栗林みな実

栗林みな実

【栗林みな実 インタビュー】
この曲を聴くことで
映画を観た方が
作品と一体化できるように

20周年のアニバーサーリーイヤーに贈る“39(サンキュー)枚目”のシングル「Just the truth」は、劇場版『Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ Licht 名前の無い少女』の主題歌に。テレビアニメに続き、映画でも『プリズマ☆イリヤ』作品に携った今作は、意外にもキャリア初の劇場版主題歌の制作だったという。そんな挑戦を経て、かつてない新境地のナンバーが完成した。

この新しい試みを
かたちに残せて良かった

新曲「Just the truth」が主題歌となっている劇場版『Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ Licht 名前の無い少女』はテレビアニメも4期放送されるなど大人気シリーズの作品ですが、制作の話をいただいた時のお気持ちはいかがでしたか?

劇場版アニメの主題歌を手がけることが初めてだったので、まずそのことにびっくりしました(笑)。それも『Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ』の劇場版だと聞いて、またこの作品に関われることがすごく嬉しかったです。

テレビアニメ第2期『Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ ツヴァイ!』でオープニング主題歌の「moving soul」(2014年7月発表のシングル)を担当されましたが、この作品に対してどんな印象がありましたか?

主人公のイリヤが真っすぐな女の子で、いつも心を打たれるんですよね。彼女のストレートな言葉を門脇舞以さんの声で聞くと、すごく胸に響いてウルっとすることがよくあるんです。大好きなキャラクターですね。キラキラしていて、夢を与えてくれるような作品だと思います。

そんな思い入れのある作品の劇場版主題歌を制作するにあたって、今回はどのように作品の着想を得たのでしょうか?

劇場版のシナリオと絵コンテをいただいたのですが、頭の中を全部『プリズマ☆イリヤ』の世界観にしたかったので、これまでのテレビアニメシリーズを改めて全部観ました。ちゃんと作品を自分の中に落とし込みたかったんです。すごい量でしたけど(笑)。

作品のどういう部分を主題歌の軸にしようと思われましたか?

今回の劇場版のストーリーの中で私が一番印象的で共感できたのが、イリヤが真実に対してこだわりを持っていて、自分の中で大事にしているところで。嘘も嫌いだし、“真実と嘘”に対してすごく意識しているんですよね。なので、そういう部分を曲にできたらドラマチックになるんじゃないかと思って構想を広げていったんです。この曲は歌詞から作って、それに合わせていく流れで作りました。

「Just the truth」の歌詞では決意と覚悟が描かれていますが、歌詞を書く際に意識されたことは?

エンディングでこの曲が流れるので、みなさんの映画を観たあとのテンションを大事にしたいと思ったんです。きっと観終わったあとは、頭も心も映画のことでいっぱいになっていると思うんです。なので、この曲を聴くことで映画を観た方が作品と一体化できるように、なるべく難しい曲にならないように心がけました。

登場人物の心情に寄り添うような歌詞が印象的でした。

そうですね。特に2番は主人公のイリヤだけでなく、他の登場人物の心情にもリンクしています。

ご自身でお気に入りのフレーズは?

1番のBメロの《ね、いつか解けていくよ 過去も絶望も/ぜんぶ超えて 素直さで輝くから》ですね。本当にいろいろなことがあっても、素直な気持ちの人には強さがあると思うんです。普段の生活の中でも、自然体で何もごまかしていない人と出会うたびに“強いなぁ”と思うんですけど…主人公のイリヤも私の目にはそういう人に映っているので、その強さをこのフレーズで表現できたと思って気に入っています。

「moving soul」の時は作詞のみでしたが、今回は作曲も手がけられていますよね。そこには何か想いが?

再び『プリズマ☆イリヤ』の主題歌を担当させていただくので、せっかくだから詞だけでなく曲も作りたいと思ったんです。この作品に自分が作った曲も残したかったんですよね。

言葉を運ぶ緩やかなメロディーと、ストリングスと肉声が重なる神秘的で壮大なアレンジが印象的な楽曲に仕上がっていますが、作曲される際に意識されたことは?

アニメの制作側から楽曲イメージとして“淡々とした曲にしてください”というリクエストをいただいたんです。なので、高い声をあまり出さず、テンポも緩やかで、音域もあまり広げないようなものにしました。それに編曲の大久保薫さんがめちゃめちゃカッコ良いアレンジをつけてくださったんです。ストリングスとコーラスが、この曲のポイントですね。曲の大部分が埋まっているんじゃないかと思うぐらいコーラスが出てくるんですよ。コーラスのメロディーも素敵だったし、レコーディングではファルセットでコーラス部分を歌ったんですが、出来上がった大久保さんのアレンジを聴いた時は感動しましたね。私の作った歌の部分のメロディーは淡々としているんですけど、アレンジが入ると本当にドラマチックになっていて…映画を観たあとに浸れる曲の空気感や温度感も、いい感じに仕上がったと思います。

楽曲的にも栗林さんの新たな扉を開いた作品になりましたね。

これまではテンションを上げて作る曲のほうが多かったんですが、今回はまったく違うアプローチで作ることができました。“淡々と”というリクエストも初めてでしたし。でも、その言葉があったからこそ、今までと違う作風の楽曲を作れたんです。そうした言葉がひとつあるだけで、こんなにも違うことができるんだという発見がありましたね。

レコーディングの際にも挑戦はありましたか?

とにかくコーラスが今までにやったことがないぐらい難しかったんですよね。だから、すごく練習してレコーディングに入りました(笑)。うまく録れた時は嬉しかったし、達成感がありましたね。人の声が重なるのって、本当に感動的なんですよ。歌ももちろんですが、“コーラスが入ることによって、こんなに新しい世界観が生まれるんだ!?”と思いました。ちょっと異国な感じのメロディーを声で歌うというところで、不思議な世界観が広がるのかな? 新鮮さを感じましたし、この新しい試みをかたちに残せて良かったと思います。
栗林みな実
シングル「Just the truth」【初回限定盤】(CD+Blu-ray)
シングル「Just the truth」【通常盤】(CD)

OKMusic編集部

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