【超特急 ライヴレポート】
『BULLET TRAIN 10th Anniversary
Tour 2022 Progress』
2022年4月23日(土)
at 川口総合文化センター・
リリア メインホール
ツアーはこの先も続くので披露された曲の紹介は控えるが、セットリストは10年の軌跡が蘇るさまざまな曲で構成されていた。元気いっぱいのダンスチューンはもちろん、大人っぽいムードの曲でも楽しませてくれる超特急。彼らのこれまでの活動は、多彩な魅力を磨き続ける日々だったと言っても過言ではない。“カッコ良いのにユーモラス”という稀有な併せ技も、キャリアを重ねるごとに輝きを増すばかりだ。時々飛び出す変顔もパフォーマンスの重要なスパイスとなっているこんなグループはなかなかいるものではない。“汗が飛んだらごめんね”というメンバーの言葉があったくらい近かった客席とステージの間の距離も相まって、会場は親密極まりない空間であり続けていた。
今回のステージセットは遊園地を彷彿させるデザインとなっている。カイのMCによると“セットの秘密を教えましょう。ちょっとずつウサギちゃんがいるんです。全部で11羽います”とのことだ。さりげなくところどころにウサギの絵が盛り込まれているので、このツアーの公演を観に行く人は、探してみると楽しいと思う。そして、タクヤがプロデュースを手がけた衣装もライヴの展開をドラマチックなものにしていたので、そこも要注目! また、途中で登場した謎のグループ『ピョン特急』にも少し触れておこう。カイぴょん、リョガぴょん、タクぴょん、ユキぴょん、タカぴょんという名前の5羽のウサギは、なんだかよく知っている人たちにも見えたのだが…おそらく気のせいだったのだと思う。彼らのキュートなパフォーマンスは、8号車の大喝采を浴びていた。
本編がラスト1曲となったところで“超特急から大事なお知らせがございます”とリョウガが言い、スクリーンに流れた『新メンバー募集オーディション』の開催を告げる映像。この決断に踏み出した理由を語る5人の言葉には力強い意志が宿っていた。
“10年経ってさらに進化したいですし、みなさんのためにも一緒に東京ドームに立ちたいです。この5人が力不足というわけではなくて、さらに上に、もう何歩も上に一緒に走っていきたいんです。ついてきてほしいなと僕は素直に思います。ペンライトを振ってみてください。この景色を見るために僕たちは10年やり続けています。もっと先も素敵な景色を僕たちに見せてください”(タクヤ)
“何回も話し合いを重ねました。その結果、僕たち超特急はもっといろんな景色を見たいし、もっと8号車のみんなにいろんな景色を見せてあげたい。そういう存在になりたいと再確認できました。だからこそ新メンバーを募集して、超特急をさらにパワーアップ、進化させたい。心の底からそう思いました。長く続けていくためには、力がもっと必要です。8号車のみんなを誰ひとり置いていきたくないし、後悔させるグループではないっていうことを証明してみせるので、この先も温かく見守ってくれると嬉しいです”(タカシ)
“オーディションをやることによって面白い出会いがあったり、より上に行けるという確信が持てる出会いがあったらいいなぁと思って発表しました。みんな、いろんな感情が入り混じっていると思いますけど、“どんな人が超特急に興味を持ってるんだろう?”とか、ある意味楽しみというか。より早く上の段階に進むという意味で、新メンバーを募集して進んでいきたいと思っています。僕たち超特急を信じてついてきてくれれば嬉しいです”(カイ)
“オーディションをするって、上を目指す以外の何でもないんですよ。メンバーが減った頃から、僕はこのことを考えていました。今まで作り上げてきた大切なものだからこそ、僕は変化じゃなくて進化するためにオーディションをやりたいなと前向きに思いました。8号車のみんなと一緒に作り上げていって、これからもっとワクワクしながらやってきたいですし、みんなを不安にさせてライヴはしたくない。一緒に明るい未来を作るためにオーディションに懸けたいと思っています”(ユーキ)
“具体的に何ができる人を募集するのかもこれから決めていくので、何が来るのか分からない。もしかしたらベースが来たりとか?(笑) 未知なる出会い、化学反応を求めて探していきたいです。今のかたちから変わってしまうことに対していろんな気持ちになる方々がいらっしゃると思います。これから壁にぶつかるかもしれないですけど、そんな時にきっと支えてくれるのは僕たちを知っているみなさんなんだと思います。これからを見届けるでもいいんですけど、一緒にさらなる進化を求めて、新しい超特急を、未来を目指して走っていけたらなと思っております”(リョウガ)
10周年という節目で大きな決断をした超特急。どのようなことになるのかまだ誰にも分からない。しかし、ひとつだけ明確なことがある。それは彼らが“明るい未来を8号車と一緒に作っていきたい!”という気持ちで満ちあふれているという点だ。さまざまな工夫を凝らした演出、全力のパフォーマンスが絶妙に融合していたツアー初日は、5人のそんな姿を体感させてくれた。全国各地の8号車は、彼らに漲っている熱いエネルギーを目の当たりにすることになるはずだ。
撮影:深野輝美/取材:田中 大
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