L→R 福里シュン(Gu)、山里ヨシタカ(Gu)、田村ヒサオ(Ba&Vo)、加勢本タモツ(Dr)

L→R 福里シュン(Gu)、山里ヨシタカ(Gu)、田村ヒサオ(Ba&Vo)、加勢本タモツ(Dr)

【ulma sound junction
インタビュー】
10年後に演奏しても
楽しいと思える曲が理想

国内はもとより海外でも高い評価を得ている、プログレッシブロックバンド・ulma sound junctionのメジャーデビュー第一弾となるEPが届いた。“Reignition”と名づけられた同作は新曲1曲とリレコーディングされた代表曲4曲が収録されており、彼らの魅力を堪能できる一作になっている。さらなるスケールアップを予感させる彼らの全員インタビューをお届けしよう。

メジャーに行くということに
変な勘繰りをしてほしくなかった

本誌でインタビューさせていただくのは初めてですので、まずはバンドのプロフィールなどをお聞きしたいです。ulma sound junctionはどんなふうに結成されたのでしょう?

田村
僕らは全員沖縄県石垣島の出身で、それぞれ10代の頃から音楽をやっていて、20歳くらいの時に今の4人が集まったんです。ただ、当時はプレイヤー個々としても、バンドとしても、明確なビジョンがあったわけではなくて、すごく流動的に始めた感じでした。最初はファンク寄りのサウンドから始めたんですよね。僕の中ではRed Hot Chili PeppersとかJamiroquaiみたいなイメージで、ちょっとハネたノリを意識した曲ばかり作っていましたね。でも、山里と加勢本が聴いていたSlipknotやKorn、Limp Bizkitといったニューメタル/ミクスチャー、それにDream TheaterやToolといった長い構成の楽曲を聴かせるようなバンドに影響を受けて、今の自分たちが提示しているようなスタイルを目指すようになったんです。だから、音楽性に関しては模索しながら形作られていったという感じです。

メンバー全員の足並みが揃った状態で変化/進化されてきたんですね。では、今作の制作に入る前はどんなことを考えていましたか?

田村
今回の作品からメジャーフィールドで活動していくことになったので、名刺代わりになるものを作りたいと思ったんです。そうなった時、過去曲で絶対に外せないという曲があるし、ulma sound junctionの昔のCDは廃盤になってしまっていたりするので、まず代表曲の中から4曲入れることにしました。新曲については、ずっと応援してくれている人たちにインディーズからメジャーに行くということに変な勘繰りをしてほしくないというのがあったので…音楽性が変わるんじゃないかとか、日和ってしまうんじゃないかと思われがちじゃないですか。自分たちはそうじゃないということを示すために、攻めに攻めた新曲を一曲入れることにしました。我々も納得できて、昔からのファンも納得できて、初めて我々を知った人も納得できる作品にしたいと思っていましたね。

おっしゃるとおり、このアルバムを聴けばulma sound junctionの過去から現在が分かる一作になっています。新曲の「Modern Bleed」はいつ頃どんなふうに作られたのでしょう?

田村
作ったのはいつだろう?
山里
いつ頃だったかな? でも、一年も経ってはいないと思う。
田村
そうか。僕らはひとつの曲を作るのに結構長いスパンをかけるタイプではあるんですけど、両極端なんですよ。すぐにできてしまう時もあるし、ずっとアレンジし続けてようやく出来上がる時もあるので。「Modern Bleed」は一年経っていないということは、わりと早くできたほうですね。そういう時はだいたい僕が骨組みを考えて、そこから先のアレンジを加勢本が考えることが多いんです。僕らの楽曲はどんどん展開していくので、“曲中でテンポを変えたりした時、どうやったら戻れるか?”というのを彼にコントロールしてもらっています。

「Modern Bleed」も中間に凝った展開が挿入されていますが、ああいうセクションのアイディアはみんなで音を合わせながら出していくのでしょうか?

加勢本
曲によっていろいろですけど、「Modern Bleed」は中間にどうしても入れたいフレーズがあったんです。“このフレーズをサビのあとに入れたい。そのためにテンポダウンさせたいんだ”と。なので、そのフレーズがより活きる構成を意識して作っていった感じです。それに整合性を持たせるために、Bメロで中間部のフレーズを小出しにすることにしました。

いわゆる“展開のための展開”ではなくて、やりたいことがはっきりしているというのはいいですね。では、「Modern Bleed」のレコーディングはいかがでしたか?

加勢本
自分はドラムなので、いつも録るのが最初じゃないですか。だから、ドラムに関してはフレーズうんぬんもあるけど、いつも一番意識しているのは“早く録らないといけない”ということなんですよね。
全員
そこなんだ(笑)。
加勢本
うん(笑)。“後ろが詰まっているから早く録り終えないと”っていつも思ってる。で、「Modern Bleed」は事前にわりと全部決めてから録ったんですよ。田村がデモで打ち込んでくるドラムを参考にしているんですけど、この曲はそこからあまり変えなかったんです。そうやって決め込んでスタジオに行ったんですが、思ったよりも時間がかかりました。

ビート/テンポチェンジや変拍子、パターン系のアプローチなど、かなりテクニカルなドラムですからね。

加勢本
苦労しましたね。
田村
でも、加勢本はドラムを録るのは早いんですよ。今回時間がかかったのは演奏に詰まったわけではなくて、エンジニアとすごく突き詰めたからなんです。
加勢本
そう! それはあった。
田村
クリックに対して1/128くらいのずれをどうするかというような話をしていましたからね。あとから修正できる範囲だけど、エンジニアが“タモツさんだったらやれるから叩きましょうよ”というような場所がいくつかあって、そういう突き詰めをしていたので。
加勢本
そういうことってすごく大事だと思うんです。機械的に直せるけど、それをしてしまったら意味がない気がして、自分で叩くようにしました。だから、「Modern Bleed」のドラムは本当に納得していますね。
山里
「Modern Bleed」はすごく悩んだところがあって…曲の始まりにドラムの4カウントを入れるのは“あり”なのか“なし”なのかを、最後の最後まで個人的に悩んでいました。メジャーだと言っているのに、アンダーグランドな感じのドラムの4カウントで始まるなんて…と思って。カウントじゃなくて、逆再生でも何でもいいから別のものをつけたほうがいいんじゃないかという話にもなったけど、巡り巡って4カウントでいくことにしたんです。この曲は自分の中ではそれが一番重要でしたね。ギターに関してはすごく大変な曲だったので、もう記憶から消しました。覚えていないです、レコーディングのことは(笑)。

ええっ!? まぁ、そう言わず。

山里
本当にギターも大変なんですよ。そもそもulma sound junctionの曲は展開が多くて、一曲で使うギターの音色の数も多いから、いつも歪みは歪み、クリーンはクリーンというふうに部分部分で録っていくんです。音色を変えるたびにギターを替えたり、アンプのセッティングも替えたりすることになるので、どうしても時間がかかっています。この曲もそういう大変さがありました。あとは、ギターに関してはシュンに任せます(笑)。
福里
うちのバンドはギターがふたりいて、お互いに得意なことと苦手なことが分っているんですよ。だから、“これは弾けないから弾いて”みたいなことはよくあって、この曲も全然ありましたね(笑)。さらに、田村もギターを弾いたりしましたし。ギターに関してはそれくらいです。
田村
ギターはレコーディングの現場で、僕がこういうふうにしてほしいとお願いすることが多いんですよ。「Modern Bleed」はサビの後ろでアルペジオが鳴っているじゃないですか。激しいサビにもかかわらず後ろでアルペジオが鳴っているというのはプリプロの段階では考えていなかったことで、そこに関しては福里に迷惑をかけたというか。いろいろやってもらって、今のかたちに落とし込みました。
L→R 福里シュン(Gu)、山里ヨシタカ(Gu)、田村ヒサオ(Ba&Vo)、加勢本タモツ(Dr)
EP『Reignition』

OKMusic編集部

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