声優グランプリチャンネルで藤田純二
氏「ふしぎの海のナディア」を語る

4回目となる放生送が、7月9日(火)の21時より行われた。「宮路一昭、川村万梨阿のアニタメ温故知新!」の魅力は、タイトルにも記されているように、宮路一昭と川村万梨阿、両パーソナリティのリードのもと、アニメ業界の歴史を、ゲストを交えて紐解いてゆくところにある。今回は、「音楽」という視点からアニメ業界を分析。
冒頭では、2人にまつわる情報コーナーから。宮路一昭プロデュース、7月30日に発売となる大橋歩夕の最新作『ちっくリマスター』(ベスト盤)と『未来トラベラー』(新作)。同じく、宮路、川村が出演する、宮路一昭プロデュースによる、8月22日に新宿ルイードK4で行われるイベント「TONES night vol.21」などを紹介していた。
鎌田美沙紀のボカロコーナー「メルリ宮殿」では、アプリ「VOCALOID 3 メルリ」を使い制作した楽曲の数々を紹介。ゲストとして招かれた藤田純二さんは、同番組の2回目にも出演。じつはそのとき、予定していた話の半分も語れなかったことから、ふたたび登場。前回は、スターチャイルド・レーベル時代の話に終始したことから。今回は、スターチャイルドから飛び出し、みずから「ユーメックス」というレーベルを設立した頃の話を中心に、今だからこそのエピソードも交え、語っていた。トークは、ユーザーからリクエストのあった「重戦記エルガイム」のイベント話からスタート。当時は各地をイベントでサーキット。「地方のお客さんたちを喜ばせるのが目的なんだけど。同時に、自分たちも各地で美味しいものを食べるために」に行っていた裏話が、さっそく登場。
当時のイベントは、すべて無料で開催。しかも、Tシャツなどのお土産付きだったという。あの頃は、「公民館のような場を借りてやっていた」こともあったそうだ。会場によっては楽屋らしい楽屋もなかったことから、川村万梨阿が、共演した本多知恵子と一緒に階段でメイク。その最中、入場が始まり、急いで隠れた裏エピソードも飛び出していた。「あの頃は、イベントを通し作品ファンの生の声を聴きながら、その想いを本作や、次に制作する作品へ活かしていた」という藤田さんの言葉を通し、あの当時のイベントは、ネット環境の無い時代だからこその大切なコミュニケーション手段だったことも実感させられた。ユーメックス時代の話は、庵野監督と手掛けた「ふしぎの海のナディア」についてから。当時、まだまだ躍進中だったガイナックス。「ふしぎの海のナディア」自体が、NHKで放送していたように、いろんな人たちが絡み合う大きなプロジェクトだった。それもあって、「かなり大きなプロジェクトゆえの、作っている人たちの意見が直接伝わる環境ではなかった中、庵野さんは何度も何度も現場の意見を取り入れた打ち合わせを提案しては、それを繰り返し、制作し続けていた」という、今に繋がる熱意を持った姿を伝えてくれた。

「きまぐれオレンジロード」話では、古谷徹さんを筆頭とする豪華な声優陣が出演。「打ち入りだ」「中入りだ」「打ち上げだ」と、事あるごとに理由を付けては、制作陣と声優陣が一緒に旅行をしながら親交を深めていた話を、藤田さんは懐かしそうにしてくれた。この作品の劇場版に、川村万梨阿もまどかの姉役として電話の声だけで登場していたことも、本人が教えてくれた。学校を舞台に、クラスのみんなで一丸となり敵と闘う「絶対無敵ライジンオー」では、主人公を、当時まだ新人だった松本梨香が担当。彼女の歌の実力を活かしたい想いも含め、声優のアーティストとしての実力も伝えていきたい想いから、ユーメックスが声優のCD制作を積極的に始めたことも、藤田さんは語っていた。
ユーメックスは、声優のアルバムも多数制作。中でも、草尾毅、佐々木望の作品は数多く手がけていた。その理由も、「声優という枠に収まりきれない、歌手としてもやっていける実力を持っている人」だったことから。その基準が、その後もユーメックスの声優作品を制作していくうえでの基準にもなっていった。
アルバム制作に於いても、「どんな楽曲を、誰に制作してもらいたいか?」など、細かいところまで声優本人と一緒に詰めながら制作。デビュー前の林原めぐみも、ユーメックスから1枚出していた話。草尾毅や水谷優子のジャケットを海外で撮影。中でも、水谷優子を南の島まで連れていき撮影したときには、彼女ならではのユニークなエピソードまで飛び出していた。パーソナリティの宮路一昭が手がけた『ニャニがニャンだーニャンダーかめん』シリーズのプロデューサーが藤田純二。起用した理由が、「この手の作品はディレクターのワガママを聞きながらも、しっかり意志の疎通が出来る人が適材。それを出来るのが宮路さんだったから」。当時から、原作者である'やなせたかし'先生は、毎年の誕生会を赤坂プリンスホテルで開催。「電飾を付けてやなせ先生はカラオケを歌っていた」など、その当時の模様も藤田さんとパーソナリティ陣は思い出を振り返るよう語っていた。他にも、声優のアルバムを作ろうとしたきっかけの一つに、「一緒にカラオケに行ったり、お酒を呑んだり。そういう中「この人はシンガーとしても絶対に通用する」という、意識も、実力も持っている人たちがゴロゴロいたことから声をかけ、積極的に声優をシンガーとしても起用していった」ことも語っていた。今の声優アーティスト・ムーブメントも、藤田さんのような熱意を持っていた人がいたからこそ、今に繋がってきたもの。
今回も、語りきれずに時間切れの状態に。毎回ディープでレアーな話ばかりだけに、30分に満たない時間で語りきるのは到底不可能。とはいえ、今回も、かなりマニアックな話をいろいろと藤田さんは語ってくれた。
次回の放送は、8月12日(火)21時より。ゲストに、元月刊ニュータイプの編集長であり、現在は株式会社KADOKAWA 代表取締役 専務を担っている井上伸一郎を迎えての放送となる。ぜひ、次回の放送もタイムシフト予約お願いします。(TEXT/長澤智典)

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