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【映画コラム】記憶にまつわるSFラ
ブロマンス『レミニセンス』

 『メメント』(00)『ダークナイト』(08)『ダークナイト ライジング』(12)『インターステラー』(14)とクリストファー・ノーラン監督作品で脚本を担当してきた、弟のジョナサン・ノーランが製作し、彼の妻のリサ・ジョイが監督した、記憶にまつわるSF話『レミニセンス』が9月17日から公開される。
 これまで彼らが作ってきた映画と本作を合わせて考えると、この兄弟の時間と記憶に対する執着は尋常ではないと思わされる。
 例えば、劇中で重要な役割を果たすスタンダードの「Where or When=いつかどこかで」(作詞・ロレンツ・ハート、作曲・リチャード・ロジャース)も、過去と記憶にまつわる曲なのだから、念が入っている。
 都市が海に沈んだ近未来のマイアミ。孤独な退役軍人のニック(ヒュー・ジャックマン)は、相棒のワッツ(タンディ・ニュートン)と共に、顧客が望む過去の記憶を、特殊な装置を使って再現することをなりわいにしていた。
 ある日、メイ(レベッカ・ファーガソン)という魅力的な女性が現れ、ニックはたちまち恋に落ちるが、メイは突然姿を消す。必死にメイを捜すニックは、やがて、ある陰謀と自分が愛した女性の真実を知ることになる。
 タイトルから、ニックが超能力を使って他人の記憶の中に潜入する話かと思いきや、装置を介して“目撃する”話だった。つまり、彼は他人の記憶を見るだけで、そこに介入することはできないし、見ている映像は過去のものだから、それを変えることもできない。そのもどかしさと切なさが、この映画の真骨頂。いろいろと盛り込み過ぎて支離滅裂なところもあるが、要はニックとメイの悲恋を描いたラブロマンスなのだ。
 独特の近未来の風景や一種の探偵ものという点では、リドリー・スコット監督の『ブレードランナー』(82)を思い出し、水中に入る妙な装置を見ながら、ケン・ラッセル監督の珍品『アルタード・ステーツ/未知への挑戦』(80)に出てきた装置のことを思い出した。恐らく、そうした過去の映画のイメージも反映されているのだろう。
 また、ロシアで撮られた日本映画『レミニセンティア』(15)もある。監督はロシアで映画作りを学んだ井上雅貴。タイトルはロシア語で「追憶」を表す。
 主人公は、人の記憶を消す特殊な能力を持つ作家のミハエル。彼のもとには「記憶を消してほしい」と願う人々がやってくる。 
 ミハエルは金の代わりに人々の記憶(小説のストーリー)をもらうのだが、自身は幼い娘と過ごした過去が思い出せずに悩んでいた。そんなミハエルの前に、記憶を呼び起こす特殊能力を持ったマリアが現れるが…という内容。
 記憶にまつわるSF話として、『レミニセンス』と対で見てみるのも一興だ。(田中雄二)

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