Editor's Talk Session

Editor's Talk Session

【Editor's Talk Session】
今月のテーマ:
“音楽の楽しさを伝えたい”
ヤマハ音楽教室の変わらぬ想い

音楽のオンラインレッスンは
技術面でもまだまだ発展途上

岩田
私は高校生の時にヤマハミュージックレッスンでエレキベースを習っていました。受講している時に別の教室に通っている方とバンドを組んで、大きなライヴハウスで演奏を披露する発表会に参加したりして、その発表会がとても楽しかったのを覚えています。発表会に関しても形式が変化しているのでしょうか?
中島
発表会の場を設けてもお客さんを会場に入れられないということがあるので、ライブ配信や録画映像をコンテンツ化したりして、楽器店それぞれが工夫をこらしています。
岩田
なるほど。その他にもコロナ禍で変化があったことはありますか?
中島
オンラインレッスンをするための仕組みが生まれました。まだまだ模索中ですが、既存のオンライン学習システムを使って、会員の自宅とつないでレッスンをしています。ただ、音楽教室に通われる方は“直接足を運んで習いたい”という希望が多いので、教室ではいかに感染対策をするかに力を入れています。消毒や検温はもちろん、教室内に天井から透明のビニールシートをぶらさげて仕切りを作ったりして、隣の人と触れ合わず、飛沫も飛ばないよう徹底していますし、歌を歌うコースではマスクを着用しながら歌うなど、なかなか苦労をしています。やはり自宅では音漏れの問題が大きいですから、岩田さんも自宅でベースアンプにつないで演奏するのは難しかったのではないですか?
岩田
アンプに楽器をつないで、アンプにヘッドフォンを挿してヘッドフォンから楽器の音を聴きながら演奏をしていたことが多かったですね。それでも楽器から出る生音が結構大きいので大変でした。
中島
そうなのですよね。ましてや管楽器になると自宅での演奏はかなり難しいのでオンラインでレッスンをするにも制限が多く、現状オンラインレッスンを受講されている方はそこまで多くないです。
石田
オンラインで教えるということがもう少し定着してきたら、やはりオンライン用のカリキュラムが生まれたりするのでしょうか?
中島
そうですね。リアルとは違う、オンラインに特化したものというとらえ方で音楽教室の展開ができるだろうと思っています。
石田
もちろん音を出せたほうがいいですよね。私たちもテレワークで仕事をしていると大変な面もありますが、会社へ通うための移動時間がないのが一番のメリットだと思っています。楽器教室に通われる方だと、楽器を背負って教室まで一時間くらいかけて移動される方もいるでしょうから、自宅で受講できたほうがいいのかなとも思うのですが。
中島
譜面を読める方が多いわけではないので、レッスンでは講師の模範演奏を聴いてもらって、それを自分の演奏に反映させていきます。模範演奏を見て演奏をするということに重きを置いているので、オンラインだとうまく会員に演奏のニュアンスが伝えにくいかもしれないことも問題点だと思います。
千々和
対面だからこそ教えられるものを大切にしてこられたのに、オンラインレッスンという違ったかたちのものが出てくるようになって、講師はどんな気持ちで取り組まれているのでしょうか?
野村
講師によっては、これからオンラインレッスンもやらなければいけないという覚悟を持って、いろいろな機材を自宅に揃えている方も増えています。ただ、それが全体的なムーブメントになっているかというとそうではなく、オンライン環境に慣れない講師もいるので、全体に動きがあるという印象を私は持っていないです。
中村
私は開発を担当しているのですが、オンラインレッスンに関しては技術面でまだまだ難しいことが多く、発展途上です。スマートフォンやタブレットが当たり前になっても、それらの機器から聴こえる音は生音とは全然違います。自分がやりたいレッスンを自宅で実現するには、機材や環境が追いついていないですし、受講者もオンライン環境を整えるのが大変ですからね。

OKMusic編集部

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