THE BEAT GARDENの未来に期待する、
新たなスタートラインに立った2021年
を締めくくるワンマンライブ『THE N
EST 2021』レポート

THE NEST 2021

2021.12.28 渋谷クラブクアトロ
THE BEAT GARDENにとって、ひとつのピリオドでもあり、新たなスタートラインでもある2021年。そのフィナーレを飾るワンマンライブ『THE NEST 2021』東京公演が、12月28日に渋谷クラブクアトロで開催された。
新加入のサポートDJ・kowta2(コウタツ)が操る強力なEDMビートに乗せ、ステージに飛び込んできたU、MASATO、REIの3人は満面の笑顔。最初からエンジン全開モードで激しく動き回る。曲は「Never End」。1曲目に5年前のデビュー曲を選んだのは、新生THE BEAT GARDENへの期待と、文字通り“夢は終わらないぜ”という力強いメッセージだろう。kowta2が手を振り上げて満員のフロアを煽る。そして「Never End」が“フロアを揺るがす曲”なら、続く「花火」は“心が揺れる曲”。ダンスミュージックでありながら、ロマンチックでメロディアスなラブソング。Uのせつない浮遊感のある歌声が分厚いサウンドを突き抜けてしっかり届く。気持ちのこもったオープニングだ。
THE BEAT GARDEN/U
「楽しんでますか? 元気? 今日は拍手が声の代わりなんで、もう十分伝わってます。最後までよろしくお願いします!」(U)
「answer」で、センターに立って真っ先にフロアを煽るのはREIだ。「東京、そんなもんちゃうやろ?」という笑顔の挑発に、全力のダンスと手振りで応えるBeemer(※ビーマー:THE BEAT GARDENファンの呼称)たち。MASATOも負けじと、気迫みなぎる歌声で激しいエレクトロ/ロックサウンドを乗りこなす。ド派手なレーザービームが飛び交い、カラフルなライトが回る。そう、これがTHE BEAT GARDENのライブ。「ライブ、ヤバいな!」と思わずUが口にしたのは、心からの素直な思いだろう。
MCで、寒い中全国から集まったファンへの感謝を伝える誠実なREI。同じく感謝を述べているうちに、話の着地点がどんどん変わってゆくマイペースなMASATO。派手な銀髪とは裏腹に人懐っこい笑顔がいいkowta2は、今日の衣装を忘れてきたという。いきなり大物の予感がする。そんな個性あふれるメンバーを自慢げに見守るU。ステージとフロアに漂う空気が、親密で温かい。
THE BEAT GARDEN/REI
そして披露されたのは新たな試み、題して「THE BEAT GARDEN Original Mash Up Tokyo Ver.」。「FLY Me High」のビートに乗せてオリジナルとカバーソングが次々と登場するマッシュアップチューンで、「夏の終わり 友達の終わり」「Snow White Girl」「Konayuki」など自らの代表曲に、藤井風「きらり」、DISH//「猫」、YOASOBI「夜に駆ける」などを織り交ぜて作り上げた東京スペシャルバージョン。これまでにYouTubeチャンネルでカバーソングに挑戦してきた、一つの成果が形になった素敵な瞬間だ。
最新シングル「ROMANCE」をライブで聴くのは初めてだが、“80's’ s/90'sのリバイバル感”を掲げたブラックミュージックのファンキーなフィーリングは、懐かしくも新鮮に体を揺らす。90'sトレンディドラマ風の、ディテールにこだわった歌詞の世界観をリアルに描き出す、3人の歌もとてもエモーショナル。これからのTHE BEAT GARDENが目指す、高規格のブラック/ダンス/洋楽ポップとJ-POPとの融合の、先陣を切る1曲。
「僕らにとって、今年は別れと出会いの1年でした――」。そう話し始めたUの言葉は、Beemerに語り掛けつつ、自らにも言い聞かせるような、しみじみと誠実なものだった。3人体制での再出発。「みんなのおかげです。THE BEAT GARDENを続けさせてくれて本当にありがとう」という言葉に嘘はない。Beemerとの長く強い絆をリアルに描く、感動的なスローナンバー「みんなへ」は、3人体制になってもみずみずしい感動はそのままだ。この場にいる全員が大きく左右に振る手が、ここにしかない共感をもたらす。メンバーが深々とお辞儀する。心なしか、Uの瞳がうるんでいるように見える。
THE BEAT GARDEN/MASATO
さあ、顔を上げて前を向こう。「スタートボタン」の力強く前進する四つ打ちのキックは、ここから始まるTHE BEAT GARDENの新章開幕の合図だ。「来年も、うれしい未来を持って、みんなのことを待ってるから。その未来に一緒に行こう」と、Uが呼びかける。曲は「ぬくもり」に変わった。アップテンポのリズムに乗り、U、MASATO、REIが激しいフォーメーションチェンジを繰り返す。マイクにしがみつくように歌を吹き込む。kowta2がクラップで煽る。《夢も金もないのに なんかあったかいんだ》。ずばりと切り込む歌詞が沁みる。
「ラスト、Sky Drive! 渋谷クアトロ、行くぞ!」
ラストはやはりこの曲、インディーズ時代からの最強キラーチューン「Sky Drive」。初期のTHE BEAT GARDENが掲げた“EDR”=エレクトリックダンスロックを代表する1曲。あれから6年近く、音楽的な広がりはぐっと増したが、ライブで暴れ回るロックなスピリットはあの頃のまま。最後の体力を振り絞って歌う。レーザービームが体に当たり、火花のようにはじけてきらきら光る。フロアは一人残らず飛び跳ねる。誰も置いていかない一体感が、渋谷クアトロを大きく包み込む。
「2022年は、大きな何かを用意しているのでお楽しみに」。Uの言葉に盛大な拍手で応えるBeemerたち。U、MASATO、REIと、サポートDJ・kowta2がナビゲートする新しい船に乗り込んだBeemerたち。信じて紡いでく。この道は続いていく。これから描かれる真っ白なキャンバスのような、THE BEAT GARDENの未来に期待する。

取材・文=宮本英夫 撮影=Yuto Fukada

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