LUNA SEA、1年越しの結成30周年ライ
ブでツアー再開を発表「俺たち全員で
ライブ会場は安全だってことを証明し
ましょう」

LUNA SEA 30th Anniversary CROSS THE UNIVERSE-THE DAWN-

2021.5.28,29,30 東京ガーデンシアター
5月28日から3日間にわたってLUNA SEAが東京ガーデンシアターにおいて、有観客で行なった『LUNA SEA 30th Anniversary CROSS THE UNIVERSE-THE DAWN-』が5月30日、無事にファイナルを迎えた。
そもそもこのライブは、新型コロナウイルス感染拡大の影響により1年以上延期となったツアー『LUNA SEA 30th Anniversary CROSS THE UNIVERSE』の最終公演として行なうはずだったライブの振替公演である。今回開催するにあたって、彼らは新たに“-THE DAWN-”というサブタイトルを加え、この3Days公演を1年越しのツアーの幕開けとして位置づけ、6月12日の福岡公演から延期していたバンド結成30周年を記念した全国ホールツアーを再開する。この3日間のライブのなかから、ここでは5月30日、最終日にイープラスstreaming+、ZAIKOを通して全世界に生配信され、全国の映画館でライブビューイングも同時開催された公演の模様を、筆者が1日目に会場でリアル観戦したときの状況も交えながらレポートしていく。
開演前、配信の“ライブ会場”へアクセスすると、すでにコメント欄は今日演奏する(して欲しい)曲の予想大会で盛り上がっている。5月28日の初日公演、32回目のバンド結成記念日を拍手でお祝いした5月29日の公演、ともに第1部は最新アルバム『CROSS』収録曲、第2部は30周年のアニバーサリー感満載の歴代のヒット曲と、新旧はっきりと区分けしたコンセプトで2日間ともセットリストを変えてパフォーマンスしてきた。今日はどんなセットリストでくるのだろうか。期待が高まる。
LUNA SEA/RYUICHI
開演時間を少し過ぎ、映像が会場へと切り替わる。画面のなかで、会場で観たとき、今回のオープニングを象徴する演出として印象的だった稲妻ライトが画面を通して点滅。第1部は3日間通してアルバム『CROSS』の顔である「LUCA」で幕開け。真矢のドラミングに導かれ、冒頭から彼らはこの曲でみんなの不安な気持ちを拭っていく。後半、サングラスを外したRYUICHIのボーカルとINORANがコーラスを掛け合うパートで、配信カメラはINORANが使っているヴィンテージのようなフォルムのボーカルマイクをカッコよく映し出す。SUGIZOのフレーズがロックンロールを呼び込む「Closer」では、骨太なベースリフを鳴らすJが、弦を叩きつけるように手首を大きく振り下ろした瞬間が画面いっぱいに広がっていく。配信だからこそのメンバーのパーツアップ。それだけでもLUNA SEAの破壊力は半端ないことが分かる。曲終わりに「東京、会いたかったぜ」と挨拶を入れたRYUICHIはさっそく、22年前のこの日、お台場に10万人を集めて行なったあの伝説の野外コンサート『LUNA SEA 10 th Anniversary GIG[ NEVER SOLD OUT] CAPACITY∞』の話題に触れる。
LUNA SEA/SUGIZO
「来た人?」と場内に問いかけると、ほとんどの人が挙手。「すっごい出席率!」と笑顔を浮かべ「あのときのヘリ(SEとともに上空にヘリコプター5機がV字になって飛んできて、着陸したヘリからメンバーが登場という演出だった)結構揺れたよ」と当時のことを懐かしそうに振り返った。
フロントまで出てきたJがベースを鳴らし「Pulse」が始まる。画面にアップになったJは、ジャケットもベースのボディも会場で見た印象以上にキラキラ煌めいていた。その光に後押しされるように、ハンドマイクに切り替えたRYUICHIが歌で闇を切り裂いていき、次の「PHILIA」へとつなぐ。プログレッシブな展開がLUNA SEAらしいこの曲は、オンラインという環境がより没入感を誘う。後半にいくに従って、ライブならではのうねりが生まれ、どんどん曲に引き込まれる。同時に、画面にはSUGIZOがサビでワウペダルを踏み込む瞬間や、RYUICHIが熱いシャウトを入れる姿、ドラムの横にセッティングされたピアノの前にいつの間にか移動していたJが、背中にベースを背負ったままピアノを弾く手元のアップなど、この曲の見せ場となるシーンが次々と映し出されていった。
演奏が終わり、大きな拍手を送るオーディエンスに向かって、RYUICHIは本来ならこの3Daysライブはツアーファイナルとなる予定だったが、改めて「この会場からツアーを始めたいと思います」と宣言。そうして曲は「宇宙の詩~Higher and Higher~」へ。光のなかを突き進む壮大なこのナンバーでは、天空から光を注ぐ巨大なミラーボールをJが指差す。アウトロを真矢のドラムが長めにつないだあと、サイレントな瞬間が生まれる。静まりかえった空間にINORANのギターの音色が響き「静寂」へと展開すると、RYUICHIのボーカルとJの囁きが耳元でダブルで重なる。
LUNA SEA/INORAN
息をするのも忘れるほど各々のプレイに引き込まれ、レーザーを使った空間演出も相まって、目では画面を追っていても、聴いていると宇宙に一人だけ取り残され、浮いているような気分になる。この圧倒的なサウンドのスケール感はLUNA SEAならでは。そして「イープラスstreaming+、ZAIKOの配信,映画館で観てるみんなも心の声で会場に届けてくれ。盛り上がっていくぞ!」とRYUICHIがカメラの向こうにいるオーディエンスを煽ったあとは、開放感たっぷりの「Hold You Down」が聴こえてきた。会場の観客、配信組は絵文字でハンドクラップを鳴らし一丸となって盛り上がりを作り、第1部ラストはSUGIZOが弾くメインテーマがこの世界に新しい希望となる光を注ぎ続ける「THE BEYOND」をアクト。希望で胸がいっぱいに満たされ、感動が広がったところで第1部はフィニッシュ。最後にステージに残ったSUGIZOは、RYUICHIがライブ中に脱いで忘れていったダルメシアン柄のジャケットを羽織って舞台を去っていった。
LUNA SEA/J
この後は、場内換気のために20分間の休憩タイムへ。配信のコメント欄は会場にいながら配信チケットを買っている方々が続々と加わってきて、配信組と現地組がそれぞれ「こっちはこうだよ」というトークで、大いに盛り上がっている。このように、ファンのなかでも新しいライブの楽しみ方がどんどん生まれてきている。
インターバルが終わり、ライブは最新のLUNA SEAから歴代のヒット曲満載の第2部がスタート。1日目の1曲目「Be Awake」はアルバム『LUNACY』(2000年7月発売)の1曲目、2日目の1曲目「WITH LOVE」はアルバム『STYLE』(1996年4月発売)の1曲目。となると、3日目はアルバム『SHINE』(1998年7月発売)の1曲目「Time Has Come」がくるんじゃないかと予想した人が多かったコメント欄。きたのは、アルバム『EDEN』(1993年4月発売)の1曲目「JESUS」だった。読みは外れたものの、これはこれで会場に負けないぐらい、コメント欄も大興奮! ラスサビの《あなたに》、《すべてを》のパートをファンに代わって真矢がカメラ目線で口ずさむという貴重な瞬間を目撃した配信組は、アウトロでJが《Jesus,don’ t you love me?》を歌いだすと、文字で一緒に歌いまくってライブを盛り上げる。
LUNA SEA/真矢
こうして画面越しでもしっかりと熱気を共有しあったところに、彼らはさらに「DESIRE」を投入。SUGIZOがセンターにやってきてギターソロを弾きだすと、エアーでその仕草を真似していたRYUICHIが途中、マイクレスでギターフレーズをほんの少し歌った瞬間もカメラは見逃さずキャッチ。さらに、ここでは長年ファンが歌ってきた《Shadows of my luv》をRYUICHIがみんなの心の声を代弁するように、囁くような声で歌ってみせた。
TRUE BLUE」はユニゾンリフからSUGIZO 、INORANが違う音色のギターで掛け合いを始めるパートが始まると「もっとギター、音上げて!」とコメント欄のテンションも急上昇。そんな視聴者に向かって“俺を見ろ!”といわんばかりにJがカメラに近づき、うなずきながらニヤリとすると、配信組はすぐに「J」を連打。配信だからこそできる形で思う存分楽しみ、みんなで一体感ある盛り上がりを作っていった。
そうして突入した「IN MY DREAM」は、いつもにも増してやさしい雰囲気に包まれていて、間奏でRYUICHIがドラム台にあがっていって真矢と目線を交わし、くしゃくしゃな笑顔で微笑みあった瞬間は、見ているこっちまで心が温かくなった。会場で観ていて感じたことだが、このライブからメンバーが真矢とからむシーンは、さいたま以上に増えた気がする。
このあと、SUGIZOのスピーカーがぶっ飛ぶというアクシデントが起こり、RYUICHIが急遽MCでつなぐことに。コロナ禍で様々なことが止まってしまったが「やっぱり音楽がないと息苦しいよね」とオーディエンスに語りかけた。「昨日SUGIちゃんがいってたけど、音楽は止めちゃいけない。スピーカーは飛んじゃったけど(笑)」とその場を和ませながら「もっと(場内を)明るくした方がいいんじゃない?」とアクシデントに対応して作業をするスタッフへの配慮も忘れないところはお見事。そうして「音楽は無力じゃない」と前置きした上で、音楽の素晴らしさ、必要性を「何かを伝えられるし、人の想いを変えたり、一致団結するには音楽がマストだし。音楽で一つになれたらどんな苦労も乗り越えられるよね」と語った。
「みんなゴメンなさい。お待たせしました」とSUGIZOが合図を送り、ライブは5分ほどで再開。「俺ら5人からしっかりと想いを届けたいと思います」というRYUICHI の言葉に続いて、大切なバラード「I for You」をみんなの心に丁寧な歌と演奏でしっかりと届けて、心を癒していったあとはクライマックスに向かってのぼりつめていく。そのキラーアイテムとして、もっとも威力を発揮するのは彼らの名前がお茶の間に知られるきっかけとなった超代表曲「ROSIER」。お互い死ぬほど慣れ親しんだ曲だが、いまもこの一撃が生み出す高揚感、その破壊力は衰えを知らない。それどころか、数年前からRYUICHIが間奏からノンブレスのままAメロを畳み掛け、SUGIZOと鬼気迫るアクトを見せるシーンが起こす緊迫感は、脅威を増すばかり。ここでマックスに高まった緊迫感を、次の「TONIGHT」の冒頭、INORANが1コードのギターリフ、たった一発で解放していくところはどこで観てもやっぱり世界最強。そのあと、キラキラ輝く“君”だけのメロディをリスナー一人ひとりに降らせていき、オーディエンスを多幸感で包み込んでライブ本編は終了。
アンコールは、オーディエンスがライトの上にブルーフィルムを貼ったスマートフォンを照らし、会場全体が青く発光するなか、メンバーが再び舞台へ登場。RYUICHIとSUGIZOが生声で感謝の気持ちを伝えたあと、日々自分たちの生活を支えてくれている世界中の医療従事者、フロントワーカー、エッセンシャルワーカーの方々に想いを込め「Make a vow」をパフォーマンス。配信組のなかで、現地のライブにはいけないけれども、配信ライブだからこそ「この曲をライブで聴けて嬉しい」と医療従事者の方々が書き込むと、その他の人たちが「いつもありがとうございます」と感謝の気持ちを伝えていく。配信だからこそ味わえた、心温まる素敵な場面だった。
このあと用意されていたメンバー紹介のコーナーでは、Jがツアーに向けて「俺たち全員でライブ会場は安全だってことを証明しましょう」と伝え、SUGIZOはJの言葉に「アート、文化は止まらない」と付け加えた上でバンド結成について触れ「33年目が始まったね。命尽きるまでともに歩いていきましょう。全国のみなさん、覚悟して待っててください」と伝えた。
そこからライブの終わりを伝える「WISH」、RYUICHIが「これからもついてきて下さい」という言葉を添えてアルバム『CROSS』を締めくくる「so tender...」を最後にみんなの心にしっかりと刻みこんでライブは終了した。
ステージ中央に集まった5人は、みんなとエアーで一つになったあと、RYUICHIは「東京、愛してるよ。バイバイ」と手を振り、Jは「3日間どうもありがとう。次はツアーで会おう」と叫び、SUGIZOは感謝の気持ちを生声で「ありがとう」と伝えたあと、深々と頭を下げ、ステージを後にした。
この日のライブの模様は6月2日、23:59までアーカイブ視聴が可能なので、見逃した人はいますぐチケットを購入してチェックして欲しい。
そして、LUNA SEAは6月12日から、結成30周年記念全国ツアー『LUNA SEA 30th Anniversary Tour 2020-CROSS THE UNIVERSE-』を再スタートさせる。決められたルールのなかで音楽ライブの未来を、LUNA SEAがこれから切り開いていく。音楽は止めてはいけない、音楽はけして無力ではないのだ。それを、LUNA SEAがみんなと想いを一つにして証明していく――。

取材・文=東條祥恵 撮影=田辺佳子、横山マサト、岡田裕介

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