【高野麻里佳 インタビュー】
私の大切にする
“人間らしさ”があるから
聴いていて温かい気持ちになれる
十人十色な膨らませ方をできる歌を
これからも届けていきたい
続いてカップリングの「さよなら星空」について。こちらも制作過程を教えてください。
『精霊幻想記』のOPテーマ曲の候補作品から選びました。新たにデモ音源を作っていただくこともできたんですが、やっぱりアニメの雰囲気に寄せていきたいなと。実は「さよなら星空」がOPテーマ曲になる可能性もあったんですよ。ただ、初めて聴いた瞬間、“むしろエンディングで流れてほしいな”と感じて。私のヴォーカルから始まるんですけど、冒頭の歌詞から楽曲タイトルを回収するところがお気に入りです。
この楽曲はどんな人を想いながら歌ったんですか?
“いなくなったら嫌だな”と思う大切な人です。そんな人に“さよなら”って言わなきゃいけないシーンを思い浮かべました。切なくも最後は笑顔になろうと願う楽曲なので、希望や明るさを見出せるニュアンスを意識しましたね。
少し話が前後しますが、「New Story」のMVはどんな仕上がりでしょう?
今回のアーティスト写真と同じシチュエーションで撮影したので、鮮やかな色合いで仕上がっていると思います! 後ろに広がる青空に虹色のカーテンがなびいていたり。衣装の面でも、無機質な色合いのシーンに花の彩りがそっと添えられる『精霊幻想記』らしさを意識したんです。作品自体は異世界転生ファンタジーですが、主人公は以前の世界でも転生先でも、どこか心にしこりを持っていて。そうした感情を解消すべく、周囲の人々とつながって前を向いていく…そんな姿を衣装の花で表現しました。
衣装につける花を選ぶ上で、何か基準はあったんですか?
自分の近くにある野草や、孤独でもきれいに咲いているような花を選びました。自分が本当に大切にしたい色合いを考えた時に、それは誰もが好きな薔薇や百合にはないと感じたんですよ。周囲にある人や花々を拒絶せず、受け入れることで自分の心も潤してもらう。そこでのつながりが宝物となって自分を成長させてくれる。花々の繊細な彩りが、自分の地道な歩みには必要なんだと考えた結果ですね。
高野さんの周囲にたくさんの人が集まることで、今回の衣装もより理想形に近くなっていくのかもしれませんね。
確かに! まだシングル2作目ですが少しずつ歩みを進めて、この衣装がもっと似合うようになりたいです。
もうかなりお似合いですけどね(笑)。
ありがとうございます(笑)。
少し気が早いかもしれませんが、今後はアーティストとしてどんな楽曲に挑戦したいですか?
声優アーティストだからこそポエトリーリーディングを含んだ楽曲を歌ってみたいです。サウンドで言えば、私の歌声は高音が特徴的だと感じているので、静かな音にポツンポツンと声を落としたらどうなるのか気になっています。
確かにアンビエント系や、それこそチルテイストなエレクトロポップ路線の楽曲も聴いてみたいです! 最後にそうした目標を見据えながら、音楽活動をする上で大切にしていることを教えてください。
声優として言葉を伝えると同時に、その言葉の裏側にある本当の意味をファンのみなさんにしっかりと歌い届けることです。けれども、この想いは私の後書きのようなもので。みなさんの心の中で本来のかたちとは違った希望やメッセージを見出していただけたならば、私はむしろその解釈を大切にしてほしいですね。十人十色な膨らませ方をできる歌をこれからも届けていきたいです。
取材:一条皓太
「New story」MV
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