【MUCC インタビュー】
「明星」でみんなの気持ちを
再確認できたし、前に進めた
こんなに人に会えて、
人に恵まれることはない
「明星」でSATOちさんが一番書きたかった言葉って何だったんですか?
最初は結構ストレートになっちゃって、自分のこととはいえ“ファンのみんなを裏切ってるんじゃないかな?”っていう気持ちもあったから、歌詞を見た逹瑯に“ダメ、暗い”みたいに言われたんですよね(苦笑)。
自分を責める感じの歌詞だった?
そう。だから、“もっとポジティブにいろんなことを考えたら?”って言われてたんですけど、すごく悩んでしまって。やっぱり“ごめんなさい”って気持ちが強かったみたいで、“違う違う、謝らなくていいよ”って言われたんですよ。
分かってるけど、ポジティブな言葉が出なかったと。《ごめんとありがとう》というフレーズで正直な気持ちが残っていますね。
はい。だから、脱退発表の日は素面じゃいられなかったですね。あの日、俺、始めてエゴサーチってのをやったんですよ。それまでまったく人の意見なんて興味なかったんですけど、“みんなの気持ちはどうなんだろう?”と思って見てみたら、みんなすごく温かくて。悪く言ってる人がひとりもいなかったんです。
素敵ですね。そうなると、もうラストに向けてファンに恩返ししていくしかないですね。そして、ベストアルバムの『明星』は作詞作曲でSATOちさんが携わった楽曲がセレクトされていますが、多面性を持つMUCCの中でSATOちさんの楽曲が重要な一面を担っていたと再確認しました。ご自身では改めて聴いてみていかがですか?
俺ってメジャーコードが好きなんだなって(笑)。あと、これだけ“SATOち”って名前が並んでると照れくさいですね…。
あははは。でも、ここまで歩んできた歩みであり、証ですから。
そうですね。今回、4人で収録曲のリクエストを出し合ったんですよ。「1979」とか自分の中で“このアルバムに爪痕を残したい”と思って書いた曲をみんなが選んでくれて、しかもほぼ入れたい曲が被っていたのが嬉しかったです。「ぬけがら」「昔⼦供だった⼈達へ」「⼣紅」「塗り潰すなら臙脂」の4曲を再録していて、10年以上前の曲なんで、ちょっと恥ずかしかったけど、ずっと一緒にやってきたキーボーディストの吉田トオルさんにも弾いてもらったから、再録できたのは嬉しかったです。
このベスト盤制作に至る経緯というのは?
「明星」をシングルで出すって話になった時に、カップリング曲を作るっていうのはおかしいんじゃないかって話になり、“だったら、SATOちが携わった曲を集めたベスト盤にしよう!”となったんです。最初は良かったんですけど、できていくうちに“うわっ、ハズっ!”って(笑)。
いやいや、恥ずかしいことじゃないですよ(笑)。選びづらいと思いますが、特に思い入れの強い曲は?
「レクイエム」は自分の恥ずかしくて言えないようなことを始めて歌詞にした曲として印象に残ってますね。他のメンバーはそういう書き方もしてたけど、俺は照れくさくてできなくて。2018年の3カ月の活動休止期間中に、“ちょっと書いてみようかな?”と思って書いた曲が採用されたんです。
収録曲の中でも異質ですし、「レクイエム」を後半に入れることでベスト盤に深みと重みが出ていますよ。
ありがとうございます。あと、ジャケットデザインも昔からお世話になっている、cali≠gariの桜井 青さんにやっていただいたんですよ。俺らが高校生の時から知ってるから、打ち合わせで“デザインは誰に頼む?”って話になった時、すぐに“青さんで”って決まって。やっていただいて光栄です。
SATOちさんの曲って純粋さややさしさ、温かみといった人間味を感じる曲が多い印象があるのですが、MUCCの曲を作ろうと思った時、一番大事にしていたことって何ですか?
…何だろ? 演奏面ではドラムはへただから、一打一打に気持ちを込めて叩くってことを意識してて。テクニカルなことはできないけど、“男は一発一発が勝負だ!”と思って説得力を大事にしていましたね(笑)。テクニックでやろうとすると、Kenさん(L'Arc~en~Cielのギタリストであり、MUCCの作品のプロデュースも担当)に“SATOちはそんなことやらなくていいから、一発を120パーセントでぶつけろ”って言われてたので、そこはいつも気にしてましたね。
その実直さがバンドサウンドになった時、SATOちらしさとして響くと思います。
あとは、逹瑯が歌いやすいようにっていうのはすごく考えます。3人で奏でた音に逹瑯が歌を乗っけるわけで、歌をすごく重要視していました。
曲を作る時も逹瑯さんが歌う、MUCCのメロディーみたいなところを考えました?
“簡単で覚えやすい”っていうのは心がけてましたね。難しかったら歌うのも難しいし、聴き手も一回で覚えられないから、そこはすごく考えてました。
SATOちさんの楽曲が並ぶ今作を聴いたら、そんなサウンドや作曲へのこだわりもしっかり伝わると思います。で、ひとつ、バカな質問したいんですが。バンドやってて良かったことって何ですか?
いろんな人に出会えたことですね。ずっと茨城にいたら絶対に、こんなに人に会えて、人に恵まれることはないですからね。僕は支えられて生きてるので。ファンもそうだし、みんなが支えてくれているのが、本当にありがたいです。今回のツアーでもよく来てくれてるファンの子たちと話してると、やっぱり落ち着くし、“全部行くからね”って言ってくれて、“ありがとう!”って。みんな笑顔なので、すごく嬉しいです。
ツアーで《謡え笑え》を体現できているわけですね。
はい。しんみりするのは絶対に嫌なので、アンコールのMCの時もみんなでバカなこと言って笑ってるし、楽しんでやってます。
最高ですね。5月5日と6日の茨城公演でラストになりますが、残りのツアーに懸ける思いを聞かせてください。
そもそもツアーができるかどうかも危うくて。本当は2月にライヴをやって終わりの予定だったんですが、“ホールだったらできる可能性がある”っていろんな人が動いてくれて実現したツアーなんですよ。関係者や集まってくれるファンの人たちへの感謝の気持ちも込めて、茨城まで突っ走りたいですね。しかも、最後に神様のプレゼントで、予想以上のお客さんに来てもらえることが可能になったので。たくさんの人に観てもらいたいという願いも叶ったから、ぜひ遊びに来てほしいです。
取材:フジジュン
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アルバム『明星』2021年4月21日発売
朱
- 【初回限定盤】(CD+Blu-ray)
- MSHN-094~5
- ¥5,731(税込)
- 【初回限定盤】(CD+DVD)
- MSHN-092〜3
- ¥4,631(税込)
- 【通常盤】(CD)
- MSHN-096
- ¥3,411(税込)
『MUCC TOUR 202X 惡-The brightness world』
4/29(木) 東京・中野サンプラザホール
5/01(土) 神奈川・よこすか芸術劇場
5/05(水) 茨城・ザ・ヒロサワ・シティ会館 大ホール(茨城県立県民文化センター)
5/06(木) 茨城・ザ・ヒロサワ・シティ会館 大ホール(茨城県立県民文化センター)
ムック:1997 年結成。日本人の心のメロディーを大事にしつつ、ロック、メタル、パンク、ダンス、ラップ、ミクスチャー…ありとあらゆるジャンルの音楽を飲み込み、常に新たなサウンドを追求し続け、“MUCC”というひとつの生命体のように、誰にも似つかない音を鳴らし続けている。国内外問わず結成以来、精力的に数多くの箇所、本数のライヴを行なっており、海外でもヨーロッパ・アメリカ・中国・ロシア・南米の計13 か国で公演を約150 本を実施。国内においても日本武道館、幕張メッセ、国立代々木競技場第一体育館などで単独ライヴを開催。また、国内外の大規模フェスにも出演し、大きな反響を得てきた。08 年には北米(34カ所)、ヨーロッパ(18カ所)を回る大型フェスツアー、『ROCKSTAR Taste of Chaos』TOUR にAvenged Sevenfold、ATREYU、Bullet for My Valentine、Story of the Year、As I Lay Dying などとともに参加。日本公演では堂々のヘッドライナーを務めた。世界を股にかけるタフなライヴバンドとして定評もあり、そのパフォーマンスへの評価は高い。MUCC オフィシャルHP
『明星』全曲Trailer【期間限定公開】
『明星』MUCC HISTORY SPOT映像