【ChouCho インタビュー】
無限の可能性が広がる
子供の未来を希望の光が包み込む
今はコロナ禍だからこそ、
よけいに希望を渇望している
他にもギターやピアノ等、生音の聴き心地がやさしい「なないろのたね」に対し、カップリングの「ニュームーン」はウルトラマン感というか、宇宙感がありません?
意識して宇宙っぽくしたわけではないんですけど、生楽器で演奏されている表題曲との対比をつけたくて、打ち込み感を全面に出していく曲にしたかったんです。「なないろのたね」が太陽の光みたいなイメージだから、カップリングは夜と月をモチーフにしていて。ただ、希望は持たせたかったので、夜の向こうにも希望があるという歌にしました。希望はもともと『ウルトラマン』からいただいたテーマですけど、コロナ禍だからこそより渇望しているところが、やっぱりあるんですよね。なので、どちらの曲も今の状況じゃなかったら生まれなかった歌詞だと思います。
“ニュームーン”、つまり“新月”の時って空は真っ暗だけど、そこにも確実に月は存在していますからね。
そうなんですよ。“真っ暗に見えてもちゃんと光があるんだよ”っていう。サウンドやメロディーの動きに併せた言葉選びで、歌詞もちょっと含みを持たせた感じになっているから、そこも表題曲とは対照的ですね。今の社会って心が疲れてる人がいっぱいいるじゃないですか。私自身もコロナ禍でライヴができなかったりしたし、誰もがストレスを抱えて生きていると思うので、こちらはそんな疲れた大人たちに向けたやさしいメッセージという感じですね。
なるほど。歌詞を借りるなら《今日も一日 生き抜いた》と、“あなたへの子守歌”というようなイメージですよね。
もうね、生きてるだけで偉い! 普通というものがなくなってしまったコロナ禍で、普通ってすごく大事なことなんだと痛感したんです。なので、朝起きて夜寝るだけでも“おめでとう”だなと。当たり前の一日を過ごすだけで素晴らしいんだから頑張らなくてもいいよ…っていう曲ですね。
ライヴができなくなってしまったことは、やはりChouChoさんにとって大きなダメージでしたか?
そうですね。定期的にアコースティックライヴをやっていて、それが私のライフワークになっていたんです。ライヴがあるから制作も頑張れる部分もあったので、ファンの方々に“会えない”っていうのは、すごくストレスになっていました。だから、6月に1年4カ月ぶりでライヴをした時(6月20日@吉祥寺 Star Pine’s Cafe:『ChouCho Acoustic Live“naked garden”vol.11 〜Birthday Special〜』)、“あぁ、これだ!”って細胞が生き返った感じがしたんです。“これを私は待ち望んでたんだ! やっぱり、私は歌手なんだな”って思い出しましたね。
1年4カ月の間、配信ライヴもやらなかったんですから、ひときわ喜びは大きかったでしょうね。
アコースティックライヴ自体が“目の前にいるお客さんに生の音を届ける”っていうコンセプトだったので、やっぱり配信ではやれなかったんです。なので、すごく緊張もしてたんですけど、すごく感動しましたし、1曲目を歌い始めた瞬間、お客さんが息を飲んで噛み締めるように聴いてくれてるのが伝わってきたんですよ! この1年4カ月、ファンの方々も待っていてくれてたんだなって実感できて嬉しかったです。ただ、そこでは今回の新曲は披露しなかったんですよ。まだ『ウルトラマントリガー』の放送が始まっていないし、初披露はアコースティックではないほうがいいかなと思ったので。
では、初披露は7月27日に行なわれる10周年記念の配信ライヴで?
その予定です。フルバンドでのライヴは前回のアルバムツアー(『ChouCho Live Tour 2018 ~color of time~』)以来3年振りなんです。でも、先日リハをやったら3年経ったとは思えないくらい、バンドメンバーとも息がぴったりで、もう歌うのが楽しすぎて! アコースティックは歌も表現も自由にできるのが魅力ですけど、バンドはバンドで違う楽しさがあるんです。メンバーのグルーブに乗って歌うのが本当に心地良くて、心躍りました。しかも、今回は初めてAyasaさんが参加してくださるっていうのも楽しみで。私の楽曲ってバイオリンが入っている曲がすごく多いので、Ayasaさんにも大活躍していただく予定になってます。
ChouChoさんの歌声はとてもなめらかで心を撫でてくれるようなやさしさがあるから、バイオリンが似合うんでしょうね。そして、12月には10周年記念のベストアルバムも発売されるとか。
はい。代表曲に新曲も加えて、この10年が堪能できる作品になる予定です。10年間歌ってこれたのも応援してくださった方々のおかげなので、7月のライヴから始まる10周年イヤーでは、その感謝の気持ちを伝えていきたいんですよ。この一年会えなかった分まで会いに行きたいので、ワンマンライヴは絶対やりたいと考えてますし、待っていてくれると嬉しいです。
あと、10周年ということでひとつ気になることがあって。私がChouChoさんに初めて取材させていただいたのが8年前なんですけれど、だんだん若返ってません?
えー、まったくそう思わないです! むしろ、10年前の写真を見ると“あ〜、若いな”ってつらくなるし(笑)。
えっ、本当ですか? 活力というかエネルギーが強くなったように感じるんですよね。
言われてみると、10年前は与えられたものを表現することに全力を注いでいたのが、今は自分でクリエイトしてるので、そういう活力にはあふれていますね。自分から能動的に動いて発信しているので、そう見えるのかもしれないです。
じゃあ、10周年の先もやりたいことがたくさんあるのでは?
そうですね。とにかく曲作りは楽しいので、これからもどんどん作っていきたいですし、少しずつ楽曲提供もさせていただけるようになったので、それも増やしていけたら嬉しいです。でも、やっぱり一番はライヴ! ずっとできていないので、10周年が終わったあともコンスタントにライヴはしていきたいですね。
取材:清水素子