【Lyrical Lily インタビュー】
本を読むような感覚で
聴いてもらえるアルバムになった
2番の歌詞に新鮮さを感じるのは、
ディグラーさんだけじゃない
少し話を戻すのですが、反田さんから先ほど出てきた“上手に歌わないでほしいと何度も言われてきた”というお話が気になりました。もう少し詳しく教えてください。
反田
Lyrical Lilyの楽曲については、瑠華ちゃんと結月ちゃんの歌声がすごくきれいで、色で言うと水色や、淡いピンクのようなイメージなんですよ。対して、あまねちゃんと私はこぶしやビブラートなどのアレンジをしがちで個性が強く。ただ、Lyrical Lilyの音楽は4人全員で作り上げるものだから、私たちふたりは瑠華ちゃんと結月ちゃんにバトンをやさしく渡したり、逆にバトンを受け取ったりするイメージで“真っ直ぐに歌ってください”と、よくアドバイスをいただきますね。ユニットとしてとても大切にしている部分なのだなと。
進藤
私は結成当初から“イメージとしては瑠華ちゃんがフワフワと浮かぶ雲で、反田ちゃんと渡瀬ちゃんがその下にいます。なので、進藤さんは地面を作って、ふたりが歩く道になってください”という歌い方の話を繰り返しされていますね。
反田
あまねちゃんがみんなの歌声の支えなんだよね。本当に誰ひとりとして欠けちゃいけない声を持っているんだと思う。
進藤
関係性としては、地面と住宅街と雲ですね。
反田
私と結月ちゃんは住宅街なんだ（笑）。
（笑）。ところで、今回のアルバム収録を機に、歌詞のメッセージ性や役割、あるいは聴こえ方の印象などが変わった楽曲はありますか？
反田
そもそも、このアルバムで初めて2番を聴く楽曲も多そうだよね。
進藤
ライヴでは1番だけでの披露が多いし、ライヴ中のDJタイム、『グルミク』のどれでもフルサイズは滅多に聴けないからね。となると、アルバムに新規収録されるほとんどの楽曲で印象がまた少し変わってくるかも。
渡瀬
「人間合格!!!!」も新規収録だよね？
深川
そうそう。「人間合格!!!!」はフルサイズを待ち望む声がたくさん届いていて。
進藤
2番の歌詞に新鮮さを感じるのは、ディグラーさんだけじゃなくて私たちもだよね。ライヴで披露しないから“2番ってこんな感じだったな”って。
今作はこれまで音源リリースをせずに温めてきた楽曲がディグラーの間にすでに浸透していることも驚きですよね。
深川
もう温めまくっていて、ホッカホカだよね。
（笑）。突然ですが、メンバー同士がどれだけ似ているのかを試すために、ここでひとつゲームをさせてください。みなさんの頭の中で一曲だけ思い浮かべて、“日常でもっとも聴いているLyrical Lilyの楽曲”を“せーの”で教えてもらえますか？
進藤
なるほど！ 『グルミク』オープニング曲「LOVE!HUG!GROOVY!!」（D4DJ ALL STARSの楽曲）をすごく聴いているけど、今回はダメか…。
反田
そうだね、やっぱりこういうゲームは合わせるのが大事だから（笑）。
それではいきますよ。せーのっ！
全員
らぎぷらんすのよくりもの！
反田
はい、やっぱり全員違いました！（笑）
見事に声が混ざって文字にすると変になりますね（笑）。みなさん思い入れのある楽曲がそれぞれあるようで。
深川
私は「ライム畑でつかまえて」ですね。
最新曲ですが、なぜもっとも再生回数が多いのですか？
深川
私はいつもレコーディングを終えた楽曲を繰り返し聴くのですが、この曲は過去イチでその余韻が長くて。歌い終えたばかりのみんなの歌声を思い出しつつ、自宅でずっとサビを歌ったりしています。
反田
なんでだろうね。レコーディングが難しかったから？
深川
それが本当に分からないんだよね。ファルセットで苦戦はしたものの、サビはこれまでどおりの音域だったし。
反田
瑠華ちゃんの中に、いい意味で引っかかる部分があるのかもね。私は「プティプランス」。月や星などのキラキラとしたモチーフやコーラスがお気に入りなのですが、何よりも歌詞がストレートにロマンチックだし。日常でボーッとしている時も、気がついたら「プティプランス」を再生しているくらいなんです。
進藤
私は「Magiの贈り物」（2021年8月発表のシングル「プティプランス」収録曲）。今でもサンタさんを信じているくらいクリスマスが大好きなのですが、“ある国では夏にもサンタさんが来るらしいじゃないですか。“私のところにも来てほしいな”と願いながら、この楽曲をずっと聴いています。
渡瀬
（ボソっと）夏のサンタさんが海パンでね…。
進藤
海パン！（笑） あと、ウィンドベルの音色もすごく好きだし、何より私が演じる春奈が初めてフィーチャーされた楽曲なので思い入れもあるんです。とはいえ、Lyrical Lilyのカバー曲もかなり聴いていますね。憧れの三森すずこさんが歌う「ユニバーページ」を、まさかLyrical Lilyでカバーさせていただけるとは思ってもいなかったので、もう本当に大好き〜。
渡瀬
私は「銀河鉄道の夜に」（2021年12月発表のシングル「吾輩は猫であれ」収録曲）ですね。少し暗めなメロディーが好きで、ストリーミングサービスを使ってよく聴いていて、ストリーミングサービスって自動で再生回数ランキングを生成してくれるじゃないですか。そうしたら、いつもランキング上位3曲目くらいでこの楽曲の汽車の音が鳴り始めるようになって。AIからもオススメされているくらいです（笑）。あと、歌詞の言い回しも好きなんですよ。《だけど僕は 天の川の話に夢中だった。》や《僕ら間にあったみたい》など、主人公のどこか人の話を聞いていない感じが。
進藤
なるほど！ だから、渡瀬さんはこの間も新幹線まで走ったんですね（笑）。人の話も聞いていないし。全てがつながりました！
全員
（爆笑）
インタビュー序盤のふたつの話題が、まさかこうしてきれいに伏線回収されるとは。
進藤
《僕ら間にあったみたい》の下り、他のメンバー全員が“んっ？”って顔をしていましたからね。
反田
こうやってお話のピースがハマっていくのか…驚きです。でも、あの時のふたりはこの楽曲みたいにさわやかじゃなくて、ゲホゲホと咳き込むくらい走ったから（笑）。このよく聴いている楽曲の質問、答える人の性格がとても表れますね（笑）。
最後に『D4DJ』初の試みとして、Lyrical Lilyによる主演舞台『舞台 Lyrical Lily「千リ！の道も一歩から」』が6月28日から7月3日まで飛行船シアターにて上演されます。みなさんはほとんど舞台未経験とのことですが、心境としてはいかがでしょうか？
進藤
私自身は『D4DJ』のとあるユニットが舞台をするというお話を風の噂で耳にしたのですが、それがまさか自分のユニットだとは想像もしていなくて。本当にびっくりして、マネージャーさんにすぐ電話をかけてしまいました（笑）。普段の声優業とは違って、台本や立ち位置など覚えることもいっぱいで、本来ならば声優活動1年目くらいで経験しておきたかった…でも、大好きなお仕事だから、きっと乗り越えられると思います！
反田
今回は一般的な舞台と異なり、ライヴパートやあまねちゃんのDJプレイなど、劇中での台詞やダンス以外にも覚えることがたくさんあって。メンバー同士でなんとか不安を紛らわそうとしていながら稽古を続けています（笑）。でも、心強い仲間がいるので、私自身は当日が楽しみだし、時には誰かに助けてもらいつつ、この舞台を通して私たちの絆がまた深まるんだろうなと。
記念すべき1stアルバム発売と同じタイミングで、舞台という新たな挑戦に臨むのも、また貴重な経験になりそうです。
進藤
確かに！ ちょうど舞台の上演2日目がアルバム発売日なので、みなさんにはぜひ舞台の物販でもアルバムをお手に取っていただきたいです！
取材：一条皓太
