Machico

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【Machico インタビュー】
大人びたバラードも
歌えるということが
改めて自分の自信へとつながった

2022年5月で音楽活動10年目を迎えるMachicoの約2年半振りとなるシングル「ENISHI」。表題曲はTVアニメ『幻想三國誌 天元霊心記』OPテーマとして、アニメの幕開けを飾る楽曲では珍しい音数を絞ったバラードに仕上がっている。そんな今作の出来栄えのほか、アーティストとして大切にしていることなどを訊いた。

新しい歌い方のイメージが
できるようになっていた

今回のアーティスト写真はすごくオリエンタルな雰囲気ですね。

そうなんです。これまではロングスカートが多かったのですが、今回は“自然体な大人らしさ”をテーマにパンツスタイルにして、髪は作品に合わせて赤色にしました。衣装自体はシンプルなので、個性的な目元のストーンや大きな耳飾りでアクセントをつけたり。今までとは違う大人なテイストの楽曲だから、ナチュラルな表情作りも意識しました。

表題曲「ENISHI」は『幻想三國誌 天元霊心記』OPテーマに起用されていますが、楽曲が生まれるまでの経緯を教えてください。

『幻想三國誌』は中国の歴史を描いた作品なので、当初から壮大で重厚感ある楽曲を求められていたのですが、アニメ監督の町谷俊輔さんが私のアルバム『マチビトサガシ』(2019年11月発表)の収録曲「Everlasting Glory」を気に入ってくださったようなんです。この楽曲も今回の「ENISHI」に通ずる、葛藤や心の叫びをテーマにしたバラードだったので、明るく前向きなイメージだけではなく、こういった方向性もいいんじゃないかと。ミドルテンポだし、いい意味でアニメのOPっぽくない楽曲ですよね。

タイトルの“ENISHI”は人と人とのつながりを表す“縁”のことですが、Machicoさんはこの縁を歌で表現するためにどのような工夫を?

大切な人を失ってしまうかもしれない恐怖心や、その人が叶えたい夢を応援するという気持ちを踏まえて、女性が持つ繊細さや儚い祈りの想いを歌声に重ねることを意識しました。「ENISHI」は戦乱の中心へと旅立つ人に想いを馳せる女性目線のストーリーなのかなと考えたんです。誰かを待つ側の人間は、その人を支えることしかできないからこそ、楽曲自体ももどかしさや切なさを帯びるんですよね。

「ENISHI」はミズノゲンキさんが作詞、睦月周平さんが作編曲をそれぞれ担当されていますね。

今までもお世話になったことがあるおふたりなので、私のアーティストとしての特長を熟知されていて、すごく歌いやすい楽曲に仕上げていただけました。睦月さん節が効きつつ、私の持ち味の高音をDメロなどに盛り込みながら、今回は低音ヴォーカルがメインになるように作っていただいています。レコーディングの際には、その瞬間に感じた想いを吸収して発散するような新しい歌い方のイメージができるようになっていて、自分としても身構えずに歌いきれました。

以前はどのようなイメージを持っていたのでしょうか?

決まったメロディーに音程を当てるのは得意なんですけど、逆にフェイクだったり、アーティストらしい個性を出す歌い方が苦手だったんです。だから、「ENISHI」の2番終盤や最後のサビのシャウトも、今までだったら“こういう音程で声を張っていこう”と勝手に決めつけていたと思うんですね。でも、そういう点で成長を感じられたので、前作から2年間空きましたけど、その時間があって良かったと思います。

Machicoさんの音楽活動において、「ENISHI」はどのような立ち位置の楽曲になりそうですか?

タイミングが良かった…というわけではないのですが、この2年間で声優としての出演作品で私の存在を知ってくださった方々が一気に増えまして。そういったみなさんにギャップを届けられる楽曲になっていると思います。以前から応援をしてくださっている方々にはアルバム収録曲などを通して、「ENISHI」のようなマイナー調の楽曲を私が好んでいることは知られていると思うんです。ただ、やっぱりキャラクターとして歌を披露する際は、明るく元気で、天真爛漫な役回りのことが多いので…

それこそ、『マチビトサガシ』リリース当時には、さわやかさとは少し離れた、大人らしい楽曲をもっと歌っていきたいと話していましたからね。「ENISHI」は自身のステップアップを提示する上では、これ以上なく相応しい内容なのでは?

たった2年間空いただけですが、「Everlasting Glory」の頃とは全然違った表現の幅で歌えたことで、大人びたバラードも歌えるということを改めて感じて、自信へとつながったと思います。

対して、カップリング曲「向こう見ずFORWARD」ではとてもアッパーなバンドサウンドが繰り広げられています。この楽曲を初めて聴いた際の印象は?

こちらもいい意味でギャップのある楽曲だなと。サウンド自体は激しいのですが、歌詞はどんな自分でも常に肯定してくれる、まるで笑顔の輪が広がっていくようなやさしさを感じるんです。カッコ良さもありながら、さわやかで笑顔のような…Machicoのパブリックイメージがベースにあるっていうか。変わらない安心感と新しさを一緒に表現できる楽曲になったと思います。

それにしても、Aメロのドラムがものすごいですね(笑)。

作編曲をしていただいた松隈ケンタさんのサウンドが本当にすごいんですよね(笑)。松隈さんにはレコーディング時のディレクションもご担当していただいたんです。普段はレーベルのディレクターさんが務めているので、私の音楽活動でもかなり珍しいことで、大きな変化を感じられたレコーディングでした。

具体的にはどのようなディレクションが?

力強いサウンドに負けないように、とにかく臨場感を大切にしてほしいと言われました。ただ、最初はなかなか対応しきれず…。その際に参考として、WANIMAさんのMVなどを観させていただいて、KENTAさんのようにヴォーカル兼プレイヤーのリズム感を想像しながら歌ってほしいと言われたんです。私は楽器を弾けるわけではないので、どうしてもリズムの取り方がヴォーカルチックになっていたんですよね。

となると、こちらのほうが「ENISHI」よりも歌うのが難しかったのでは?

そうですね。ライヴで歌うとなれば、そういった臨場感も自然に出せると思うんです。ただ、レコーディングスタジオでどれほど自分の殻を破れるのかはヴォーカリストの技量を試される部分なので、特に苦戦しました。

確かに。新曲ながらもすぐにライヴのセットリストに溶け込みそうです。

この曲をステージで歌って、みんなで声を出して、拳をあげられたらどれだけ気持ちが良いことか。みなさんも日頃のストレスやうまくいかないことがあると思うので、そうした悩みを私のライヴで少しでも軽くできたら嬉しいですね。
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シングル「ENISHI」

OKMusic編集部

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