フレデリック『START UP!!-ロックの
春2021-』ライブレポートーー揺るが
ないダンスロック・バンドとしての矜
持に圧倒

インテックス大阪を舞台に、総勢20組のアーティストが顔を揃えた屋内型フェス『START UP‼️-ロックの春2021-』が3月30日、31日の2日間にわたり開催に。検温・消毒など徹底した感染防止対策を施した会場のもと、久しぶりに生音の熱狂を取り戻した歓喜の時間をレポートしよう。
「会場に入った瞬間、出演者が鳴らすサウンドチェックの音に、音楽が好きだという気持ちを再確認し、誰よりも楽しんでやる!そう思いました。その気持ちが、関西のライブ・シーンをさらに、一歩先に進めることができる原動力となるはず」という、FM802のDJ大抜卓人による力強い開会宣言を受け、トップバッターを務めるフレデリックの名が、WEST UP!! STAGEにこだまする。
フレデリック
のっけからキラーチューン「オンリーワンダー」で会場を熱狂させたかと思えば、「みんな音楽、好き?」と、ハッとするほどシンプルな問いを投げかける三原健司(Vo.Gt)。「すごく当たり前のことを言ってると思う。でも今は、その当たり前が大切ですよね。この景色は1年間あなたたちが作ってつないできたものです。遊び尽くしましょう!」(健司、以下同)と続け、昨年9月に発表した「Wake Me Up」へとなだれ込む。ダンスロックの先頭をひた走る4人の強靭な意思が、歌声に、リズムに、音の隅々まで宿り、ブレないビートごと観客の心に突き刺していくようだ。
フレデリック
「相変わらずフェスは楽しいですね。(ライブの中止が相次ぎ)披露する機会があまりなかったことで、新曲は楽しみ方がわからなかったかもしれない。でも、知ってる/知らないに関わらずみんな楽しんでくれて。音楽をありのままの姿で勝負できて嬉しい!」
フレデリック
そしてこの直前には、FM802春の風物詩『ACCESS!キャンペーンソング』への参加が発表された健司。「今ここで歌いたいくらいの良い曲で! 全部に自分の感情を込めました。そうやって2021年もフレデリックはどんどん進んで、みんなが予想だにしない未来を見せていこうと思い、新曲も作ってきました。後半戦も楽しんでください」と渾身の新曲に続くはずが、高橋武(Dr)がイントロでミスし、場の空気が和む一幕も。「こういうことも新曲として含まれています(笑)。何でも予定調和ではダメ。それがライブでしょ!」と、2度目はしっかりキメての「サーチライトランナー」へ。伸びやかな歌声と疾走感たっぷりのサウンドで踊らせながら、続いては「絶対盛り上がる曲、やっていいですか?」(健司)と自信たっぷりに導いての特大アンセム「オドループ」を! 会場全体が待ってました! とばかりにクラップの嵐が巻き起こる絶景に対しても、「もしかして次のバンドのこととか考えてない? そんなこと関係ないやんな。今鳴ってる音楽を全力で遊ぼうぜ!」と、どこまでも攻めの姿勢を崩さない。
フレデリック
「ただの盛り上げ役で帰るのはカッコ悪いので、新曲をやって帰ります」と、ヒリヒリするような詞世界の新曲「名悪役」でエンドマークを打つ! ポップなデジタル音がかえって哀感を倍増させ、“ただの盛り上げ役”どころか、そこかしこに揺るがないダンスロック・バンドとしての矜持を感じさせる圧巻のパフォーマンスを見せつけたフレデリック。『START UP!!』の幕開けを担った4人の勇姿に、会場は惜しみない拍手を送っていた。
フレデリック
取材・文=後藤愛 撮影=渡邉一生

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