花村想太、中川晃教らが作り出す、ハ
ッピーでかわいさ満点なミュージカル
 『きみはいい人、チャーリー・ブラ
ウン』ゲネプロレポート

ブロードウェイ ミュージカル『きみはいい人、チャーリー・ブラウン』が2021年3月30日(火)よりシアタークリエにて幕を開ける。本作は、1950年に連載を開始し、70年の時を超えて読み継がれているチャールズ・M・シュルツのコミック「ピーナッツ」をもとにしたハッピーなミュージカルだ。
1967年にオフ・ブロードウェイで初上演を果たし、1999年にブロードウェイに進出。日本でもバラエティ豊かなキャスト陣によって上演されてきた。そして今回、個性豊かなキャラクターとキャッチーな音楽で人気を博した作品がシアタークリエに帰ってくる。
初日を目前に控えて行われたゲネプロと囲み取材の様子をお届けしよう。

まずはキャスト陣から意気込みと見所が語られた。
チャーリー・ブラウン役/花村想太
チャーリー・ブラウン役/花村想太:僕は前回、『RENT』という舞台を完走できなかったので、今回は必ず完走したいというのがまず一つです。その上で、開演できるのは当たり前じゃないということをしっかり胸に刻みながら、皆さんに一公演でも多くハッピーを届けられるように、命懸けでやっていきたいと思います。
見所は、僕の声の高さです(笑)。「なんてハイトーンボイスで喋ってるんだ」と思っていただけるんじゃないでしょうか(笑)。
ライナス役/岡宮来夢
ライナス役/岡宮来夢:緊張でいっぱいですが、先輩たちと一緒に頑張って、最後まで完走できたらなと思っています! ライナスのことを皆さんに愛していただけるよう頑張ろうと思っております。ライナスが毛布をどれだけ愛しているかステージ上で表現できるかどうか、僕にとってもライナスにとっても挑戦だと思うので注目していただけたらと思います!
ここで花村から、制作会見で出た「ライナスとの共通点は顔がかわいいところ」という発言に絡めて「見所は顔のかわいさじゃないの?」と茶々が入り、キャスト陣から笑いが起こる。
岡宮は「それは共通点!」と言いながらも「見所は僕の顔のかわいさかもしれない(笑)」と頷き、花村に「(記事の)見出しにしてもらって」といじられていた。
ルーシー役/宮澤佐江
ルーシー役/宮澤佐江:個人的には、1年以上ぶりのミュージカル出演なので緊張してます。スタッフの皆さんとテクニカルチェックをしたり、初日に向けて準備したり、今の時点で感慨深いです。私たち6人がそれぞれのキャラクターを愛し、それぞれのキャラクターになり切って。嘘なく素直に、ルーシーとして生きる日々を楽しめたらと思っています。
サリー役/林 愛夏
サリー役/林愛夏:世界中の皆さんが知っていて愛している「ピーナッツ」という作品を、私たちみんなで素敵に表現できたらいいなと思っています。子供の身体的な動きをたくさん勉強して練習したので、注目して観ていただきたいです。頑張ります!
シュローダー役/植原卓也
シュローダー役/植原卓也:これまでシアタークリエ作品に何度か出演させていただいていますが、キャスト6人だけというのはありませんでした。この人数でこの世界観を明るくハッピーにお届けするのは簡単なことではないと思うので、しっかりと、いい空気感を伝えられたらいいなと思っています。
見所は、曲が一つひとつ本当にポップで愛らしいこと。どの曲もそうですが、OPナンバーも楽しいので、そこが最初の見どころかなと思っています。
スヌーピー役/中川晃教
スヌーピー役/中川晃教:このメンバーは、皆さんキャラクターを纏って、その上でさらに自分の魅力をしっかり封じ込めています。お客様がこの物語にスッと誘われるような、素敵な滑走路がそれぞれのキャラクターの中にあります。
『ピーナッツ』の名作がベースになっているこの物語。実は断片的に進んでいきます。でも不思議なことに、完璧を追求して進化し続ける中に、いつも新しい何かを発見できるんです。私たちにとって深い題材であり、ミュージカルの奥深さも味わわせてくれます。
見所は、そんな素敵な作品に私たちが全身全霊で向かっている姿。そしてかわいらしさが皆さんに届いたらいいなと思っています。
左から 花村想太、中川晃教
続いて、作品のテーマに絡めて「日常生活の中での幸せ」を尋ねられると、花村は「僕は納豆が大好きなんです。宣伝大使になったこともあるくらい。だから納豆を食べてる時です」と回答。
これに中川が「何回混ぜるんですか?粒の大きさは?」と食い付き、「あんまり混ぜないのが好きなんですよね。粒は食べ方によるんですよ。ご飯にかけるとか、焼きそばに入れるとか。この食べ方にはこの納豆が合うかなって研究するのが好き」と筋金入りの納豆好きであることが判明。キャスト陣から驚きの声があがっていた。
「お塩で食べたりも?ちなみに朝納豆?」と掘り下げる中川に、「しますね。砂糖を入れることもあります。できれば三食」と納豆愛を語る。尚も納豆トークを続けようとする中川に「(取材陣)メモしてる人見当たらないですよ!」と笑いながら突っ込むなど、仲の良さを見せていた。
続く岡宮が「僕は歌を歌うのが好きなので、カラオケに行けなくなってからはおうちのお風呂で歌ってます。近所の人には申し訳ないんですが、結構大きな声で歌わせていただいています。あとはこの作品に携わるようになってから、チャーリー・ブラウンの最初のセリフにもあるように、朝、青空の時の清々しい気持ちとかに向き合うようになりました。この作品からハッピーを感じ取っています」と話す。
「ちなみに朝歌うのが好きですか?夜歌うのが好きですか?」という花村からの質問には「わりと夜ですけど、できれば三回」と答え、それを受けた花村が「”天丼”っていうのやってみました」とお茶目にアピール。コミカルなやりとりに、取材陣からも笑い声が上がっていた。
宮澤は「愛犬と戯れている時間が一番幸せです!」と笑顔。
「服が毛だらけになるけど、毛の一本すら愛おしいし、最近お風呂に入れてあげられてなくてちょっとくすんじゃってる姿とか、ちょっとくさいのとかもひっくるめて愛おしくて。愛犬がいるからか、アッキーさん演じるスヌーピーの隣に愛犬の顔が浮かんできちゃいます。こういう気持ちでいつも私といてくれるのかなって。さっき見所を言い忘れちゃったので、そういう見方もあるよとお伝えします!」と、愛犬家ならではの楽しみ方をアピール。幸せそうに愛犬のことを語る姿に、周りのキャストも自然と笑顔になっていた。
左から 林愛夏、岡宮来夢、花村想太、中川晃教、宮澤佐江、植原卓也
林は「悩むんですけど、食べてる時と寝てる時です」とはにかむ。
宮澤が「何が好きなの?」と尋ねると「牛タンとか」と答え、中川や花村も「厚切り?薄切り?」「美味しいもんね」と加わり、ほのぼのしたトークが繰り広げられる。
続く植原が「僕はこう見えて甘いものが好きです」と答えると、キャスト陣から意外だという声があがった。
「本当に毎晩食べてます。帰って、最後は甘いもの食べて一日がおしまい。これが小さな幸せです」と話す植原を見て、花村は「こんなに「こう見えて」って言葉が似合う人いないですね」と驚いていた。
中川は「このカンパニーの日々が幸せです」としみじみ噛み締める。
幸せを感じる場面の例として「想太くんが鼻歌でカッコいいフレーズを……」と話しだすと、花村が「え!?」と慌て、他キャストから笑いが起きる。
「そこに素直に来夢くんとか佐江ちゃんがカッコいい!って言って、自然派生して、僕も一緒にアドリブをしたりして。そういう瞬間に、このカンパニー最高やん!って幸せになるというか」と笑顔を浮かべると、皆が楽しそうに頷いているのが印象的だった。
また、「このメンバーなら、稽古で培ってきたものや空気感をちゃんと伝えられるはず。(花村が挨拶で言っていた)絶対完走したいっていう思いを聞くと尚更思います。稽古場から幸せだっていう実感がありますね」といい話でまとめるも、花村が「でも一番アドリブ入れてくるのアッキーさんです」と苦情を入れる。中川が節をつけて「そんなことないやん♪」と返し、周りのキャスト陣も「それです!」「そこも見所ですね。アドリブ」と口々に突っ込むチームワークの良さを見せてくれた。
最後に花村より、お客様へのメッセージが寄せられた。
「本当に素敵な時間が皆さんをお待ちしていると、胸を張って言えます。皆さんの2時間ちょっとのお時間を僕たちにお貸しいただければ。最高の時間としてお返ししますので、ぜひ足を運んでいただければと思います。よろしくお願いします!」
ここからは、舞台写真を交えて、ゲネプロの様子をお届けしよう。

まず目を引くのは、コミックからそのまま飛び出してきたような、ポップな舞台セット。カラフルでかわいらしい衣装も相まって、『ピーナッツ』の世界に迷い込んだような感覚を覚える。
入れ替わり立ち替わりキャラクターたちが現れ、テンポ良く展開するストーリーは、まるで一冊のコミックを読んでいるようだ。
花村は、不器用で冴えないが優しいチャーリー・ブラウンを、コミカルな演技と抜群の歌唱力で魅力的に表現。様々な悩み事や周りの仲間たちに振り回され、困り顔を見せることの多いチャーリー・ブラウンを愛嬌たっぷりに演じた。
ライナスを演じる岡宮は、秀才肌だが子供らしさも併せ持つ哲学者を好演。メイン曲ではライナスとの共通点として挙げていた顔のかわいさを存分に活かしながら、毛布への愛をユーモラスに歌い上げる。
宮澤は、わがままで口うるさいルーシーを憎めないキャラクターに仕上げている。怒りっぽくて厄介な一面と、ふと見せる友情や優しさ、弟・ライナスとの心温まるやりとりの緩急が心地良い。
サリー役の林は、元気いっぱいな動きと豊かな表情で、勉強嫌いで天真爛漫な子供らしい子供をパワフルに熱演。生意気で口達者な少女をイキイキと描き出している。
植原演じる天才音楽家・シュローダーは、ピアノや音楽、大好きなベートーヴェンに向き合っている時の情熱と、それ以外のシーンの冷静さのギャップが楽しい。
そして、2017年の公演から引き続き出演する中川は、伸びやかで堂々とした歌唱と圧巻のパフォーマンスで存在感を発揮。多彩な曲を迫力たっぷりに歌いこなし、賢くナルシストなビーグル犬・スヌーピーの魅力を存分に見せてくれる。
ユーモラスな掛け合いやコメディ調のストーリーも多い本作。ゲネプロではあるが客席から笑い声が何度も上がっていたのが印象的だった。
「ピーナッツ」に詳しくない方も原作に興味が湧き、原作ファンも作品の新たな魅力に気付けるだろう、ミュージカル『きみはいい人、チャーリー・ブラウン』。
思い切り笑い、癒され、ハッピーな気分に浸って、幸せや人生について想いを馳せることもできる本作を、ぜひ劇場で見届けてほしい。
取材・文・撮影=吉田沙奈

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