光の先へ。SPARTAが見据える理想の景 色 | Newave Japan #56 隣で語りかけてくれてるような親密さと、見たこともない景色を見せてくれるんじゃないかという期待を同時に抱かせる。
SPARTA の声にはそんな魅力がある。彼は誰にでもわかる平易な言葉で、誰もが耳を引くメロディと共に、その情熱と理想の未来を垣間見せる。
地元・熊本でスケーターとして活動していた彼は、ビデオグラファーを志し上京するも、撮らせてくれる知人がいなかったという理由で自らマイクを取る。そうしてラッパーとしてのキャリアをスタートさせると、2019年に初のアルバム『3』をリリース。翌年には自身が抱える不安や内省を、ありのままパッケージした2作目のアルバム『Count Your Blessings』を発表。じわじわとリスナーを獲得してきた中で作られたのが、2021年6月リリースのアルバム『兆し』である。
ストレートなリリックと柔らかいトラック、風が吹き抜けていくような爽やかなメロディからは、誰もがポジティブなバイブスを受け取るはずだ。単語ごとに録音するような制作にシフトしたという本作は、SPARTAのリリックに新鮮な響きを与えているように思う。
今回の取材では彼のルーツをまとめた8曲のプレイリストと共に、その音楽観を紐解いた。向上心があり、内側で燃えている野心があり、それを伝える瑞々しい音と卓越したフロウがある。<未開 開き 明るい兆しと朝日が登るよう>(“One by One”)。明るい場所へ、この声が連れて行ってくれる気がする。
SPARTAの芯にある音
ープレイリストの中で一番最初に出会った曲はなんですか?
多分
Wiz Khalifa の「The Thrill」です。学生の頃にスケートをしていたんですけど、カリフォルニアのスケートビデオと一緒にこの曲が流れていて、凄くカッコいいなって思いました。聴きやすいポップな曲で、「The Thrill」には自分の芯にある好きな曲の雰囲気が詰まっていると思います。
ーそれまではどんな音楽を聴いていましたか?
中学の頃に流行っていた、やんちゃな人が聴くような音楽…って言ったらあれだけど(笑)。たとえば
Hilcrhyme とかを聴いてました。あとはレゲエですね。僕が中学生の頃に熊本でレゲエが流行っていて、当時はみんなが良いって言ってる音楽を聴いていました。
T.O.K. っていうジャマイカの人とか、日本だと
CHEHON さんや
湘南乃風 もそうですね。
ーヒップホップのルーツは?
ヒップホップは
JAY-Z かもしれないです。長崎にスケーターの知り合いがいて、泊まりでスケートしに行ってたんですけど、その人がラップ好きですぐバトル仕掛けてくるような人で。彼がJAY-Zを聴いてたんですよね。
ーSPARTAさんの耳にはすぐ馴染んだんですか?
いや、結構時間がかかりました。ヒップホップは最初嫌いだったんですよね。でも、スルメ系の感覚をそこで知ったというか。あんまりキャッチーではないけど、聴けば聴くほど良さがわかってきて。時間をかけて好きになった気がします。JAY-Zに関しては、スケボーする時に時間が分からなくなるので、彼の『Blueprint』を流しながらアルバムが何ループするまでに俺はこのトリックをメイクできるか、みたいなことをやっていました。
ー面白いですね。
僕の友達にDENAMI TXってやつがいるんですけど、そいつがWiz Khalifaとか
Nicki Minaj 、
Young Money やLil Wayneが好きで。その人からいろいろ教えてもらってヒップホップにハマっていったって感じです。あと、レゲエを聴いてた時に姉の影響でR&Bも聴いてました。
Usher とかサザンとか、あとは
安室奈美恵 も姉が凄く聴いてた音楽ですね。
ーお姉さんからの影響もあるんですね。
姉は新譜を教えてくれる人でしたね。
GReeeeN が流行り出す前にGReeeeNを教えてくれたりして(笑)。プレイリストに入ってる「Baby Don’t Cry」は、最近SNSを見ている時に出てきたんですけど、久しぶりに聴いたらメッセージが新鮮で。自分のベースにあるものを感じて入れました。
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