ピーターパン・吉柳咲良×フック船長
・小西遼生が語る、2021年の『ピータ
ーパン』の行方は!?

2021年7、8月に上演される、ミュージカル『ピーターパン』。昨年はコロナ禍の影響で公演中止せざるを得なかった本作が、今年改めて上演を迎える。主人公・ピーターパン役は4度目の出演となる吉柳咲良、そしてフック船長役は小西遼生が務めることとなった。今回演出を担うのは森新太郎。今までのピーターパンとは大きく異なる新しいピーターパンを描くということだが、その内容とはいったい……?

都内でビジュアル撮影が行われている某日、二人に話をうかがってみた。
ーーまずは4度目のピーターパン役を務める吉柳さん、今の心境はいかがですか?
吉柳:昨年は公演が中止となってしまったのですが、今年新しくなった『ピーターパン』を演じられることになって嬉しいです。今回演出も台詞も音楽も衣裳も、何もかもが変わるので初心にかえる気持ちで臨みたいと思います。
ピーターパン・吉柳咲良
ーーそして今回初めてフック船長に挑む小西さん、お気持ちはいかがでしょうか?
小西:昔から知っている作品ですし、これまでには玉野和紀さんが演出されたピーターパンの舞台を拝見しました。以前から「子どもがのめりこむくらい喜んでいる仕事」というのが僕の中でやりたかった仕事であり、今回その想いに繋がり、かつ、誰もが知っている作品に携われるということはすごく嬉しかったです。知っている先輩たちもフック船長役を務めてきたこともあるので、もし自分がやるならどんな船長になるのかなって考えていました。
ーーさきほど吉柳さんから「何もかもが変わる新しいピーターパン」という話が出ましたが、そんな新しい作品の登場人物をどう演じたいと思っていますか?
吉柳:子どもっぽくて、明るくて元気で、という点は変わらないですが、私は中学1年生から3年間ピーターパンを演じてきて、今では「ピーターは寂しい子なんだろうな」とか、「実は考え方が一番大人なんじゃないかな」とか、「ずっとネバーランドにいて“大人になる”ってどういうことか分からないはずなのに、どうして大人になるのを嫌うんだろう」、とかいろいろピーターに対する思いがあります。
ピーターの軸は「いちばん大人であり、一番子どもでもある」ことなのかな、とも思うようになってきていて、その対称になるのがフック船長なのかも、とも思っています。
「明るく元気」のほかにあるピーターのいろいろな面にも今年挑戦してみたいです。
(左から)フック船長・小西遼生、ピーターパン・吉柳咲良
小西:(吉柳の話を聞きながら)……立派だなあ(しみじみ)。僕は今回初参加なので、素直に身を任せていこうと思っています。今日のビジュアル撮影も、どう存在したら面白くてユーモアがあるフック船長としてお客さんから見てもらえるかなって考えながらポーズを取っていました。J・M・バリさんの原作は随分前に読んでいるんですが、原作はとてもシニカルで子どもが見るというよりは、大人がいろいろ考えさせられる作品だったんです。演出の森さんと少し話をした時に、その原作のイメージを強く持たれているようで、残酷な部分もあり、優雅な部分もあり、本気でやっているのに面白いフック船長にしたいと今思っています。
ーー森さんの演出に対してお二人はどうぶつかっていこうと考えていますか?
吉柳:森さんが演出している、別作品の稽古場に行った時に、「森さんの演出……頑張ってね」と激励頂いたので今は必死でくらいついていこうと思っています。
小西:僕も森さんの演出は初めてなんです。聞くところによると「すごく演劇畑の人」。『ピーターパン』はブロードウェイのオリジナル版では、ネバーランドの場面などはすごく演劇的な面白さを含んでいるイメージがあるので、きっと演劇的な遊び方で大人も子どもも楽しんでもらえるものを作ろうとしているんじゃないかなって期待しています。楽しみですね。
フック船長・小西遼生
ーー小西さんはフック船長の衣裳に合わせて身体を鍛えた方がいいか聞いたら森さんから「しなくていい」と返された……という噂を耳にしたんですが……。
小西:説明します(笑)。用意されていた衣裳が豪華絢爛で、フック船長はがっしりとしたイメージなのかなと最初思ったんです。だからこの衣裳に合わせて僕も身体を作る必要があるのかな? と思ったんです。ところが気が付けば衣裳を脱いだり、丈が短くなったり、帽子はヘタっとさせられ、なんだかみずぼらしい状態に追い込まれて……(笑)。最後に「森さん、この役は身体作ったほうがいいんでしょうか?」と聞いたら「まったく作らなくていいよ!」って。そういうやりとりがあったんです(笑)。
ーー今見ている限りでは、いつもの小西さんの演じられる感じではなくコミカルな仕上がりですね(笑)。
小西:(笑)。でもまあ森さんとは「余りカッコいいフック船長にはしたくない」という話をしていて、僕自身もあまりかっこいいフックではなく、ピーターパンが頭の中で作るおもちゃのひとつになればな、と考えています。
(左から)フック船長・小西遼生、ピーターパン・吉柳咲良
ーーコロナ禍の影響で演出の変更が余儀なくされるのではと危惧していますが、その点はどうお考えですか?
吉柳:森さんから「アナログな表現を使いたい」と伺っています。今はいろいろなことが進歩しているので、やろうと思えば何でもリアルに表現できてしまいますが、そこを観てくださっているお客様の想像力にお任せして演じる側と観る側とで一緒に舞台を作っていくことになるんじゃないかなって思っているんです。そうすることで一体感も生まれますしね。詳しいことはまだこれからかと思いますが、私自身ももっと皆さんに楽しんでもらうために何ができるか、一生懸命考えていきたいです。
ーー今、役衣裳に身を包んでのインタビューをしていますが、今日会ってみて気づいたお互いの印象は?
小西:もうね、立派(笑)! 考え方もとてもしっかりしていて頼もしいですよ。しかも今はボーイッシュですが、普段は凄く女の子らしいイメージの感じです。役柄によってコロコロと雰囲気を変えていくことができるんだろうなって思いました。役者としても魅力溢れるキラキラとした印象を抱いています。
吉柳:小西さんのフック船長姿を目にした瞬間、「わっ本物だ」と少し怖気づいてしまいました(笑)。私はすごく人見知りで緊張しやすいところがあるんですが、たくさん優しく話しかけてくださって有難い気持ちでいっぱいです。
小西:先ほど初対面でしたが、既に吉柳さんはピーターの姿になっていましたし、こっちはマスクをしているので目元しか見えてないから、はやく素顔で会いたいよね(笑)。
吉柳:(笑)。
(左から)ピーターパン・吉柳咲良、フック船長・小西遼生
取材・文=こむらさき

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