「野村義男のおなか(ま)いっぱい お
かわりコラム」おかわり29杯目は、世
界で活躍する和楽器バンドの核を担う
ギタリスト・町屋が登場

ギターをこよなく愛するギタリスト・野村義男が、沢山の仲間を呼んでおなかいっぱいの内容でお送りする対談形式のコラム。おかわり29杯目は、国内のみならず海外でも高い人気を誇る和楽器バンドから、バンドの核を担うギタリスト町屋が登場。
野村:本日のゲストは和楽器バンドのギター・ボーカル、町屋さんでございます!宜しくお願いします!
町屋:お久しぶりでございます、宜しくお願い致します!
野村:お久しぶりでございます。何年ぶり?10……。
町屋: 10年は経ってないんじゃないですかね?
野村:最後に会ったのはギターあげた時?
町屋:あー、そうですね!あれは多分9年前ですね。
野村:その前ぐらいは、よく一緒に飲んだりなんかしてまして。
町屋:はい、暴飲暴食を繰り返してましたね(笑)。
野村:だね(笑)。あの頃はまだ和楽器バンドじゃなかったっけ?
町屋:はい、まだ和楽器バンドがデビュー前の状態でしたね。
野村:だからあの後に和楽器バンドが話題になって、えーっいる!みたいなさ。まあ、弾けないものはないってくらいの天才ギタリストでございますから、それも当然なんですけれども。
町屋:いやいや(笑)。
野村:それでも凄いことやってるなーって思いましたよ。
町屋:僕もまさかこんなことになるなんて当時は思ってなかったです。
町屋
野村:何と言っても、コロナ禍になる前は相当外国での演奏が多かったんじゃないかと思うんですが、実際どこの国に行きましたか?
町屋:最初に行ったのがフランスだったかな。それで1番多かったのはアメリカですね、西海岸ツアーとかも回ったので。その他は定期的に行ってた台湾とか、中国もちょいちょい行ってました。
野村:この国が1番ウケが良いとかありました?
町屋:国によってリアクションって違うんですけど、歓声が大きいのは台湾ですね。
野村:そうなんだ。
町屋:で、我々の強みなところとしてはやっぱりバラードとかで和楽器の音がすごく聞こえるように作ってあるので、バラードで歓声が上がりますね。
野村:すっごい嬉しいよね、それ。
町屋:日本人ってバラードはすごく静かに聞くじゃないですか? でも、アメリカとかは特にそうなんですけど、海外公演だと琴とか三味線、尺八とかのソロになると「うおおおー!」っていう歓声が聞こえてきて、そういうノリなんだと思ったのは印象に残ってますね。
野村:ギターソロよりもそういう楽器の方がなんだこの楽器?みたいに思って盛り上がるのかな。
町屋:バラードの場合はそうですね。ただ、ロックチューンに関してはやっぱりギターソロが盛り上がりますね。
野村:あ、そこはそうなんだ。
町屋:だから最初はものすごくプレッシャーだったんですよ、本場でエレキギターを弾くっていうのが。当時はそんな自信もなかったですし、果たして受け入れられるのかとか、ぶっちゃけ“怖い“っていう意識の方が強くて。
野村:まあそうだよね、アメリカのものだし。
町屋:特にニューヨークですよね、カルチャーがすごく根付いてるところなんで。だからニューヨークって俺のギターいけるのかな?とか思ってたら、予想外に盛り上がってくれたので。
野村:あの歓声さ、ちょっと震えとかこない? 外国でのそういうのって忘れられないよね。
町屋:覚えてます、覚えてます。イヤモニ結構かき消されるくらいの歓声なったりとか、帰ってきてものすごく自分にとって自信になりました。あとは、英語とかフランス語とか高校生レベルで行ったんですけど、ちゃんとコミュニケーションが取れたらもっと色々できるだろうなって思って、帰ってきてからものすごく勉強しましたね。
野村:素敵、そういう経験ってあまり出来ないからね。
町屋:はい、自分の人生においては大きなプラスになりましたね。
野村義男
野村:最近はどんな変態ギター使ってるんですか?
町屋:最近ですか?(笑)ネックがちょっと短くなったんですけど、今は低い方に2フレット伸ばしてて、それで7弦になったので7弦の開放がAで、6弦の開放がDになってます。
野村:え、それどういうこと? 6弦と7弦の2本が1音下げなの?
町屋:あ、全部です。言っちゃえば普通のギターなんですけど、マイナス2フレット分スケールが長いって話です。
野村:あ、そういうことね。長いよ〜、普通のギターとかもう弾けないでしょ?
町屋:いや、普通のギターを弾いてる時間の方が長いですね(笑)。それを使う必要がない限りは普通のギター使ってます。
野村:僕の友達でなんか特徴あるギター弾いてる人が、チューニング問題もあるしもう普通のギターが弾けないって言ってたけど。
町屋:僕は単純に2フレット分長いって話で1音下げなので、2カポすれば普通のレギュラーで使えるんですよ。だからレギュラーチューニングのギターは普通に使えますし、何より低い音が必要になった時に持ち替えがなくて済むようになってるので楽です。
野村:いや、相変わらず変態だね(笑)。
町屋:あとは最近ジャズばっかり弾いてるんで、セミホロウになりましたね。
野村:そうなの!?そのセミホロウは何使ってるんですか?
町屋:僕のシグネイチャーがセミホロウなんです(笑)。
野村:やっぱボディは空いてた方が鳴りは良い感じ?
町屋:7弦とか低い音が意外と詰まらず、穴から自然にファって抜けてくるんで。結構いい感じです。
野村:そもそも7弦でセミホロウなんていうギターなんて見たことないかも。
町屋:あんまりないですね。最近音が硬いのがちょっとしんどいのと、結局津軽三味線とかお琴とか和楽器って撥弦楽器なので、アタックが強いじゃないですか。
野村:うんうん。
町屋:そうなるとギターはアタックのパンチ力っていうよりも、コード感支える楽器に回らなきゃアンサンブルが成り立ちづらくて。なので、トーンが5とか6とかで絞って演奏してます。
野村:それはやっぱやっぱ和楽器と一緒に演奏するバンドならではだよね。演奏の中で音の壁になって支えなきゃいけないっていう。
町屋:そうなんです。
野村:面白いなぁ。実際普通のロックとかは聴くの?
町屋:普通のロックも聴きますね。僕なんかジャッキジャキのクランチとか大好きなんで、こういうギター弾きたいなぁ、とかは思ってますよ(笑)。
野村:和楽器バンドのアイディアとしては、そういうのって役に立ってるの?
町屋:和楽器とバンドのあくまで掛け算みたいなテーマはあるので、和楽器に擦り寄るだけではなくて、軽音隊がメインになって、そこに別の要素として和楽器が乗っかってくるっていう楽曲もあります。そういう場合は、もう普通にロックの曲として作った上で、和楽器をどうアンサンブルで作っていくかっていう風にアレンジしてますね。
野村:すごいな。なんか全然わかんない世界だもん。
町屋 / 野村義男
町屋:和楽器バンドが今年8周年目に入ったところなんですけど、ギタリストとしてっていうよりは、アレンジャーとかディレクションとして色々やってきた部分が大きいですね。
野村:僕と一緒にいた頃も結局そういう感じだったから、そういうのあってるんだろうね。アレンジャーとかさ、ディレクター的なさ。
町屋:このバンドに声をかけられたの僕が1番最後だったし、元々はそんな気なかったんですけど、いつの間にか音をまとめる役割になっちゃってましたね。なるべく整理した状態で音を作ってリスナーに届けたいっていうのはあったので、バンド組んで最初津軽三味線・琴・尺八を買って、全部基礎の技法を覚えて。
野村:え!?
町屋:理解してからこれは演奏可能だけど、これは演奏不可能だろうみたいなところを念頭に置いて曲作りもアレンジも全部するようになりましたね。
野村:じゃあ、ほとんどの楽器を弾けちゃうんだ?
町屋:そうですね。
野村:ていうことは、家とかでアレンジとかする時に尺八吹いたり三味線弾いてるわけ?
町屋:最近はないですけど、昔はやってましたね。可能な音域と指の運びと技法を学んだ上で打ち込みをしてるんですよね。そうすると、決め打ちのフレーズがちゃんと演奏可能なものになるんで。
野村:それ、ちょっと考えられないね。素晴らしい。
町屋:音域は知ることができても、技法に関しては和楽器って特にニュアンスの部分がすごく大きいと思うんですよ。お琴の指の運びとかだと親指、人差し指、中指の3本が基本なんですけど、これをどう動かすとどういうフレーズが弾きやすいかとかっていうのが必然的に出てくるので。
野村:琴って親指がベースみたいな感じになるのかな? ハープ的な。
町屋:ハープには近いかもしれないですね。ただ琴の場合は高音弦手前なので、親指から奥にタラララララってやると、高いところから下がっていくんですよ。
野村:えー、そうなんだ。左利ききのギター弾いてるみたいな感じだ!
町屋:だから親指がベースになりえないんですよね。だから、逆に高い音をペダルトーンにして、タ↑タ↓タ↑タ↓タ↑タ↓タみたいな。バッハみたいなフレーズとかには向いてます。
野村:でもさ、ギターを基本と考えたら親指が高い音って気持ち悪くない? 何があっても、ギターの場合は親指が弾くものは低音弦じゃん。
町屋:気持ち悪いです。 でも、あまりに楽器が違いすぎて、お琴については別物として受け入れられるんですよ。逆に中途半端にわかりづらいのが三味線で。
野村:え、なんで? あれはコードチューニングかなんかでしょ?
町屋:コードチューニングです。ドロップDの状態とほとんど一緒なんですけど。弦3本じゃないですか? それで低音弦が手前なんでギターと一緒なんですけど、ギターの感覚で言うとそれは3弦じゃないですか?
野村:はいはい。
町屋:でも三味線で言うとそれは1弦なんですよ。手前から1の糸、2の糸、1番細い糸が3の糸になるんです。
野村:あ、数え方が逆なんだ?
町屋:はい(笑)。だからそっちの方が混乱します。ディレクションで会話をしてて噛み合わなかったりして。
野村:よく考えたら逆さまだったみたいなね。
町屋:はい。あとはバンドの性質上どうしてもコードを支えるっていう部分に関して、すごく脆弱なので、途中からオーケストラとかを結構入れるようになってきてて。そうなると今度はそのアレンジを考えるようになって、ストリングスをつけたりブラスつけたり。
野村:うんうん。
町屋:ブラス5管に、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス、そこに和楽器にギター、ベース、ドラムって縦に長い譜面が出来上がって(笑)。
野村:ホントのクラシックの譜面みたいな。想像するだけでも良いですね(笑)。
町屋:結局バンドなので、オーケストラの譜面以外はレコーディングしながら変わったりするじゃないですか。あとはそこに合わせて、最終的に入れるギターとオーケストラを変えていくんですよね。
野村:なるほどね。
町屋:だから、ああ今琴がこのフレーズいったんだったら、これオーケストラ録る時はこっちの旋律録らなきゃいけないなとか、全部メモして譜面に起こすみたいな作業ですね。
野村:それは真似できないわ。
町屋:(笑)。
町屋
野村:そんな和楽器バンドですが、今後はどうなっていくんですか?
町屋:正直やり尽くした感はあるんですけど。音楽の流行って、どんどん変わるじゃないですか?
野村:ですね。
町屋:僕はその新しい音楽を結構否定してないので、その新しい音楽も取り込みつつ、それをアウトプットできる形にして、自分達も変化していけたら良いと思ってます。最近で言うと、リズムトラックがダンスミュージックとかが主流だったりするので、編成はバンドだからエレクトリックっぽく集音するにはどうしようかなとか考えてますね。
野村:なるほどね。そんな和楽器バンドですがライブのBlu-rayが発売されているということで。
町屋:年一回で大体お正月前後の時期に和楽器バンドがやっている『大新年会』っていう
その年の集大成みたいなワンマンライブがありまして。今年は日本武道館で『八奏見聞録』っていうサブタイトルでやったんですけど、それをデビュー8周年記念日の4月23日にリリースさせてもらいました。
野村:もう見応えたっぷりってことですか?
町屋:この『大新年会』って毎回映像化してるので、今回8周年で8本目になると思うんですが、今回のはかなり良いですね。今までボリュームもトーンもフルフルでやってたのが、しっかりトーンを絞ってやりましたし(笑)。
野村:ギター好きな人にはその違いも逆に楽しんでもらえたら良いですよね!
町屋:あとは初回限定盤のフォトブックが60ページと結構な量があるんですが、このライブスチールの写りが良いんですよ。
野村:え、そこ? まぁ大事なんだけど(笑)。
町屋:ははは(笑)。
野村:それも楽しんでいただきつつ、ファンクラブイベントもあるんですよね?
町屋: 6月9日の東京Zepp DiverCityと、翌週6月16日がZepp OSAKA Baysideでそれぞれ2公演ですね。
野村:どんな内容になる予定ですか?
町屋:今回はライブ中心にしようと思っていて、しかもツアーとかワンマンで定番化していない曲を多く演奏したいなって考えてます。
野村:それファンの人たちにとってはすごいレアで嬉しいね。あ、でも普段やらないから思い出すの大変なやつだ!(笑)
町屋:そうなんですよ(笑)。
野村:そんな貴重なライブもありますので、まだファンクラブに入ってない人は是非入って申し込んでもらえたらと思います。本日は和楽器バンドから、ギター・ボーカルの町屋さんに来ていただきました。ありがとうございました!
町屋:ありがとうございました!

撮影=大橋祐希
野村義男 / 町屋
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