舞台『文豪ストレイドッグス STORM
BRINGER』開幕 舞台写真・開幕レポ
ートが到着

2022年6月24日(金)東京・日本青年館ホールにて、舞台『文豪ストレイドッグス STORM BRINGER』が開幕した。27日(月)までの東京公演ののち、7月2日(土)~3日(日)には大阪・東大阪市文化創造館 Dream House大ホールにて上演する。
そしてこのたび東京・大阪の一部公演にてライブ配信を実施することが決定した。公演ごとのオリジナルブロマイドや、キャラクターにフィーチャーした収録映像など配信限定のコンテンツが用意され、アーカイブ配信期間中は何度でも視聴できる。
開幕に際し、舞台写真とオフィシャルレポートが到着した。

【オフィシャルレポート】
【作品の内容に触れるネタバレがありますので、ご注意ください】
中原中也とは一体、“何”なのか。舞台『文豪ストレイドッグス』、通称「文ステ」はついに過去の真実の扉を開く――。
「異能」の力を持つ者たちを擁する「武装探偵社」と「ポートマフィア」がしのぎを削る架空の都市ヨコハマ。2017年の初舞台化以来5年、6作品という圧倒的なスケールで、途方もない物語を紡いできた「文ステ」。前作『太宰、中也、十五歳』ではのちに「双黒」と呼ばれる二人の少年、太宰 治と中原中也の出会いが描かれた。そしてシリーズ第7作となる今回の舞台『文豪ストレイドッグス STORM BRINGER』。前作の1年後、ポートマフィアに加入した中原中也の前に中也の兄を名乗る暗殺王ポール・ヴェルレエヌが現れる。「お前の心に関わる人間を、全員暗殺する」というヴェルレエヌ。中也は欧州の人造知能捜査官・アダム・フランケンシュタインと手を組んで、彼の計画を阻止しようとするが……。
圧巻のアクションやプロジェクションマッピングを駆使し、ハリウッド映画さながらのスケールで物語を届けるが、そこで浮かび上がってくるのは「生きるとは何か、自分は何者なのか」という人間の根源的な命題。心が熱く燃える人間ドラマだ。
満を持して中原中也に挑む植田圭輔。2017年のシリーズ第1作から登場し、今作で中原中也役として5度目の出演となる。自分とは“何”なのか――全身全霊でこの問いにぶつかっていく中也に、植田が熱い魂を捧げて演じているのが伝わってくる。自分は人間なのか、それとも魂を偽造した人間の模造品なのか。自分のアイデンティティに悩みもがく姿が実は一番人間らしいのだと感じさせられた。荒ぶって見せながらも、心の芯の部分では「家族」への思いは強く、揺るぎない。植田の真摯な取り組みによって、中也の人物像が生き生きと色づく。さらに、これまでの上演作品を上回る肉体表現を見せて、物語を熱く躍動させている。
植田圭輔(中原中也 役) (c)舞台「文豪ストレイドッグス STORM BRINGER」製作委員会
ポール・ヴェルレエヌ役を演じる佐々木喜英は「文ステ」初出演。アニメ化されていないキャラクターだけに役作りが難しいのでは? と想像したのだが、登場した瞬間からヴェルレエヌ以外にはありえない存在感で劇場を満たしたのがさすがだ。これまで数々の作品に出演してきた佐々木だけにキャラクターを立体化させる力が卓越していて、説得力あるヴェルレエヌを作り上げた。中也の兄を名乗るヴェルレエヌで、植田演じる中也と重なって感じる表現もあって印象深い。
佐々木喜英(ポール・ヴェルレエヌ 役) (c)舞台「文豪ストレイドッグス STORM BRINGER」製作委員会
同じく「文ステ」初登場の磯野 大が人造知能捜査官・アダムを演じる。人間でないアダムの行動はどこかコミカルなところもあって、中也との凸凹コンビぶりも本作の見どころのひとつ。磯野は膨大な台詞を淀みなく操って、人造知能らしさを体現。一方、アダムの人間よりも人間らしい一面を見せて、心を揺さぶった。
磯野大(アダム・フランケンシュタイン 役) (c)舞台「文豪ストレイドッグス STORM BRINGER」製作委員会
伊崎龍次郎が演じる白瀬は、かつて中也と未成年のみで構成された互助集団「羊」で一緒だった少年。前作では、身寄りのない中也を「羊」のメンバーとして迎え入れた一方、「羊」を守るために排除しようともした。その過程を経て、本作の中では白瀬の人間的な変化や成長を感じさせた。
伊崎龍次郎(白瀬 役) (c)舞台「文豪ストレイドッグス STORM BRINGER」製作委員会
太宰 治を演じるのは田淵累生。映画『文豪ストレイドッグス BEAST』を経て、キャラクターへのアプローチをさらに深めて臨んだ本作で、シニカルに振る舞いながらものちに中也と「双黒」と呼ばれる関係性を予感させる太宰を作り上げた。

田淵累生(太宰治 役) (c)舞台「文豪ストレイドッグス STORM BRINGER」製作委員会
ポートマフィアの首領、森 鴎外を演じるのは根本正勝。「ポートマフィアは家族」という中也を懐深く受け止める森を根本がひょうひょうとした持ち味で演じた。森の存在感の大きさが他の「文ステ」シリーズ作品との繋がりを連想させて、作品をより奥深いものにする。

根本正勝(森鴎外 役) (c)舞台「文豪ストレイドッグス STORM BRINGER」製作委員会
N役は「文ステ」初登場の久保田悠来が演じる。科学者として、アダム同様膨大な専門用語を繰りながら、その素性はミステリアス、かつ老獪な印象を感じさせる。中也の出自の秘密を握る人物として、中也との迫真のやり取りがドラマを盛り上げる。
久保田悠来(N 役) (c)舞台「文豪ストレイドッグス STORM BRINGER」製作委員会
注目されるのは、今回朝霧カフカの小説『文豪ストレイドッグス STORM BRINGER』を初めてクロスメディア化したのが本作である、ということ。しかも500ページにも及ぶ長編を2時間15分の舞台に。
(c)舞台「文豪ストレイドッグス STORM BRINGER」製作委員会
(c)舞台「文豪ストレイドッグス STORM BRINGER」製作委員会
(c)舞台「文豪ストレイドッグス STORM BRINGER」製作委員会
実際に舞台を観て感じたのは、決してダイジェストにならず、しかも重要なポイントを漏らさないで物語を紡ぎ、スピード感あふれる展開で劇的な昂揚を高めた中屋敷法仁の作劇の確かさだ。シリーズ第1作より全作品の演出を担当し、『文豪ストレイドッグス』の世界を熟知する中屋敷だからこそなせる業というべきか。中屋敷演出が大事にしているのは「人間力」。演じている人のパワーを前面に生かした演出で見せて、「人間の心を動かすのは人間なのだ」という演劇の持つプリミティブな魅力を実感させる。
(c)舞台「文豪ストレイドッグス STORM BRINGER」製作委員会
(c)舞台「文豪ストレイドッグス STORM BRINGER」製作委員会
加藤ひろたか(広津柳浪 役) (c)舞台「文豪ストレイドッグス STORM BRINGER」製作委員会
(c)舞台「文豪ストレイドッグス STORM BRINGER」製作委員会
(c)舞台「文豪ストレイドッグス STORM BRINGER」製作委員会
そして、舞台『文豪ストレイドッグス STORM BRINGER』を観て、中也の、ヴェルレエヌの、アダムの「生きた」姿を体感した後には、小説『文豪ストレイドッグス STORM BRINGER』を読みたくなる。舞台と小説の相乗効果によって、より奥深く『STORM BRINGER』の世界に触れることができるだろう。
ライター:大原 薫

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