小泉今日子、小林聡美、安藤玉恵、夏
帆が四姉妹に 木野花演出で『阿修羅
のごとく』を上演

2022年9月9日(金)~10月2日(日)シアタートラムにてモチロンプロデュース『阿修羅のごとく』の上演が決定し、東京公演を皮切りに、兵庫公演で行われることが発表された。
『だいこんの花』(1970年)『時間ですよ』(1971年)『寺内貫太郎一家』(1974年)など、数々の話題作ドラマを生み出し、昭和を代表する脚本家である向田邦子氏。食べもの、旅行、ファッション、猫など、あらゆる物事に興味を持ち、好奇心旺盛なその生き方は、現代の多くのクリエイターに影響を与えている。その向田氏の代表作『阿修羅のごとく』は、1979年のドラマオンエアの当時、和田勉氏の斬新な演出と、加藤治子、八千草薫、いしだあゆみ、風吹ジュンの共演で視聴者に鮮烈な印象を残し、その後も繰り返される再放送の度に、作品のファンを増やしていった名作だ。今までに、映画にリメイク(2003年森田芳光監督)され、商業演劇として舞台化(2004年、2013年)されてきた。今回は、向田氏のセリフをほぼそのままに、シーンと登場人物を大幅にカットし、“四姉妹(を演じる女優)のバトル”に焦点を当てる。
本作の演出を担当するのは、『クラウドナイン』『海越えの花たち』などを演出、女優としても活躍し、映画『愛しのアイリーン』でキネマ旬報助演女優賞を受賞。話題作に欠かせない演劇界の二刀流、木野花。脚色を担当するのは、2004年に『ワンマン・ショー』で第48回岸田國士戯曲賞を受賞。近年では『鎌塚氏、放り投げる』をはじめとする“鎌塚氏シリーズ”、『お勢、断行』の演出や「LIFE~人生を捧げるコント~」(NHKBSプレミアム)、映画『十二人の死にたい子どもたち』『アイ・アムまきもと』の脚本など多数手がける劇作家・演出家の倉持裕。
奔放に生きようとする長女・綱子を演じるのは、近年では舞台『青空は後悔の証し』のプロデューサーを務めるなど、女優・歌手だけでなく幅広く創作活動を続けている小泉今日子。向田邦子原案ドラマへの出演等、向田作品とも縁の深い小泉は、昨年開催された向田邦子没後40年特別イベント「いま、風が吹いている」でもナレーションを担当。今回、40数年前に描かれた生々しいセリフを、あらためてどう演じるのか期待が高まる。
平和に、堅実に生きようとする次女・巻子を演じるのは、『かもめ食堂』『めがね』など、多くの映画や「すいか」「ペンションメッツア」など、ドラマにも出演。「聡乃学習」などの著作も多数執筆し、主演映画『ツユクサ』が公開中の小林聡美。様々な作品であらゆるキャラクターを多数演じ分けてきた小林だけに、過去に様々な女優が演じてきたタイプとはまた違う、新たな“巻子”を見せてくれることだろう。
女らしさを秘めつつも不器用に生きる三女・滝子を演じるのは、映画『夢売るふたり』で27回高崎映画祭最優秀助演女優賞を受賞。「阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし」(NHK)で阿佐ヶ谷姉妹の美穂さんを演じた記憶も新しい安藤玉恵。映画監督、舞台演出家など、多くのクリエイターに絶大な信頼を得る安藤は、その巧みな演技で“滝子”の複
雑さを鮮やかに表現してくれるはずだ。
自由にそして必死に生きる四女・咲子を演じるのは、主演映画『天然コケッコー』で31回日本アカデミー賞新人俳優賞ほか、多数の映画賞を受賞し、『海街diary』では39回日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞。今夏『さかなのこ』の公開も控える実力派女優、夏帆。自身で写真集を企画するなどクリエイティブセンスにたける夏帆が、咲子の儚さと大胆さをどう演じるか、期待が高まる。
三女に父親の身辺調査を依頼される探偵、恋人・勝又と四女の恋人・陣内を演じるのは、2012年NHK BSドラマ「生むと生まれるそれからのこと」で第30回向田邦子賞、2013年舞台『ある女』で第57回岸田國士戯曲賞受賞、現在は「いきなり本読み!」の企画・プロデュースも担当するなど、作家、演出家、俳優と多彩な才能を発揮する岩井秀人。
長女の不倫相手・貞治と次女の夫・鷹男を演じるのは、数々の舞台、映画、ドラマなどに出演、『シャンハイムーン』『父と暮らせば』にて第26回読売演劇大賞で優秀男優賞、『「十二人の怒れる男』『23階の笑み』にて28回に同賞最優秀男優賞を受賞し、今年『みんな我が子-All My Sons-』、『シン・ウルトラマン』の出演も控える山崎一。岩井と山崎の男性キャストが、それぞれ2役を演じ分ける。
劇場は、四方向に客席を設置。ステージを囲む形で観るセンターステージ形式。女優たちの生々しい戦いに立ち会うような臨場感ある空間を目指す。
そして、今回解禁されたビジュアルは、写真の周りに大宮エリーによる、四人の女優それぞれをイメージして描いた華やかな色彩の花の絵画とのコラボレーションとなっており、四姉妹のプリミティブな美しさと力強さを際立たせている。
【あらすじ】
とある日、三女・滝子(安藤)の、話したいことがあるという連絡により、四姉妹が集まることに。数日前、70才を迎える父親が愛人らしき人物といるところを目撃した滝子は、興信所に父の身辺調査を依頼したのだ。四人は、母親に知られることなく父に浮気を解消してもらうための作戦を練る。そんな姉妹だが、実は自身の生活にもそれぞれ悩みを抱えていた。長女・綱子(小泉)は仕事先の妻子ある男性と不倫関係、次女・巻子(小林)は夫の浮気の予感にもやもやした日々を過ごし、三女・滝子はその堅い潔癖さで男との出会いもなく、四女・咲子(夏帆)はボクサーの彼との不安定な生活に疲弊していた。
ままならない現実をあたふたと、それぞれの業を抱えて正直に生きようとする四姉妹の闘いの日々は続く、阿修羅のごとく……

木野花(演出) コメント
ドラマ「阿修羅のごとく」はリアルタイムで観ていました。お茶の間という枠を超えて、日常を揺さぶられた感じで衝撃でした。“阿修羅”は誰の中にも潜んでいると意識したのもその時です。ドラマの中で役者達が、一歩も引かずに火花を散らしている。その気にさせる何かがこの作品にはある。それを覗いてみたい。怖いもの知らずで今回乗ってみようと覚悟しました。そして心強いことに、この挑戦に打って付けの怖いもの知らずの顔ぶれが揃いました。
一筋縄ではいかない魅力を秘めつつ癒される、最強の四人姉妹。こんな姉妹が観たかった!
遠慮なく体当たりでぶつかっていこうと思っています。何が飛び出すかしかと見届けて頂きたい。
小泉今日子 コメント
大好きな向田邦子作品を舞台で演じることができるなんて! 生きててよかったです。
信頼している俳優たち、尊敬している演出家とともに作り上げることができるなんて!生きててよかったです。
私は3人姉妹の末っ子として育ちましたが、今回は長女役。長女の立場から3人の妹たちを眺めたとき、どんな思いが心に生まれるのか。
敏感に心を研ぎ澄まして稽古に臨みたいと思っています。
小林聡美 コメント
もはや伝説といっていい向田邦子の「阿修羅のごとく」を、木野花さんの演出で、小泉さん、安藤さん、夏帆さんという素晴らしい俳優のかたがたと作り上げる時間を想像するだけで、気絶しそうです。40年以上前に書かれ、これまでも何度となく映画や演劇となった作品ですが、今、この世界観をどうやって表現していくことになるのか、楽しみです。
安藤玉恵 コメント
「木野さんの演出で、向田作品の舞台で、阿修羅のごとく、四姉妹のお話で……」最後まで話を聞かずに「やりたいです‼︎」と言った記憶があります。その日から興奮しちゃって、向田さんのエッセーをめくる指にも気持ちが入ってしまっています。今まで黙っているのがツラかった(笑)。
真夏の稽古、熱くなりそうです。
夏帆 コメント
数年ぶりの舞台で今からとてもそわそわしています。この作品のお話をいただいたときに、これは絶対にやりたい……! と胸が高鳴って、また舞台の世界に飛び込んでみようと、覚悟を決めました。
稽古に向けて、きりりとリズムカルな向田さんの言葉たちとどう向き合っていこうかと想像する日々はとても楽しいです。
初舞台のときにとてもお世話になった木野花さんの演出のもと、頼もしい先輩方の背中を追いながら、精一杯がんばります。
岩井秀人 コメント
ど偉い俳優さんたちと一緒に出ることになったなあと、感慨に耽っております。思えば引きこもり時代に見ていたのが「やっぱり猫が好き」でして、小林聡美さんの演技だか遊んでるんだか分からない自由すぎる挙動に目を回しておりました。やがて「俳優になってみたい」と引きこもりから脱出して30年ほど経ち、こんな場に呼ばれるとは。共演者の皆さま、軒並み「どうやってるんだか分からない」人たちばかりで、俳優フェチとしては稽古見学だけで済ませたい心持ちですが、めちゃくちゃ楽しもうと思っております。
山崎一 コメント
出演が決定してとても嬉しかったですね。だって、このメンバーで向田邦子さんの「阿修羅のごとく」をやるんですよ! 笑
しかも演出が木野花さんですからね。今からワクワクしてます。台本を読んで感じたのは出てくるキャラクター全員が愛おしいく感じたこと。
観に来てくださるお客様もきっとそう感じてくれると思います。そうなるように、頑張ります!

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