L→R 平井 文(Groove Activator)、yukirie(Gu)、松永 瀀(Vo)

L→R 平井 文(Groove Activator)、yukirie(Gu)、松永 瀀(Vo)

【SpendyMily インタビュー】
新しいことをやっていきたい。
SpendyMilyは
それができるバンドなんです

スタイリッシュさと切なさや痛みを併せ持った独自の音楽性が光るSpendyMily(読み:スペンディーミリー)。3rd配信シングルとなる「後悔」がドラマ24『シジュウカラ』(テレビ東京系)のテーマ曲に抜擢されたことからも彼らの実力の高さはうかがえる。同作を機にさらなるスケールアップを果たすことを予感させるメンバーの3名に、高い評価を得ている音楽性やアートワークなどについて語ってもらった。

僕らが思うエモーショナルというのは
お洒落なだけでは終わらないもの

music UP’sでインタビューさせていただくのは初めてですので、まずはバンドのプロフィールを伺いたいです。SpendyMilyはどんなふうに結成されたのでしょう?

松永
僕らは出会いがTwitterで、yukirieくんがギターを弾いている動画を観て、彼と一緒に音楽を作ったら面白いものができるんじゃないかと思ったんです。で、コンタクトを取らせてもらって、そこからどんどん話が進んでいきました。
yukirie
僕と松永くんが出会ってふたりで曲を作っている時に、僕の知り合いで独創的な映像を作っている、めちゃくちゃアーティスティックなドラマーがいるということで平井さんを紹介したんです。3人で好きな音楽とか、やってみたいことを話して、そこで意識を共有して、彼女が加入することになりました。

いいメンバーが揃いましたね。SpendyMilyを始めた時点で目指す音楽性やバンド像なども見えていたのでしょうか?

松永
見えていなかったです。yukirieくんのギターテクニックとかは未知数な感じだったので、まずはお互いがやれることだったり、詰め込めるものを全力で詰め込もうというスタンスで始めました。アイディアや意見を出し合って曲を作っていくうちに、今のスタイルに向かって行った感じです。

最初にビビビッときたとおり、カッコ良い音楽が作れたんですね。それぞれの音楽的なバックボーンや影響を受けたアーティストなども教えていただけますか。

松永
僕はエレクトロニカルというか、宇宙的なクラブミュージックとかが好きです。壮大な音楽が好きで、The Weekndとかはよく聴いていましたね。邦楽アーティストだと、サカナクションが好きです。曲を作っている時、たまにサカナクションを聴いて“あぁ、いいな”と思って、そこからイマジネーションを膨らませたりすることがあるんです。サカナクションのお洒落な雰囲気は、すごくいいなと思いますね。
yukirie
僕は昔からインストゥルメンタルが好きで、洋楽邦楽問わずアンダーグランドなインストをよく聴いていました。日本だとmouse on the keysとかが好きですね。ポストロックとかマスロックみたいに変拍子を使ったり、ちょっと複雑なタイプの楽曲が好きなんです。2年前くらいからギターヒーロー的な存在がいる海外のバンドに惹かれるようになって、Polyphiaとかをよく聴いています。ハイテクニックというか、ギタープレイが幅広いバンドが好きですね。あと、昔から今に至るまでずっと好きなのが凛として時雨です。初めて彼らの音源を聴いた時…イヤフォンで聴いたんですけど、いろんなところから音が聴こえてくるのがすごくいいなと思って。とらわれていないというか、独創的なところが好きで、そういうスタンスをSpendyMilyにも反映できればと思っています。
平井
私もyukirieと一緒でマスロックが好きで、日本だとthe cabsとか、海外だとChonとかが好きです。個人でそういうバンドの“叩いてみた”動画をアップしたりしていて、それでこのバンドにも誘われました。ドラムを始めたのは高校1年生くらいなんですけど、もともとはsyrup16gが好きだったんですよね。その頃組んでいたバンドでコピーしようということになったんです。そういうところから入って、いろんな音楽やドラマーを知って、今に至っています。

洋楽やマニアックな音楽に対する嗜好性が強いと同時にJ-POPの良さも分かるメンバーが揃っているんですね。

松永
僕は古い歌謡曲も好きだし、80年代や90年代のJ-POPとかも聴きますね。僕はいいなと思ったものは何でも聴くし、作る側になってから、より幅広く音楽を聴くようになりましたね。
yukirie
それは僕も同じですね。好き嫌いせずに聴こうという気持ちが以前よりも強くなっています。

意識が高まっていることが分かります。昨年リリースした2曲を題材に、もう少し音楽性を掘らせていただきたいです。まず、「夏とブルー」(2021年8月発表)は少しブラックミュージックが香るアーバンな曲ですね。

松永
「夏とブルー」は昨年の3月とか4月に作った曲です。yukirieくんと一緒に曲作りを始めて、“これじゃないな。これでもないな”と作っては壊しを繰り返していたんですよ。そういう時期を経て、“これだ!”と思えるようなものが作れるようになってから作った曲です。「夏とブルー」は媒体さんとかに取り上げていただいた時に、失恋曲だと言われることが多くて。まぁ、失恋が大部分ですけど、《大人になる意味ってさ まだ分からない》というフレーズがあったりするんですよ。つまり、失恋だけじゃなくて、人生にはいろんな悩みがあるということを歌っているんです。あと、マイナス思考的な歌詞なんですけど、“そんなことは気にするな”という想いを込めました。そういうメッセージを発信する歌に持っていけたことに満足しています。
yukirie
SpendyMilyでは基本的に僕がオケを作り込んで、松永くんがメロディーを入れて、それに合わせてコードを手直ししたり、“ここはもうちょっと長いほうが歌いやすいかな?”とか“ここはもうちょっと間を空けたほうがいいな”というような擦り合わせをしてブラッシュアップするんですね。その結果、全体的にこういう雰囲気になったという。よりカラーが明確になるように特定のジャンルに寄せようかなとも思うけど、それだとありきたりになってしまうから、フックになるものをいくつか入れたりして独自のものに仕上げるようにしています。いつもそういう意識で曲を作っていて、それは「夏とブルー」も同じでした。お洒落なシティポップではあるけど、ギターとドラム、ヴォーカルは高度なことをやっている…そういうところでバランスを取るようにしました。
平井
曲に関しては基本的にふたりに任せていて、いつもいい曲を作るなぁと思いますね。私はこのバンドに入る前までは別のバンドをやっていて、レコーディングではちゃんと生ドラムを叩いていたんですけど、このバンドに入ってからは音源のドラムは打ち込みにしています。ふたりが作る世界はすごく魅力的で、それを壊さないようにしたいというのがあるので。それに、私の中には新しいことをやっていきたい気持ちもあって、SpendyMilyはそれができるバンドなんです。

続いて、昨年10月にリリースされた「雨のリズム」はアンニュイさもあるスタイリッシュなナンバーですね。

yukirie
「夏とブルー」はリリースの数カ月前に作ったけど、「雨のリズム」は結構前に形になっていました。曲ができた時、“めちゃくちゃいいじゃん!”ってなって、然るべきタイミングまで出さずに取っておくことにしたんです。明るい感じの曲だけどマイナー進行があったりするし、2番も明るさと暗さを両立させて抒情的な雰囲気を出しました。展開も多いし、「夏とブルー」と同じくハイテクニックで、この曲はSpendyMilyのアイコニックな楽曲になってほしいという想いもあって結構練り込みましたね。
平井
「雨のリズム」は…素敵ですよね(笑)。この曲は私が加入する前からあったんですよ。初めて聴いた時はイントロがめちゃめちゃすごいと思いました。“すげぇな…。この人と一緒にバンドできるのかな?”みたいに思った曲ですね(笑)。yukirieが話したように、SpendyMilyらしさが詰まった一曲です。
松永
「雨のリズム」はサビとかもそうですけど、メロディーの音符が階段になっているんですよ。何もない状態から作るのは難しかったりするメロディーで、そういうところでも深みが出ていると思いますね。あと、僕たちが感じているエモーショナルというのと、今の若い方たちとか世の中全体が感じているエモーショナルには、いい意味でずれがあると感じていて。僕らが思うエモーショナルというのはお洒落だけでは終わらないものなんですよ。お洒落の中に悲しさだったり、悲観的な感情とかもあって、それが直接心に届くものを僕らはエモーショナルだと思っているので。「雨のリズム」はそれをかなり深く表現できたと思います。

よく分かります。SpendyMilyの楽曲はスタイリッシュですが、根底にはロック…それは激しさなどではなく、尖りのようなものがあることを感じました。

松永
それを感じ取ってもらえたなら嬉しいです。
yukirie
松永くんと平井さんはロックな人なので、それがSpendyMilyにいい作用をもたらしていると思います。
L→R 平井 文(Groove Activator)、yukirie(Gu)、松永 瀀(Vo)
シングル「後悔」

OKMusic編集部

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