最高潮を塗り替えろ!RAISE A SUILE
N SPECIAL LIVE「Repaint」ライブレ
ポート

2022年2月7日(月)に東京・お台場のZeppDiverCityにて『RAISE A SUILEN SPECIAL LIVE「Repaint」』が行われた。本公演はRAISE A SUILEN(以下:RAS)の単独公演にゲストアクトとして、日本を代表するスクリーモバンド「Fear,and Loathing in Las Vegas(以下:FaLiLV)」を迎えた形にはなっているが、ほぼツーマンライブであったと言っても過言では無いだろう。それほどまでに互いがそれぞれバチバチのアツいアクトを見せてくれていた。結成10年以上のキャリアを誇りながらも若さとエネルギッシュな才能も持ち合わせるFaLiLVとのコラボは、昨年末のZeepツアー追加公演の千秋楽・横浜にて発表されたが、シーンを牽引してきたビッグネームだけに会場はもちろん、その後SNS上などでも界隈をザワつかせたことは記憶に新しい。そんな衆目を集めた本公演はFaLiLVがライブの前半を、舞台転換を挟み後半にRASが登場する構成となっていた。互いの全力がぶつかり合った2時間強のステージをお届けする。

これまでRASがインタビューやメディアなどでライブパフォーマンスに影響を受けたアーティストとして事あるごとに名前を挙げていたのがFaLiLVだ。なのでラウド系のロックカルチャーを知らなくてもRASファンであればその名前くらいは目にしたことがあったかもしれない。RASが2022年を更なる飛翔の年にすべく、1発目のライブに彼らをゲストアクトとして迎えたということからも今年への気合いの入りようは感じられるというものだろう。実際に会場のZepp DiverCityは月曜日にも関わらず、2階に立ち見席が設けられるほどの超満員で埋め尽くされ、多くのファンがこのコラボの為に駆けつけていた。
ライブの始まりを告げるovertureと共にFaLiLVが登場するとボーカルのSoが「オレらの事、知ってる人も知らない人も一緒に楽しんでいこうぜ、オマエら~!」と叫び1曲目の「Return to Zero」へ突入する。
縦横無尽にギターのTaiki、ベースのTetsuyaがステージを駆け巡るなか、Soやスクリーム担当のMinamiが曲の間奏で踊りまくる。誰でもすぐマネ出来るような簡単な振り付けだし、2人でやってくれるからフロアの順応も速い。1曲目にして、まさに宣言通りの全員が楽しめるフロアの雰囲気を作っていくのはキャリアの為せる技だ。
続く「Rave-up Tonight」ではMinamiの側転も飛び出し、アクロバティックな動きで暴れまわるFaLiLVに負けじとフロアの動きも激しくなっていく。「良いぞみんな、もっと行こうぜ!」とSoが叫ぶと、2曲を終えここで改めて「神戸から来ましたFaLiLVです、初めましてよろしく!」とMCパートへ。
Fear, and Loathing in Las Vegas
実は昨年末の横浜公演にも遊びに来ていたらしく「RASのみんながバッチバチでカッコよかったのはもちろんなんですけど、お客さんの皆のテンション感というか、一体感がものすごくてビックリしたんです。」とRASファンの熱気を興奮気味に語る。また「今日は皆の本気が見れるまで帰れま10でやらせてもらいたいんで、思いっきりぶつかって来いよ!」と付け加え、3曲目の「Thunderclap」を披露。
Fear, and Loathing in Las Vegas
「手を叩け!」と客席を煽り、Minamiはショルキーに持ち替えての演奏など、FaLiLVのライブは本当に視覚的にも目まぐるしい。エスニックなテイストも織り込まれた「Keep the Heat and Fire Youself Up」ではSoとMinamiが某銀河系最強の戦闘民族でいうところの”フュージョン”的なお決まりのポーズから演奏がスタートし、軽快なダンスビートでフロアの横ノリを誘い、これまたFaLiLVの特徴でもある大胆な転調で激しいヘドバン、エモーショナルな一瞬の静寂のブレイクなど、聴覚的にも目まぐるしくステージが展開されていく。続く「LLLD」はミクスチャーロックのテイストもあり、音楽性の幅広さも感じさせる。
Fear, and Loathing in Las Vegas
5曲を終えたところで「めっちゃ楽しいし、皆から飛んでくるパワーがものすごい!」とここまでを振り返る。「電池とか無くなっちゃうかもしれないけど、良かったらオレらの時もペンライト思いっきり振ってください!!」というSoの呼びかけに応じ、続く「Let Me Hear」では赤一色に会場が染まる。図らずしも同曲はTVアニメ「寄生獣〜セイの確率〜」のOP主題歌にタイアップされており、ミギーとの共存をテーマに制作された1曲だ。そんなRASファンとFaLiLVとのファーストコンタクトと融和をこの曲に感じつつ、「One Shot, One Mind」では「もっと!後ろの方も!」と呼びかけ、「Chase the Light!」では「その手伸ばせ」の歌詞に合わせ「もっと手を上げろ!」とフロアとの対話を欠かさない姿勢に、ドンドンその距離感が近づいていくのを感じる。
そんなタイミングで今度は「オレらラスベガスの事知ってたって人、どれくらいいますか?ライブも来た事あるよって人は?」とフロアに問いかけ「うわ!めっちゃおるやん嬉しいです。まぁ、ラスベガス知らん! RASしか勝たん! って人も最近1曲だけ楽曲提供させて頂いたので……」と本公演のタイトルにもなっているRASの新曲「Repaint」についても軽く触れた所で「皆、まだまだ踊れますか?サイリウムの準備出来てますか!? …よし、それじゃこんな曲行きます!」と「Lay-Line」「Shape of Trust」「Crossover」とダンサブルなチューンを紡いでいく。
Fear, and Loathing in Las Vegas
「やっぱライブは最高やな!」と開口一番にSoが叫ぶと「こうしてRASさんが呼んでくれて、みんなと踊れて今日はめっちゃ楽しいです!」と素直に語り「今度はRASをオレらのライブに呼びたい!」なんて話も飛び出した所で「だけど、オレらラスベガスのライブはまだまだこんなもんじゃ終われないんで! ラスト2曲汗だくになるまで踊ってくれますか!!」と完全燃焼宣言し、「Viture and Vice」「Massive Core」を披露。SoとMinamiの掛け合うようなスクリームの応酬や他のメンバーのエネルギッシュなライブパフォーマンスはまさに「全部出し切る」を身体全体を使って表現している。アウェーだからこその全力さが今夜のFaLiLVにはあったと思うが、最初のMC通り、あくまでも最後まで楽しく踊れるアクトであったことも付け加えておきたい。「最後まで楽しんでって! ありがとう! また会いましょう!」と感謝を何度も叫びながらステージを後にしていく姿が非常に印象的だった。何より自分自身、最後にライブを見たのがおそらく10年近く前になるが、あの頃まだ10代で、そんな自分と同年代にも関わらず大躍進を遂げ、既に大きな舞台で活躍し始めていたFaLiLVが、今も変わらずヒーローみたいにカッコよくて、そこに居続けてくれたことが嬉しくて、胸が熱くなった。
RAISE A SUILEN
ライブはちょうど折り返しを過ぎ、ここで15分間の転換を挟む。ステージ上ではFaLiLVやRASのMVが流れると、客席からは曲に合わせてクラップが起こったりとボルテージはそのまま、フロアを温め続けている。果たしてRASはどう続くのか? またFaLiLVのステージングをどんな気持ちで見ていたのだろうか? と思慮を巡らせていると、再び舞台の幕が上がる。
まずは手始めに「SOUL SOLDIER」を披露すると、曲の最後にひと言「こんばんは。RAISE A SUILENです。」といつもの挨拶からクールにスタート。続く「OUTSIDER RODEO」では間奏で小原と倉知が前に出てきて、お決まりの「頭振れ!」でヘドバンをカマすと、3曲目の「 A DECLARATION OF ✕✕✕」ではイントロの「RAISE YOUR HANDS,NOW!」に合わせて手拍子を煽り、自己紹介がてらの各自ソロパートに突入。「もっと楽しみたいヤツは拳上げな!」とRaychellからの喝が入ると、サビの「3,2,1, JUMP!」のカウントダウンに合わせて会場が揺れる。
RAISE A SUILEN
続く「HELL! or HELL?」はサンプラー、スクラッチ、フィルターなどを駆使したDJチュチュこと紡木のDJプレイからスタート。今回のライブではまるでリリックビデオのようにリアルタイムの映像に合わせてバックモニターに歌詞が表示されたり、各自の魅せ場に合わせたカメラワークや緻密なスイッチングなど、見る者を飽きさせない映像面での力の加え方を特に印象的に思った。どちらが良いとかの問題ではなく、バックモニターにバンドのロゴだけを背負って、身体1つでステージを縦横無尽に暴れ回ったFaLiLVとは対照的な演出ではあるが、実際に両者ともに視覚的にも楽しめたという点に関しては異論ないだろう。
5曲目は未発表のFaLiLVのカヴァー曲「Just Awake」。倉知のエモーショナルなピアノソロから始まるなど、原曲の雰囲気は残しつつも上手くRASに落とし込んでいるのが聴き比べると興味深い。”お前らまだまだ付いてこれるよな?”と言わんばかりに、ここまで5曲続けて披露した所でMCパートへ。Raychellが「ベガスさんのライブ、めちゃスゴかったよね!この動き、何!?」とMinamiの動きをマネすると会場から笑いが起こる。倉知は「舞台袖で見てたけど、パフォーマンスがスゴくて圧倒されました」と夏芽に話を振り「実はベガスさんのライブは見に行った事があって、前からドラムどうなってんの!?って気になってて、リハとか本番とかに見させてもらったけどハンパなかった!」とコラボならではのエピソードも飛び出した。「2022年、良いスタートが切れた!」と小原が語り、「ベガスさんの曲はめちゃくちゃ難しいけど、演奏してても楽しい!」とRaychellがカヴァーを振り返る。ここで満を辞して、ツアータイトルでもある新曲「Repaint」の話題になり、「自分の信じた色に塗り替えろ!そんな意味を込めてベガスさんに作って頂きました」と曲に込めた想いを語った。
RAISE A SUILEN
「それじゃ早速聞いてください!」と6曲目は「Repaint」。カートゥーンチックなアニメーションMVも合わせて初披露された。RASらしい印象の歌詞・映像にに仕上がりつつも、またベガス節の効いた転調もあり、最後まで油断できない1曲となっていた。2/14の20時よりフルverのMVがYoutube上でプレミア公開予定とのことなので、ぜひそちらの更新を楽しみにして頂きたい。
インターリュードを挟んで続いた7曲目「CORUSCATE -DNA-」もライブ初披露というだけでなく、ガルパのバンドストーリー2章に合わせて書き下ろされた、言わばRASの勝負曲という事もあり、フロアの熱気は最高潮へ。
客席のテンションも上がりきった所で、熱をさらに上げる選曲の「灼熱Bonfire!」のイントロが聞こえてくると「知ってる人も知らない人もバイブスで踊ってくださ〜い!」と紡木に合わせて会場がフリコピ。季節も場所も関係なく灼熱へと誘われると、間もなくドラムンベースのリズムが流れてくる。「まずはギター、ロック!」と小原が紹介されるとお琴のようにギターを置き、早弾きに加え光線銃を乱れ打ち、各メンバーがソロパートで見せ場を作っていく。最後に十字にクロスした腕を高く掲げ「!NVADE SHOW!」へと突入。先ほどのRepaintのMVの内容にかけて「まだまだ暴れたんないんじゃないの?そんなんじゃ宇宙へぶっ飛ばすよ!」と檄が飛ぶ。間髪入れず「チュチュ、よろしく」の合図でスクラッチを入れ「EXPOSE ‘Burn out!!!’ 」へ。「最後の曲です!お前ら暴れろ!」と叫ぶと、キーボード、ベース、ギターのフロント3名が足並み合わせて2ステップを踏む。最後まで全力のアクトで文字通りステージを駆け抜けた。
改めてこの2組を見てみると、音楽性の他にも意外と共通点が多いのかもしれない。5ピースバンドであることもそうだし、若干の差異こそあれど楽器の構成も近い部分がある。FaLiLVのようにスクリームこそしないが、代わりにラップをする紡木がいてツインボーカルであると言っても差し支えないだろう。きっと巡り会う運命だったのだと思えるくらいには、ある意味必然的だし、見事なマリアージュだった。似ている部分、対照的な部分、それぞれの存在がお互いの光る部分をフォーカスして照らし出していた。結果的にお互いの良さが輝いていた。
RAISE A SUILEN
「2022年、RASの第一歩が始まりました! 今年もバンドリ!をよろしく! ラスベガスさんもありがとう!」。Raychellのさっぱりしすぎなくらいストレートな最後のコメントが全てを表していた。RAISE A SUILENは最高のスタートを切った。きっと彼女たちの中で今夜の出来事はまだ序章にしか過ぎないのだ。6月のコニファーフォレストなど、まだ楽しみな舞台がこの先に控えている。RASが見据える2022年は一体どんな年なのだろう。どんな景色へ連れて行ってくれるのか。今日のこの景色をどんな色で塗り替えていくのか? 今年の年末に、またこのレポートを読み直してみることにしようと思う。
RAISE A SUILEN
取材・文:前田勇介

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