家でもある黒うささんへのリスペクトも含めて、これは絶対にカバーしたいと最初からずっと言っていました。
町屋
言っていたね(笑)。今回の曲の中で、作りを大きく変えたのが「紅一葉」なんです。もともとは4つ打ちEDMみたいなサウンドだったんですけど、旋律が和でこういう進行であれば、我々のアプローチとしてはバラードで、思いきり和楽器のアンサンブルを聴かせて、ヴォーカルも詩吟の節調という技法を存分に活かすというパターンがハマると思ったんです。なので、テンポはそのままでリズムをハーフに落として。そうすると空間が生まれるじゃないですか。空間が生まれることで和楽器が浮いてくるので、この曲はその辺を意識してアレンジしました。

「紅一葉」や「天ノ弱」はBメロでワルツに移行するという展開もいいですね。

町屋
2曲とも4/4拍子から3/4拍子に変わるという点は一緒ですけど、「紅一葉」は和っぽい世界観から少しクラシカルな世界観のワルツに変化する感じなんですよね。それに対して「天ノ弱」はロックの4/4からジャズの要素が入ったワルツに変わるので、棲み分けはできていると思います。ボカロ曲というのは作家さんがDTMで完結させているものがほとんどを占めていて、それをリアレンジしていくと作家さんは本当はもっとこうしたかったんじゃないかということを感じるようになるんです…まぁ、僕の勝手な想像ですけど。例えば「アイデンティティ」はファストビバップのアレンジになっていて、マイナーキーだけどファンシーというところで、ちょっとおとぎ話みたいなサウンドに一見聴こえるけれども、分解していくと作家のKanariaさんがやりたかったのはもっとジャジーなものだったんじゃないかなというところに行き着いたんです。それで、思いきりジャズにしようと。

ただ単に“ジャズアレンジにするとカッコいい良いだろう”ということではなくて、原曲を噛み砕いた結果なんですね。

町屋
そうです。「天ノ弱」のワルツパートも原曲はディストーションギターとクランチギター、ベースがルートを押さえているくらいな感じで、ドラムのパターンの変化でジャジーに聴かせていると思うんですね。それをもっと本格的にギターがウォーキングをしながら裏でガイドとラインを取っていくみたいなかたちにしました。「天ノ弱」に限らず、今回は楽曲内のそれぞれのセクションを構成している要素を強くするアプローチを結構しましたね。

アニメ作品をものすごく丁寧に実写化する作業みたいですね。

町屋
まさにやっていることはアニメの実写化に近いですね。アニメの実写化は原作ファンから反感を買うことが多いじゃないですか。なので、作家さんにもファンの方にも“うわっ、何だこれ?”と思われないように自身が楽曲のファンになって、どんどん掘って掘って楽曲の理解度を深めていくということを一曲一曲丁寧にしていきました。

聖志さん、町屋さんの収録曲の中で印象の強い曲は?

聖志
ボカロをあまり聴かなくて、原曲を知らない方でもパッと聴いた時に和楽器バンドの魅力が伝わりやすいのは「ベノム」「紅一葉」「キメラ」辺りだと思います。僕たちが今まで培ってきたものや和楽器の在り方、ギター/ベースのロックっぽさ、ドラムと和太鼓のコンビネーションのカッコ良さといったものが詰まっていて、まず初めに聴いてもらうとボカロのカバーアルバムとしてではなくて、僕たちがどんなバンドかをよく分かってもらえる気がしますね。
町屋
「ベノム」はレコーディングの後半戦で録った曲で、リズム隊が4つ打ちに飽き飽きしていたんです(笑)。ほぼ全曲4つ打ちなので、もう叩きたくないと言うからAメロとかは原曲リスペクトでなるべくそのままに、それ以外のところはファンクのフィールを入れることにしました。あと、「ベノム」の歌詞は世の中に対して不満たらたらなんですよ。でも、メロディーはすごくキャッチーなんですよね。なので、ここは誰かがドロドロしていたり、気持ち悪いところを作らないといけないと思って、ギターは短2度とかで当てまくっています。

狂騒的でありながら妖しい雰囲気もあるというところが絶妙です。聖志さんが挙げてくださった「キメラ」はヘヴィなユニゾンリフを活かしたりしていて、“ロックな和楽器バンド”を味わえますね。

町屋
我々、こういう感じは得意なんですよ。ただ、歪んだギターをどんどん重ねていけばヘヴィなものは簡単に構築できますけど、「キメラ」はもともとあったギターリフを分解して和楽器に割り振って、ギターはそれとは違っていて、かつ共存できるフレーズを別途差し込んでいるんです。そうやってギターも和楽器も全部聴こえる状態にしました。『ボカロ三昧2』の中で僕の推し曲を挙げるとしたら、「マーシャル・マキシマイザー」ですね。原曲がすごく好きだし、歌詞は本を読まない人や言葉を知らない人には分かりづらいと思いますけど、アンドロイドが人類を破滅させるという話なんですよ。この曲はTikTokとかで流行っていて、何を言っているのかよく分からない、単にノリのいい曲だと思われがちだけど、実はすごくシリアスなことを歌っているんです。そのシリアスな感じと疾走感、それからこの曲特有の透明感を押し出すことを意識しました。ただ、原曲はほとんどギターが入っていなくて。ギターが入っていない曲にギターを入れるのはむちゃくちゃ難しいんですよ。しかも、曲が好きで壊したくないから、ギターのレコーディングは本当に大変だった。そういうことも含めて、「マーシャル・マキシマイザー」は印象が強いですね。
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OKMusic編集部

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