【叶 インタビュー】
“僕が今できる、
まったく欠点のない曲”が
詰まっている
みなさんに聞いてほしいことを
詰め込んだアルバム
4曲目には小気味良く疾走感のある「モラトリアム」が続きます。“大人になるまでの猶予期間”という意味の言葉をタイトルに冠した理由は?
タイトルはいくつか候補があった中から、僕が選ばせていただいたんです。この曲は自分の中で正解が見つけられなくて、情景を思い浮かべるのが難しかったです。でも、それがこの曲の正しい在り方なんだと思って歌いました。そこが一番の終着点なのかなと。感情的に分からないものをはっきりさせるのって難しいじゃないですか。だったら、感じたそのままのほうがいい。大人になっていくにつれて変わっていくものもあるけど、変わらないものを大事にしたいという気持ちを歌っています。
その“変わらないもの”というのが《永遠に咲き誇る造花》という歌詞にも表れていますよね。
そうですね。枯れないし、咲いていくものでもないという。
聴く人それぞれで感じ方が異なりそうな歌詞も印象的ですね。そして、最後の「Kids」は尾崎雄貴さんが手がけた楽曲で。尾崎さんとのやりとりで共有したことは?
バラードとか静かめの曲をやってみたいというのはお願いしました。この曲を最初に聴いた時、気持ちを共感しやすくて、伝えたいこともはっきりしていてすごくいい曲だと思いましたね。2番の《したいことでいっぱいの子供みたいに》という部分は、まさに僕がゲーム配信をしている時がそんな感じで。楽しみすぎて寝る時間も惜しんでやっているみたいな(笑)。《僕の飲む分も/求めた分だけ君にあげたい》という歌詞も、僕がリスナーさんに対して思っていることだったりします。曲が繊細なので歌っている際も、ちょっとでも雑に歌ってしまったら散ってしまいそうな花のように思えて、“大事に、大事に”って思っていましたね。
5曲とも振り幅があるインパクトのある楽曲ばかりですが、“まったく欠点がない”という意味の“flawless”と絡め、“flores”を本作のタイトルに冠したのも、この楽曲群に対する想いからなのですか?
本当にそのとおりで、“僕が今できる、まったく欠点のない曲”が詰まっているミニアルバムだと思うので、このタイトルをつけさせていただきました。僕はあんまり自己表現をちゃんとしようと思ったことがなかったし、人の相談を聞いて話すことはあったから、みなさんにはいろいろな印象を持たれていると思います。そんな僕ですが、本当にみなさんに聞いてほしいことを詰め込んだ一枚なので、ぜひそれぞれの解釈を見つけてもらえたらと思いますね。
今作を作り終えて心境的な変化はありますか?
やっぱり曲に対して向き合い方が変わったことが、何よりも大きいですね。音楽を“なんとなく”では聴かなくなったというか。今までは好きな雰囲気とかで音楽を聴いていたりしたんですが、今は“この曲にはどんな想いが込められているんだろう?”とか意識して聴くようになりました。
そんな音楽活動とVTuberを並行していくことにはどんな気持ちがありますか?
今回のアルバムを作り終えて、“次に作る時はこうしたい”という想いが芽生えたんです。“伝えたいことってなんだろう?”と普段の生活でも、VTuberの配信の時でも考えるようになったし。だからこそ、それぞれの活動がいい刺激になっていると思います。
今後、音楽活動でやってみたいことはありますか?
ソロライヴや作詞とか、今までやっていないことをやってみたいですね。
取材:齊藤 恵