【ライヴレポート】
『No Big Deal NIGHT
~No Big Deal Records
10th Anniversary Party~』
2022年2月27日
at SHIBUYA Spotify O-EAST
■ ORCALAND ■

2022年2月27日 at SHIBUYA Spotify O-EAST(ORCALAND)photo by 清水舞
取材:千々和香苗
■ Bye-Bye-Handの方程式 ■

2022年2月27日 at SHIBUYA Spotify O-EAST(Bye-Bye-Handの方程式)photo by ヤオタケシ
取材:千々和香苗
■ 藍色アポロ ■

2022年2月27日 at SHIBUYA Spotify O-EAST(藍色アポロ)photo by かい
取材:千々和香苗
■ INNOSENT in FORMAL ■

2022年2月27日 at SHIBUYA Spotify O-EAST(INNOSENT in FORMAL)photo by 白石達也
ぽおるすみす(Vo)の突拍子もない提案で、リハーサル中にフロアーの左から右にかけて挨拶代わりのウェーブを完成させ、始まる前からマイペースだったINNOSENT in FORMAL。そこで何となく縮まった距離感はライヴが始まると開放感に変わり、「No.1」のヒップホップ、ガレージロックを思わせる自由なミクスチャーサウンドに観客も自然と身体が揺れる。ライヴ中盤には“ステージに立ってほしい”というラブコールに応えて、活動休止中のTHE PINBALLSからギタリストの中屋智裕が参加。「Smoke on the Water」(Deep Purple)や「Back in Black」(AC/DC)など、ロックリフが連なる「Jackin' Rock Beats」をプレイし、アッパーなムードに睨みきかせるようなヒリつきも加わった。さらに、シャウトが響く「Junkie's never enough」でひとたびフロアーを盛り上げると、ラストは歯がゆい気持ちを吐露した「思うまま」をしっとり届ける。ぽおるは“思うがままに生きたほうがいいと思いますよ。No Big Dealは思うがままにやらせてくれるレーベルです”と言ったあとに“…情緒不安定なINNOSENT in FORMALでした”とはぐらかしていたが、マイペースなだけでなく、仲間やレーベルに対しての情味がある憎い魅力が詰まったステージだった。
取材:千々和香苗
■ peeto ■

2022年2月27日 at SHIBUYA Spotify O-EAST(peeto)photo by ひの
取材:千々和香苗
■ PLOT SCRAPS ■

2022年2月27日 at SHIBUYA Spotify O-EAST(PLOT SCRAPS)photo by かい
取材:千々和香苗
■ Daijiro Nakagawa ■

2022年2月27日 at SHIBUYA Spotify O-EAST(Daijiro Nakagawa)photo by ヤオタケシ
““明日、代打でいける?”と昨日、マネージャーから連絡が来て、緊急で出演することになりました。絶対ミスれへん状況(笑)。精いっぱいやらせてもらいます”
そんなふうに言いながら披露したのは、「voyager」他、19年にリリースした1stソロアルバム『in my opinion』からの3曲に、まだタイトルがついていない新曲(?)を加えた計4曲。いずれもノスタルジックな美しいメロディーを持つトラッドフォーキーなアコースティックギターによるインストナンバーだが、アクロバティックとも言えるテクニックを織りまぜるギタープレイはプログレ、あるいはポストロックとしても楽しめるものだった。そして、ラストの無題曲は“ギターをシバいて帰りたいと思います”という予告どおりタッピング、スラップに加え、ボディを叩くスラム奏法も披露。存分にギターを鳴らして、和みと緊張が入り混じる、夢現とも言える不思議な時間を締め括った。
取材:山口智男
■ reGretGirl ■

2022年2月27日 at SHIBUYA Spotify O-EAST(reGretGirl)photo by 白石達也
結成から8年目を迎えたバンドの気概を、そんなふうに言葉にしたreGretGirlはバンドが知られるきっかけになった「ホワイトアウト」から熱度満点の演奏で観客の気持ちをグイグイと引っ張っていった。バンドが掲げるのはセンチメンタルギターロックだが、エモいだけに終始せず、ダンサブルな「Shunari」があったり、ロックンロールの「ロードイン」があったり、ロックバラードの「デイドリーム」があったりと、曲ごとに趣向を凝らしたアレンジで楽しませるところがいい。観客も手を振ったり、手拍子したり、じっと聴きいったりと、曲ごとに相応しいリアクションを返しながら盛り上がる。どしっとしたリズムが印象的な「スプリング」では、ブルージーな魅力も滲ませた。そして、アップテンポの演奏で駆け抜けたラストの「ピアス」では、アンセミックなサビのメロディーに観客の拳が一斉に挙がったのだった。
取材:山口智男
■ 鉄風東京 ■

2022年2月27日 at SHIBUYA Spotify O-EAST(鉄風東京)photo by 白石達也
“No Big Dealにお世話になります。そのぶん、音楽で返します!”(大黒峻吾/Vo&Gu)
迸る激情と楽器と取っ組み合うような演奏は、まさにエモコア。しかし、それだけというわけではなさそうだ。大黒と実はテクニカルなプレイも織りまぜるシマヌキ(Gu)のギターが絡み合う「外灯とアパート」ではポストロック風のアンサンブルやダンサブルなリズムが“おやっ?”と思わせたし、「遥か鳥は大空を征く」では泣きメロの絶叫に観客が思わず、グッと握りしめた拳をあげた。“音楽で救われたから、音楽で救いたい!”と大黒が叫んで、「遥か鳥は大空を征く」から間髪入れずに繋げたラストの「21km」では、あふれ出る思いを即興で言葉にした大黒の熱演に大きな拍手が沸き起こった。
■ Wienners ■
2022年2月27日 at SHIBUYA Spotify O-EAST(Wienners)photo by かい
さすが最終兵器を自負するだけのことはある。1曲目の「恋のバングラビート」からフロアーを一気に盛り上げていった。イベントの開演からすでに5時間半。そろそろスタミナが途切れかけてきた観客Wiennersが喝を入れるように“踊れ! 踊れ!”“まだまだいこうぜ!”と声をあげながら、次々と繰り出すキャッチーなサビを持つエネルギッシュなダンスパンクナンバーに気持ちをリフレッシュ、そしてスタミナを取り戻していった。
“No Big Dealはバンドと一緒に夢を見てくれるレーベルです。コロナ禍の真っ只中にメジャーレーベルから『BURST POP ISLAND』という俺たちのアルバムをぶっ放して、喜怒哀楽に揺れた俺たちの気持ちを届けてくれました。これだけ仲間がいるんだから無敵ですよね!”(玉屋)
玉屋とアサミサエ(Vo&Key)がラップをかけ合うダンスポップナンバー「FAR EAST DISCO」でフロアーを揺らしたWiennersがラストナンバーに選んだのがアンセミックなロックンロールの「UNITY」。完全燃焼を目指すバンドの渾身の演奏に観客全員が飛び跳ね、タイトルどおり会場に大きな一体感が生まれた。
取材:山口智男
■ SHIFT_CONTROL ■

2022年2月27日 at SHIBUYA Spotify O-EAST(SHIFT_CONTROL)photo by ヤオタケシ
サブステージとはいえ、トリ前に抜擢されたSHIFT_CONTROLは昨年11月から3rdミニアルバム『inVisible』を引っ提げて全国を回ってきただけあって、1曲目の「バーンアウト」から振りきった演奏を見せつけ、観客に拳をあげさせた。オーディションを経て2019年にNo Big Dealに所属して以来、リリースを重ねながらエモーショナルでテクニカルなロックサウンドに加え、キャッチーな訴求力も身につけてきた彼ら。前述したツアーを通してさらなる自信をものにしたことは、ポップな魅力を大胆に打ち出した「アイウォンチュー」を演奏する前にアサノが言った言葉からも明らかだった。
“この曲をこんなにたくさんの人の前で演奏することが夢でした! 跳んでいこう!”
曲が持つエモさを際立たせるようにハイトーンボイスで歌うアサノ、印象的なフレーズを閃かせながら一心不乱にギターをかき鳴らす岡村耕介(Gu)、ベースと格闘するように重低音を響かせる宮崎良太(Ba)、手数の多いプレイでリズムを支えるくまおかりお(Dr)ーー渾身の演奏を繰り広げるバンドが放つ熱が見る見るフロアーの最後列まで伝わっていった。
“今日、巡り合ったみんなとまた必ず再会したい!”(アサノ)
最後を飾った「かまうな」では岡村がサブステージを飛び出して、メインステージでギターソロを弾き、くまおかは最後列の観客にアピールするようにドラムを鳴らした。会場の広さに感激する一方で、そんなパフォーマンスは、バンドンの向こう意気に加え、サブステージは今のSHIFT_CONTROLにはもはや小さいと思わせる勢いも印象づけたのだった。
取材:山口智男
■ 04 Limited Sazabys ■
2022年2月27日 at SHIBUYA Spotify O-EAST(04 Limited Sazabys)photo by ヤオタケシ
観客の手拍子が迎える中、“いける? まだ遊べる?とGENが声をあげ、なだれ込んだ「Remember」、そこから間髪入れずにつなげ、“ハイ! ハイ!”と観客を煽るRYU-TA(Gu&Cho)に応えて観客が飛び跳ねた「monolith」をはじめ、No Big Deal Records在籍時の、つまりインディーズ時代の楽曲を多めに選んだセットリストは、インディーズ時代からのファンを歓ばせたと思うが、そういう曲を演奏しても無駄も隙もないのが今のフォーリミだ。極めてタイトな演奏は楽曲やアンサンブルの魅力をしっかりと伝えながら、観客の記憶に聴き応えとしてはっきりとした印象を焼きつけたはず。その意味ではGENのみならず、HIROKAZ(Gu)、RYU-TA、KOUHEI(Dr&Cho)それぞれに魅せるプレイがある「Alien」が一番の観どころだったかもしれない。
“No Big Dealのエースストライカー、04 Limited Sazabysです!”と言ったGENの言葉にも説得力がある。リリース当時、2ビートのメロディックパンクに回帰したサウンドが鮮烈だった「My HERO」から一転、ちょっとテンポを落として「Now here, No where」「midnight cruising」の2曲をじっくりと聴かせた後半戦。そこからさらに一転、“この状況は歯痒いけどやるしかないし、これしかやることがない。困難から逃れる術として音楽があってほしいし、その音楽に俺たちがなりたい”(GEN)と言ってから、前進するのみという想いとともにラストスパートをかけるように「Feel」「Terminal」をたたみかけた展開は、まさにドラマチックという言葉がぴったりだった。
“レーベルイベントやレーベルツアーに憧れる世代だから、レーベルのバンドとバチバチできるって最高だと思いました”(RYU-TA)
“13年に所属してからずっと伸び伸びと支えてもらって感謝してます。いろいろな種類のバンドがいるこのレーベルを一緒に守っていきましょう”(GEN)
アンコールは「Squall」と「message」の2曲を披露。「message」は1分ちょっとの正調メロディックパンクナンバーだが、新たな出発を連想させるこの曲ほど、大団円を飾るに打ってつけの曲はなかったと思う。
取材:山口智男
撮影:かい、清水 舞、白石達也、ひの、ヤオタケシ
No Big Deal Records 創設10周年を記念したプレイリストを公開!O-EASTで開催した10周年イベントの全出演アーティスト、セットリストから全26曲をセレクト!全アーティストのプレイリスト公開中!
配信リンク:https://lnk.to/NBDR10TH
アーティスト
関連ニュース