古川慎、まるで映画のような初の配信
ライブ『MAKOTO FURUKAWA Streaming
Kinema “from fairytale”』オフィ
シャルレポート

古川 慎が、初の配信ライブ『MAKOTO FURUKAWA Streaming Kinema “from fairytale”』を4月18日に開催した。イープラス「Streaming+」でも配信された本公演のオフィシャルレポートをお届けする。なお、アーカイブ配信は2021年4月25日(日)23:59まで実施中。
【オフィシャルレポート】
2020年12月23日にリリースされた古川慎の1st ALBUM『from fairytale』。異国感溢れるサウンドがモダンでスタイリッシュに、それでいてエモーショナルな一枚だ。そんなアルバムに込められたのは、彼が歌で紡ぐ“おとぎばなし”。そのアルバムの世界を存分に表現する古川慎の配信ライブ『MAKOTO FURUKAWA Streaming Kinema “from fairytale”』が開催された。
撮影:後藤倫人(D-CORD)
ライブのスタートを待つ映像はまるでレビューショウを見せてくれそうな、ノスタルジックさもある深紅の緞帳が掛けられたイラスト。ジャジーにアレンジされた古川の楽曲がインストとなって流される中、ライブがスタート。
会場は大正ロマンのオペラハウスのような佇まいの東京キネマ倶楽部。チケットカウンターに到着したところで、古川の出迎えを受ければ、そこからフロアへ。緞帳が開いて、バンドメンバーと古川がステージに立つ。さぁ、ライブのはじまりだ。

撮影:後藤倫人(D-CORD)
幕開けは「切嵌とfairytale」。躍るピアノの音と躍動するビートとで彩られたアッパーでドラマティックなジャズロックナンバーを色香たっぷりに聴かせる古川。ホーンの音も華やかで、アルバムの世界観を象徴する一曲でライブはスタート。
コンセプチュアルなアルバムの雰囲気のままライブは「miserable masuquarade –Re:andante-」へ。デビュー曲をアルバムの世界観で染め、色彩感豊かで艶のある古川の音楽を凝縮したようなバージョンで聴かせる一曲は、ピアノとホーンの音、そして楽曲の体温を刻むような印象的なベースラインとで紡がれる。そんな楽曲を古川は情感たっぷりに聴かせた。
画面に道化師のマスクや三日月、トランプといったカードが舞っての「道化師と♠(sadness)」ではバンドのメンバーが紹介され、ジャジーな演奏の中で各楽器のソロ演奏も聴かせた。まるでジャズバーで音楽を楽しむような雰囲気あるこの曲は、会場とオーディエンスとを繋いで一つにしていた。

「みなさん、こんばんは! 配信というかたちで1st ライブを見ていただく運びになったことは不思議な感じですけれど、これはこれでありではないかとも思っています。もちろん目の前でノっているみなさんを見たかったという想いもあるんですが、配信だからこそ出来るお遊びもふんだんに取り入れたライブになっています!」
今、この瞬間に観客の声が聞こえていなくても、それでもカメラの向こうの観客に届けていくので、楽しみながらパワーを送って欲しいと話す古川。この夜のライブはステージだけではなく雰囲気のある会場のあちこちで歌いたいのだとか。どんなライブになるのか、楽しみになったところで、「今日一日、楽しみましょう」と笑顔を見せた。
撮影:後藤倫人(D-CORD)

撮影:後藤倫人(D-CORD)
ピアノが爪弾く美しい旋律に聴き入ったところで画面に星が瞬く中で、フォークロワ調の「スピカ」のイントロが響き出す。異国のホテルのロビーのような、旅行鞄が詰まれた場所に置かれたアンティークのソファに座る古川。これからどこか旅へと出るような雰囲気の中で情熱的な歌声を紡いでいく。
ソファから立ち上がり、歩きだした彼がバンドのいるステージを見つめれば、どうやらここが2階席であることがわかる。オペラの劇場のような会場の空気までも伝える演出だった。今度はバンドも移動。階段の上に作られたサブステージから、アコースティックセットでの「地図が無くても戻るから」。カホンとベースのビートにピアノ、そしてアコースティックギターと歌。シンプルだからこそ届く楽曲に宿る強い想い。セピア色の画面には地図も映し出され、楽曲の世界観をノスタルジックに彩りながら届けた。
撮影:後藤倫人(D-CORD)
撮影:後藤倫人(D-CORD)
アコースティックバージョンに込めた想い
歌が終わり語りだす古川。実は「地図が無くても戻るから」のアコースティックバージョンをやりたい、という話はレコーディングのときに話をしていたとか。アコースティックバージョンは、卒業シーズンに聴きたくなる曲だという。卒業は、新しい生活へと歩を進めるタイミングでもある。自分が思い描いていたことを今やれているのか、ずれてはいないか。卒業してからしばらく経った時に昔を思い出しながら聴きたくなるような一曲なのではないかと楽曲への想いを語る。そんな話からバンドを交えての”ライブでテンションのアガる曲はなに?”トークへ。バンドのメンバーからは「miserable masquerade」と「切嵌とfairytale」の名が挙がり、彼らと楽しそうに話す古川の表情も印象的だった。

撮影:後藤倫人(D-CORD)

盛り上がりのラストスパート!リズミカルに跳ねるメロディが印象的な「本日モ誠ニ晴天也」からクライマックスへと進んでいくライブ。楽器の音がそれぞれどれも色香と艶を滲ませながらも躍動するサウンドの中をドラマティックに展開していくボ-カル。赤い照明に彩られ、画面には花吹雪も舞い、モダニズムの潮流あるサウンドがオーディエンスの元へと放たれていく。
アルバム発売時にはライブへの気合も口にしていた「勝鬨」では、アグレシッヴに轟くロックンロールを、身体の底から湧き出すようなパワフルな歌声で聴かせ、観客を圧倒。サビではニッポン魂を宿すこの一曲に、画面の向こうでオーディエンスは拳をあげていたに違いない。
「ラストスパート、激しかったでしょ?」

「ラストスパート、激しかったでしょ?」と息を切らせる古川。
「短い時間でしたけれども、見て下さってありがとうございます。本当はたくさんの人がここにいて、鼓膜に物理的に届くような、みんなの声がするライブだったらいいなと思っていたんですけれど、多分、こういう機会がそんなに遠くないうちにきっとあって。みなさんが客席で楽しんでいる姿はそう遠くないうちに見れるんじゃないかと思っていて。そのときに一緒に音楽を楽しんで、素敵なライブにできたらなという夢があります。タオル振り回すなり、全身でノるなり、ゆっくり聴くなり、それぞれのスタイルでライブを楽しんでもらえたらなと思います」
観客から届くコメントの一つひとつに愛情が籠っている気がしたという古川。一人で画面の向こう側に向かってパフォーマンスをするけれど、反応を見てものすごく嬉しかったという。最初からみんなのパワーが届いていたからこそ、ライブが出来た。次はみんなが会場にいて、自分も準備を整えて「最高の夜だったね」と乾杯して終われるライブにしたい。
「もしよかったらその夢に付き合ってもらえたらいいなと思います」
撮影:後藤倫人(D-CORD)
そして最後は「for fairytale」へ。アルバムの最後を飾っていた一曲がしっとりと歌いあげられる。画面に歌詞が映し出されていたが、そこに綴られるのはおとぎばなしの一節のような言葉。その言葉を聴いてくれる人たちへそっと手渡していくように、語り聴かせるように歌う古川が印象的だった。
「最高の一日になりました。ありがとうございました」
緞帳が降りて、ライブは終了。観客のいないホールでバンドと共に歌い上げる姿はまるで映画の中での出来事のようだったけれど、これがいつかオーディエンスの歓声に包まれていて欲しい、ステージから放たれる熱を直に感じたい、と古川自身の夢を共に見たくなる、そんなライブだった。
△写真左から、Keyboard:柴崎洋輔、Band Master&Bass:小林修己、古川 慎、Drums:裕木レオン、Guitar:清水 “カルロス” 宥人
◆セットリスト
M1.切嵌と fairytale
M2. miserable masquerade -Re:andante-
M3. 道化師と♠(sadness)
M4.スピカ
M5. 地図が無くても戻るから
M6. 本日モ誠ニ晴天也
M7. 勝鬨
M8. for fairytale
『MAKOTO FURUKAWA Streaming Kinema “from fairytale”』は、2021年4月25日(日)23:59までアーカイブ配信中。

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