1月22日(土)@東京・Zepp DiverCity(Original Love with TENDRE)

1月22日(土)@東京・Zepp DiverCity(Original Love with TENDRE)

Original Love、
恒例の主催イベント『Love Jam』で
TENDREとコラボ

2016年からOriginal Loveが世代を問わず注目するアーティストと対バン形式で開催してきた『LOVE JAM』も6回目。今回の対バン相手は昨年、デビュー30周年のアニバーサリー企画第一弾としてリリースしたオフィシャルカバーアルバム『What a Wonderful World with Original Love?』にも参加しているTENDREだ。

まず田島貴男が登場し、“こんな時に足を運んでくれてありがとう。だけどこんなご時世だからこそ楽しんでほしい。では、TENDRE!”と、メンバーを呼び込み、小西 遼(Sax&Syn)のフレーズから始まる「LIFE」からスタート。歌詞の一部を“田島さんとできるなんて考えも歌にさえもしなかった♪”とアレンジ。冒頭からやる気満々な姿勢を見せ、オーディエンスもクラップで応える。ハープの同期がキラキラした空間を彩る「SIGN」では後半、TENDREがキーボードからギターにスイッチ。さらにBREIMENのフロントマンでもある高木祥太(Ba)の粘りのあるフレーズとAAAMYYYが弾くハードなギターが場の温度を上げる「PARADISE」まで演奏すると、TENDREが改めて「Love Jam」に呼ばれたことに謝辞を述べる。続く「Night&Day」は歌詞の《ナイト・アンド・デイ》が“悩んで”にも聴こえ、コロナ以前の曲でありつつ、今、心に寄り添ってくれる印象も。続く「DOCUMENT」も《頃合いのいい頃に話を聞かせて》といういまにフィットする。ジェントルヴォイスによるライフソングという印象だ。

長い拍手にオーディエンスの気持ちが込められる中、TENDREが田島を呼び込み、トリビュートでカバーした「IT’S A WONDERFUL WORLD」を共演。田島はファルセットでともに歌い、TENDREのヴォーカルも熱を帯びる。日常の中にスッと社会性も忍ばせるこの曲の持ち味が、新しい世代のバンドのアレンジで再認識できた。田島がステージ袖に下がる際、河原が“田島さん、ムーンウォークで!”と無茶ぶりしたことにも応えて、気の合うところを見せたふたり。“いつもデビューの気持ちでいたいっていう田島さんはカッコ良いなと。僕もそういう気持ちでいたいと思います”と話すと、人気曲「hanashi」でも歌詞の一部を《甘いくちづけをかわす〜♪》とアレンジして披露。ラストはファンクネス溢れるダンスチューン「RIDE」で大いに盛り上げた。

約15分の転換&換気休憩を経て、秒針のようなBPMで打たれるビートに乗せて、Original Loveが登場。冒頭から実験的な「フランケンシュタイン」を持ってきたことも驚きだが、演奏がまた複雑だ。田島と木暮晋也(Gu)が表・裏のリフを弾き、河合代介(Organ)のハモンドが歌メロとユニゾン。いい緊張感に包まれながら、続いて披露したのは「Xの絵画」。レゲエ調のニュアンスだが、そこにジャズの調性のコードが入ることでスリリングな展開を見せる。田島のヴォーカル力がバンドを牽引していることも確かだが、手練のメンバーが真剣に曲と対峙する様子に感動する。さらに小松秀行(Ba)の太いフレーズが印象的な「エナジーサプライ」というチョイスも意外。どこかTalking Headsの「Once In a Lifetime」を想起させるニューウェイブ発想のファンクが冴え渡る。続いては田島がハンドマイクで歌う「I Wish」。ピンヴォーカルで自在に歌う彼のオーラが凄まじい。曲の中で“明けましておめでとう! よくお越しくださいました!”と挨拶も盛り込みながら、クライマックスはパワフルな高音で圧倒。冒頭からフルパワーの田島はすでに汗びっしょり。ステージ上のメンバーは大笑いだ。

息を整えた田島は“今、作りかけというか、完成してない気もするんですけど、新曲をやります!”と発言。冒頭のブロックが十二分にチャレンジングだった上に新曲まで披露するという意欲。ニューエイジ的というか、ジャズにクラシカルな要素も加味されたフレーズを田島が弾くところからスタートし、荒野を鳥の視点で見ているような歌詞も相まって、空を滑空するような体感を得た。続く新曲は太いボトムを持ったファンク/ソウルにジャズの調性が加わったタイプ。田島のギタリストとしての進化は留まるところを知らず、スキャットとソロ、オルガンのフレーズがユニゾンする辺りは新境地ではないだろうか。もちろん田島流のミクスチャーではあるのだが、ルーツミュージックに自分の血がしっかり混ざる、底なしの発想力に脱帽してしまう。

濃厚な前半に続いて、TENDREを呼び込んで「朝日のあたる道」を共演。2番のAメロで河原が歌い出した時の声の柔らかさに新鮮さを感じるとともに、しっかりした足取りの前向きなこの曲でコラボした意味合いに感銘を受けた。“エンジンの種類”は違えど、どこかふたりに通じるマインドがあったからだ。

後半は会いたい人に容易に会えないいまの心持ちに奇しくもハマる曲が続く。サンバのリズムの「時差を駆ける想い」のアウトロは佐野康夫(Dr)との田島のギターが対決するような熱量だった。いったんカームダウンしたスローテンポに転じたが、その中に含まれるソウルは最大な「Love Song」。ファルセットから地声での絶唱に変わる辺り、鳥肌モノだ。また、セッション風の「Two Vibrations」は後半、P-ファンクもかくやな長いエンディングに突入。会場もグルーブの渦に巻き込まれたところに、さらにコシのある小松の低音が五臓六腑に響く「The Rover」。歩き続けることが生きること、そんな力強いメッセージを渾身の演奏で届けてくれた。正真正銘のラストはガレージロックばりの「R&R」。やんちゃに暴れながらTENDREのメンバー全員を呼び込み、田島貴男というソウルパワーの塊に食らいついていく。どんな共演者もタガを外して飛び込んでいくしかない、それが『Love Jam』の醍醐味でもある。生きていく力を実感させてくれた約2時間半は清々しい気持ちで幕を閉じた。

text by 石角友香

【セットリスト】
『Original Love presents 「Love Jam Vol.6」』
1月22日(土) 東京・Zepp DiverCity
■TENDRE
1. LIFE
2. SIGN
3. PARADISE
4. Night & Day
5. DOCUMENT
6. It's a Wonderful World(with 田島貴男)
7. hanashi
8. RIDE
■Original Love
1. フランケンシュタイン
2. Xの絵画
3. エナジーサプライ
4. I WISH
5. 新曲
6. ソングライン
7. 朝日のあたる道(with TENDRE)
8. 時差を駆ける想い
9. LOVE SONG
10. Two Vibrations
11. The Rover
12. R&R (Original Love X TENDRE)

【アーカイブ情報】

『Original Love presents 「Love Jam Vol.6」』
1月22日(土) 東京・Zepp DiverCity
<配信チケット>
料金:3,800円(税込)
チケット販売終了日時:1月29日(土)21:59
見逃し配信期限:~1月29日(土)23:59
販売URL:https://originallove.moala.live/collections/ticket/products/lovejamvol6-st
カバーアルバム『What a Wonderful World with Original Love?』発売中
    • 【完全生産限定盤】(CD+DVD)
    • VIZL-1940/¥5,500(税込)
    • 【通常盤】(CD)
    • VICL-65564/¥3,300(税込)
オールタイムべストアルバム『Flowers bloom, Birds tweet, Wind blows & Moon shining』発売中
    • 【DELUXE EDITION (完全生産限定盤)】(4CD+Blu-ray +booklet, special package)
    • VIZL-1982/¥16,500 (税込)
    • 【STANDARD EDITION (通常盤)】(3CD)
    • VICL-65634~6/¥4,950(税込)
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OKMusic編集部

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