MindaRynインタビュー デジタルシン
グル3連続リリース!秋には新曲も決
定「今年もいっぱい歌を歌っていきた
い」

タイ出身で、TVアニメ『神達に拾われた男』のエンディングテーマ「BLUE ROSE knows」で念願のアニソンシンガーになったMindaRyn。デジタルシングルとして音源化された、デビュー前から歌っていた「kiss my cheek」「Be the one」「love my friends」の3曲について語ってもらった。

■大好きなFLiPSACHIKOさんが提供してくれた「kiss my cheek」
――まずは前回のインタビューでも語っていただいたTVアニメ『神達に拾われた男』について。自分の歌がエンディングテーマになった作品が最終回を迎えました。
初めてエンディングを観て、自分の歌がテレビで流れたときは、とってもうれしくて震えて泣き叫んだほどでした。アニメと私の歌が一緒になったときの気持ちは忘れられません。だから、今はとても寂しいですね。
――ほかの作品の最終回とは違った特別な気持ちがある。
「BLUE ROSE knows」は私のデビュー曲で、この歌がアニメとつないでくれて、私をアニソンシンガーにしてくれました。「BLUE ROSE knows」と『神たちに拾われた男』は私の夢を叶えてくれた、アニソンの世界への扉を開く鍵のような特別な作品だと思っております。
――なるほど。そんな思いのこもった「BLUE ROSE knows」に続いて、昨年末からデジタルシングルが連続リリースされました。第1弾は12月15日に配信が始まった「kiss my cheek」。
この曲は私の大好きなアニメ『銀魂』の主題歌で「ワンダーランド」っていう曲を歌っているFLiPのSACHIKOさんが曲を書いてくれました。FLiPの曲は聞いたことがあったので、とてもカッコいい曲が多くて、自分もそんな曲を歌いこなせるようになりたかったので、自分に楽曲を提供してくれて、とても嬉しかったです。
――こちらは大人っぽい雰囲気のジャジーな楽曲ですが、どんな印象を持ちましたか?
この曲は、大好きだけど一緒にいることができないというストーリーの曲なので、切ないラブソングだと思います。メロディはけっこうかわいいんだけど歌詞を読んだりするとハッピーな曲ではなくて。初めて聴いたときは、そこを興味深く感じました。
――やっぱり「BLUE ROSE knows」の印象が強かったので、曲のギャップにすごく驚きました。レコーディングのときはどのように歌おうと意識されていましたか?
「一緒にはいられないけど、あなたのことが大好きなんだよ」っていうキュートで切ない想いを自分の歌声で表現できるように歌いました。曲調に合わせて、セクシーな歌い方を混ぜて歌っています。でも、自分はこの歌詞で描かれているような経験が少ないから、感情を込めるのは難しかったです。
――そこは想像力でカバーを?
はい。レコーディングをするまで毎日この曲のストーリーを想像して、どんな気持ちを歌ったらいいかをがんばって考えました。あと、この曲の主人公と同じように、切ない気持ちになっている人がいるかもしれないので、その人に寄り添えるように。「この曲はあなたのそばにいるからね」という気持ちも込めて歌いました。
■クリムトの「接吻」をもとにしたアーティスティックなMV
――MVでは映画のようなお話が展開していますよね。こういうMVが付くことは、レコーディングの前からわかっていたのでしょうか?
曲は去年の頭に完成していて、リリースが決まってからMVを作ってもらいました。アニメーションの映像もアーティスティックで、最初はとても理解するのが難しいと思ったのですが、何度も見るとストーリーも少しずつ理解できるようになりました。アニメーションのディテールがすごく繊細で、私の曲にこんな素敵なアニメーションをつけてくれて嬉しかったです。
――MindaRynさんをイメージしたような場面もありますよね。
はい。私をモデルにしたキャラクターも歌姫として登場しています。ほかには、有名なアートをモチーフにしたキャラクターがいっぱい出てきます。
――有名なアートですか?
作家さんは、楽曲のタイトルからクリムトという画家の有名なアートの「kiss(接吻)」をイメージしたらしく、そのアートからインスパイアされて逃げる歌姫と追いかけるギャングというストーリーで作られたそうです。このことを知ったときは、とてもサプライズでした。
――なるほど、そういうモチーフがあったんですね。続いて配信された「Be the one」もFLiPのSACHIKOさんが作詞作曲をされている重めのロックナンバーです。まさに「こういう曲が歌いたかった」という感じだったのでしょうか?
リリースの順番は逆なのですが、この曲はSACHIKOさんに作ってもらった最初の曲です。こんなにかっこいい曲を書いてもらって、とても嬉しかったです。デビュー曲の「BLUE ROSE knows」や「START」のような明るいサウンドとは雰囲気が正反対で。けっこうハードなロックサウンドの曲です。
――日本語詞の部分も音がとても詰まっていたり、歌うのは大変だったんじゃないですか?
デモを初めて聴いたときは、テンポが本当に速くて、ピッチも高くて、挑戦の1曲でした。レコーディングに向けてたくさん練習しました。日本語の発音でも、私は「つ」「す」「ず」が苦手なので、「好きの気持ちを見つけて」のところも発音が違っていて。ボーカルディレクションもしてくれたSACHIKOさんから発音とか歌い方も教えてもらいました。
――明るい曲だけでなく、大人っぽかったり重めのサウンドにもMindaRynさんの歌声が合うんだなと思いました。
ありがとうございます(笑)。
■歌声と笑顔を贈り合って、互いに生きるパワーをチャージしていけるのが音楽
――そして、4月14日に第3弾「love my friends」が配信されます。こちらは、「BLUE ROSE knows」も作られたSpecialThanksMisakiさんの作詞・作曲で、とてもポップな楽曲です。最初に聴いたとき、MindaRynさんが自分で作詞したのかと思ったのですが、曲作りのときに話し合いなどがあったのでしょうか?
2019年の8月に日本で初めてライブをやったときにMisakiさんが観に来てくれて、その日の打ち上げで一緒に歌ったり泣いたりいろんな話をしました(笑)。そんなことがあったので、特別にこの曲について話をしたわけではないのですが、私の気持ちをとても素直に反映した曲にしてくれたんだと思います。
――こういう歌詞の曲を歌いたいというような話もされたんですか?
その時は話していないのですが、後日デモを聴いたときに、「相手は自分のことをどう思っているんだろう?」「もっと相手のことを知りたい」そんな気持ちが出てきたので、それを歌詞にこめてもらいました。
――実際にできあがった歌詞を読んでどう思いましたか?
初めて見た感想は「とてもかわいい」でした。ラブソングではなくて「友達になりたい」という曲になっているところがかわいくて好きです。
――去年のインタビューで、「アニメはコネクター」だとおっしゃっていました。デジタルシングルの3曲はアニメのタイアップではありませんが、人と人とをつなげるような歌手になりたい、そういう歌を歌いたいという気持ちが強くあるのでしょうか。
たとえば「love my friend」の歌詞には「あなたの笑顔が私の生きるパワーになっているよ」「私の歌声がみんなの生きるパワーになってほしいよ」とあるのですが、歌声と笑顔を贈り合って、互いに生きるパワーをチャージしていけるのが音楽のいいところだと思います。アニメも音楽も同じで、同じものが好きな人は仲良くなれるし、友達になれるので。私の歌声で笑顔になってくれる人がいて、またその人同士でつながってもらえるといいなと思います。
――MVに出てくる女性は、MindaRynさんご自身だと思いますが、あの映像はどのようにできたんですか?
このMVで初めて知ったのですが、ロトスコープというテクニックを使っているそうです。タイで私がこの曲を歌っている動画を撮って、それをもとにしてアニメーションが作られています。作家さんは一人で描いたみたいなのですが、私が動きすぎて大変だったと思います(笑)。
――弓を射るような動きをされていましたよね。これはどういうイメージがあったのでしょう。
弓はとても遠いところに矢を届けられるじゃないですか? だから、メッセージを遠く離れたところまで届けられるといいなと思いました。
――3曲どれも違った魅力のある楽曲ですが、「いちばん自分自身が出てるな」と思うのはどの曲でしょうか?
やっぱり「love my friends」ですね。日本で歌うタイ人の私の気持ちをストレートに表現できていると思います。メロディもポップでキュートだし、自然とクラップしちゃう感じがピッタリだと思います。
■誕生日を迎えて日本で言う“厄年”に「お寺に祈りに行こうかな」
――なるほど。12月に日本を離れて、今はタイにいらっしゃるんですよね。一度日本で暮らしたことでタイの生活について違った印象を持ったことはありましたか?
タイに戻って食べたタイ料理に「ああ、やっぱりこれだ!」と感じました。日本で食べたタイ料理や、自分で作ったタイ料理はおいしいけど、少し違った味に思えて。地元で食べる料理の味は、ここが私が育ってきたホームタウンなんだなと思わせてくれました。タイのライムと日本のライムの味がぜんぜん違うんですよ。
――日本人だと、海外旅行から帰ってきて味噌汁を飲むと安心するような人も多いですが、そういった故郷の料理というものだとなにかありますか?
「ゲーンチュー」という料理があります。豆腐とかも入っていて、味噌汁と近いと思います。
――そんな料理があるんですね。昨年の12月28日にあったオンラインライブ「MindaRyn Happy New Years Party」がありました。日本では「年末」や「大晦日」として盛り上がるので年が変わる前に「Happy New Year」というタイトルから文化や習慣の違いを感じました。
そうなんですね(笑)。タイでは年が変わる前から「Happy New Year」というんです。タイの本当のお正月は4月だからかもしれませんね。クリスマスの時期から「Merry Christmas&Happy New Year」と言っています(笑)。
――ちなみに、タイでも日本のアニメはチェックしていますか?
今は『呪術廻戦』ですね。タイでもとっても人気です。
――曲もカッコいいですよね。
ですね、私もカバーしたいなあ。
――MindaRynさんの誕生日に合わせた2月17日にも「MindaRyn Happy Birthday Party」としてオンラインライブがありました。2021年になり誕生日も迎えたことで、なにか気持ちの変化や、新しくやりたいことはできたりしましたか?
まずは、20代半分くらいになりましたという気持ちです(笑)。日本には「厄年」ってありますよね? 同じようにタイ人は20代半ばで運勢が悪くなる時期があって、その1年は仕事とか身体とかに気をつけなければいけないと言われています。私はそのことをあまり信じていなかったのですが、コロナのことがあって今も日本に行けない状況で、本当のことなのかもしれないと。だから、お寺に祈りに行こうかなって。あとは、これからの人生をしっかり考えていくためにも、やりたいことは今のうちにどんどんチャレンジしたほうがいいなと思っています。
■みんなの前で「BLUE ROSE knows」を歌って「ありがとう」と伝えたい
――「love my friends」を聴いていても思ったのですが、やっぱりライブで直接お客さんとパワーを交換したいという気持ちは強いのかなと。
そうですね。早くライブがしたいです。デビュー前に日本のライブハウスでライブをしていたときも、毎回「love my friends」は最後に歌っていました。会場に来てくれた人たちに、「あなたのことをもっと知りたいです、友達になりましょう!」という気持ちでステージに立っていて。クラップの音が大きければ大きいほど一体感があって、友達になれてる! と感じました。早くステージでみんなと一緒にこの曲を楽しみたいですね。
――「ライブの一体感」という言葉はよく聞きますけど、「友達になれている感覚」と表現するのがすごくわかりやすいですしMindaRynさんらしい感じがします。2021年、コロナなどの問題がすべて解決したとして「こういうことがやってみたい」というものはありますか?
まずは、これまでにリリースされたすべての曲を、みんなと出会ったライブハウスで歌ってパフォーマンスしたいですね。デビュー曲を歌うチャンスがあれば、みんなの目を見て歌いながら「ありがとう」って伝えたいです。それができればとても幸せなことだなと思います。
――「BLUE ROSE knows」はまだ人の前で歌ったことがないんですね。
ないんですよ。オンラインライブばかりです。
――21年秋に放映開始予定のTVアニメ『サクガン』のエンディングテーマにMindaRynさんの新曲「Shine」が決まったと発表されました。こちらはもうレコーディングなど進んでいるのでしょうか?
実は去年の11月に曲は完成していて、日本に滞在している間にレコーディングも進められて、楽器のレコーディングやトラックダウンにも参加できました。
――日本でのレコーディングで、タイとの違いを感じたことはありましたか?
タイと日本のプロデューサーさんはワーキングスタイル、雰囲気がぜんぜん違います。日本では、仕事が繊細というか、レコーディングで私がわからないこと、できないことがあったら理解してできるようになるまでやります。タイ人はけっこうフレキシブルです。
――進め方が柔軟というか、ある程度までできたらそこで切り上げるような感じですかね。
そうです。どっちも好きだけど、日本人のほうがみんな完璧主義者のイメージがあって、曲がハイクオリティーになるイメージがあります。
――クオリティを上げるために、歌に要求されるものも高くなりそうですね。
はい。だけど、レコーディングだけでなくボイストレーニングとかも新しいことを勉強できて楽しいです。ボーカルディレクターもしてもらっているSACHIKOさんもとても優しい人で、歌い方を教えてくれるだけでなく、私をリラックスさせるための雰囲気づくりもしてくれます。
――また日本でレコーディングできるといいですね。最後に、なにか決まっているほかの予定、やりたいことなどはありますか?
まだ発表になっていないことがいくつかありますが、今年もいっぱい歌を歌っていきたいと思っていますし、みんなに聴いてもらえるチャンスはいっぱいあると思います。今はアニソンシンガーになるという自分の夢はかなったけど、スタートしたばかりなので、アニソンシンガーとして歌もパフォーマンスも成長したいと思っています。日本のアニソンアーティストと同じビッグステージに出演するのが目標です。
インタビュー・文=藤村秀二

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