実咲凜音&妃海風インタビュー 元宝
塚歌劇団トップ娘役の同期生同士によ
るジョイント・ディナーショーを開催

106年の歴史を誇る宝塚歌劇団の中でも、逸材揃いと謳われる「花の95期」。現在花組トップスターの柚香光、星組トップスターの礼真琴を筆頭に、各組で95期生の快進撃が続いている。
そんな95期生を代表する顔でもある、元宙組トップ娘役の実咲凜音と、元星組トップ娘役の妃海風によるジョイント・ディナーショーが東西で開催される。
ショーのタイトルは、『実咲凜音✕妃海風ジョイント・ディナーショー「My Dear Diamond」』。2021年4月25日(日)に兵庫県宝塚市の、宝塚大劇場の至近に新装オープンした宝塚ホテル(宝寿)、そして、2021年4月29日(木・祝)第一ホテル東京(ラ・ローズ)にて行われる。トップ娘役として活躍した同期生同士ならではの、輝かしいステージが期待される中、実咲と妃海が、特別なショーへの意欲と、互いの魅力を語り合ってくれた。
華やかな要素満載の「プリンセス・ジェットコースター」
ーー同じ宝塚歌劇トップ娘役経験者であり、仲の良い同期生としてもお馴染みのお二人による、ジョイント・ディナーショーという素敵な企画ですが、まずどのようなきっかけでこの企画が?
妃海:宝塚ホテルのオープニングセレモニーの一環として、二人でのディナーショーをというオファーをいただいたのがはじまりです。宝塚ファンの方々なら誰もがご存知の歴史ある宝塚ホテルが、宝塚大劇場のすぐ傍に移転して新装オープンされました。それ自体がとても素晴らしいことですが、その記念に二人でディナーショーをさせていただけるという本当に嬉しいお話で、ぜひやらせていただきたいと思いました。
実咲:それぞれ単独でのディナーショーはさせていただいていたのですが、二人でというのがまずとても新鮮でしたし、二人でやらせていただくからには、二人ならではの個性に溢れたものになるだろうとワクワクしました。
実咲凜音
ーー宝塚ホテルの新しい立地が、もうまるで宝塚大劇場とワンセットで、丸々一帯が夢の国のようになっているので、そこにプリンセスお二人でのディナーショーはピッタリだと思いますが、内容についてはこれから詰めていく形でしょうか?
妃海:いえ、もうほぼ決まりました!
実咲:(妃海を示して)昔から発想力がすごいので!
ーーそうなんですね! 今、お話し頂ける範囲で、ぜひどんな内容になるのかを教えて下さい。
妃海:まずお互いにやりたいことを書き出したんです。せっかく二人が揃うので、ファンの方々はプリンセスにつながるドレス姿をご覧になりたいだろうと思いましたし、お聞きになりたい曲は宝塚の曲だろうと。二人が実際に歌った曲はもちろんですが、宝塚の曲の中で実咲にこの曲を歌って欲しかったな! 聞きたいな! とファンの方が思われている曲もあるでしょうし、私のファンの方々がそう思って下さっている曲もあると思います。そういう曲をメドレー形式でふんだんにお送りしますし、ドレスも様々なものをお見せしたいと思っています。また、せっかくなのでダンスも取り入れたくて。二人が共通にお世話になった、宝塚の一期上の先輩、元宙組の風馬翔さんに振付をしていただきまして、そのシーンもあります。あとは関西出身者同士の二人だからこその楽しいトークと、盛りだくさんに構成しています。笑いあり、ハッピーあり、重厚感ありの「プリンセス・ジェットコースター」という緩急豊かな内容です。
(左から)実咲凜音、妃海風
実咲:「プリンセス・ジェットコースター」?! 今、初めて聞いた!(笑)。
妃海:うん、初めて言ったから(笑)。
ーー素敵なフレーズです!
実咲:こんな感じで、賑やかに話し合ううちにどんどんアイディアが出て。宝塚の曲の中でもお互いに敢えて意外性のある曲に挑戦したりとか、ダンスを入れることもずっとやりたかったものの、一人でのディナーショーでは着替えの関係でどうしても難しかったりしたので、今回二人でやるからこそ実現します。今、妃海も言ったように風馬さんとは音楽学校の時代から、二人共大変ご縁がありお世話にもなった方なので、振付けて頂くならぜひ風馬さんに! と二人共通の希望でした。ご快諾頂けて嬉しかったですね。あとはミュージカルの曲では二人でハモれる曲もご用意していて、二人が揃ったならではのパワーを感じていただけると思います。
ーー本当に盛りだくさんな内容になりそうで、期待が膨らみますが、演出の三木章雄さんもお二人とのご縁がとても深い方ですから。
妃海:私達のことをよくご存知の先生なので、「あれがやりたい、これがやりたい!」と私達が申し上げたことを、全部優しく大きな心で受け止めて下さって。その上で「でもここはこうした方がいいんじゃないか?」と整理もして下さるので。
実咲:そうなんです! 私たちの夢が膨らむのを、見事にかじ取りして下さるのでありがたいですね。
実咲凜音
妃海:宝塚ファンの方なら皆さん絶対にご存知という曲を網羅していますし、また、卒業後に私達を知って下さった方も楽しめる、耳馴染みのある曲で構成していますので、キラキラできる、ハッピーになれる時間になると思います。
素顔の魅力がそれぞれの舞台に通じている
ーーそんなプリンセスお二人が、お互いに感じる魅力はどうですか?
妃海:やっぱり実咲の舞台からは人一倍の気高さを感じます。
実咲:気高い!? 私が!?
妃海:舞台姿すごく気高いよ。言われない?
実咲:初めて言われたかも(笑)。
妃海:私は下級生の頃からずっと感じてた。例えば初舞台のお稽古をしている頃から動じないし、ブレないし、いざ同期の士気が下がった時にはまとめてくれる、一番凜としている人でした。そういう気高さは宝塚時代の舞台でずっと続いていたと思いますし、退団してからはそこに素顔のチャーミングさが垣間見られるようになってきて。笑顔やお芝居もどんどん進化しているので、これからもさらに進んでいくんだろうなと思っています。
実咲:私が妃海に感じる魅力は、舞台で発せられるオーラです。笑顔の中にも「私を見て!」とキラキラ輝く思いが詰まっていて。それはやっぱりこの人が音楽学校時代からずっと持っている、好きなことに懸ける情熱や芯の強さ、想いの深さが舞台にも出ているんです。可愛いものも大好きだし、プリンセスも大好きだしね。
妃海:プリンセス兼アイドル兼女優です!(笑)。
妃海風
実咲:そういう情熱の塊のところがいつも凄いと思う。敢えて引っ張らなきゃ! という訳ではないけれども、ちゃんと引っ張っていってくれるので。
妃海:でも、本当に皆がいっぱいいっぱいになって、体力的にもメンタル的にも限界という時に、泣きながら「やらないとダメだよ!」ってバシッと言ってくれるのは実咲だった。それでバラバラになりかけた皆の心がパッとまとまったのは忘れられない。肝心の時に冷静になってくれるからね。
実咲:そう振り返ると色々な時期を一緒に過ごしてきたんだね。
妃海:それでいてこんなにたくさんの曲を一緒に歌うのは初めてだから、どんな色が生まれるのか楽しみだし、元気をお届けできることだけは確かだと思う。
実咲:二人のステージを観て楽しい気持ちになっていただきたいよね。
(左から)実咲凜音、妃海風
ーー今こういう時期だからこそ、皆さんそれを一番求めていらっしゃると思いますし。
妃海:ぜひパワーチャージしていただきたいです。
同期に対する真っ直ぐな気持ちはずっと変わらない
ーーお二人は宝塚歌劇団でも逸材揃いとして有名な「花の95期」の一員でいらして、今、花組の柚香光さん、星組の礼真琴さんと同期生の方達が続けてトップスターに就任されましたね。
実咲:同期から男役トップが二人生まれたので、こうして「同期生の方がトップになられてどうですか?」と言っていただく機会がとても増えて。「うちの家族のことをありがとうございます」という感覚です。
妃海:そこが95期っぽいと言うか、まさに感覚は家族なので誇らしいんだけど、自分の家族のことを人にあまり絶賛するのも……と言うか(笑)。
実咲:そうそう! ちょっと恥ずかしくて、誇らしい。柚香と礼の二人も全くタイプが違うしね。
妃海:もう全然違う! 組のトップさんは本当に激務だから、二人共体調に一層気をつけて欲しいって、まさに家族そのもの。
実咲:二人だけではなくて、今、どこの組でも同期が大活躍しているので、宝塚を観に行くのがより楽しみです。ずっとこれからも応援して観続けたいです。
ーーさすがは「花の95期生」という絢爛豪華な状況ですものね。
妃海:そう言っていただくんですけど、それもいつの間にか……と言うか。
妃海風
実咲:音楽学校の時には、お互いにまさかトップさんがどんどん生まれるとは想像していなくて。それぞれが自分の目指すものに邁進していましたし、もちろんライバルでもあるのですが、その人の素敵なところ、例えば「お芝居上手いな」「ダンス上手いな」を凄い! と素直に思えていました。それをいつも口にも出していましたね。「あそこ良かったよ!」とか常に言い合っていて。
妃海:それは音楽学校に入った時から変わらないね。綺麗な人には「綺麗だね」って言い続けているし。
実咲:そうそう、ずっと言っている。そういう真っ直ぐな気持ちはお互いにこれからもずっと変わらないと思います。
ーーそんなお二人が創る「プリンセス・ジェットコースター」に乗るのを楽しみにしていますが、では改めて意気込みとステージを心待ちにしている方々にメッセージを。
妃海:こういう時期ですので、私自身も寂しさや不安と言った負の感情を抱くことがどうしても多くて。だからこそ一人ではなく、実咲と一緒にディナーショーができることで、笑顔で2021年を過ごせると思っています。昨年は皆様もなかなか外出がままならなかったと思います。だからこそ、キラキラしたものや華やかなものをご覧になったり、ポジティブになれる歌を聞いたりされるだけで、いつの間にか自然にポジティブなものに気持ちが変わっていくと思います。ですからぜひ笑顔になりに会場に足を運んでいただいて、生のエンタメを皆様と共に創っていきたいと思います。
実咲:これだけご縁のある私達ですが、作品を一緒に創るという機会は意外にもほとんどなかったので、私達もすごくワクワクしています。お客様にとっても娘役二人のディナーショーってこんなに可愛いんだ! 素敵なんだ! と思っていただけるように、幸せな時間を過ごしていただけるように頑張りたいので、ぜひ東西の会場にいらして下さい!
(左から)妃海風、実咲凜音
<プロフィール>
実咲凜音(みさき りおん)
2009年宝塚歌劇団に95期生として入団。可憐な容姿と高い歌唱力で入団当初から注目を集め、2012年宙組トップ娘役に就任。『ベルサイユのばら』のマリー・アントワネット、『王家に捧ぐ歌』のアイーダ、『エリザベート』のエリザベート等、宝塚を代表する大作のヒロインを歴任した。2017年退団後は女優に転身。舞台を中心にテレビドラマやバラエティー番組でも活躍している。近年の主な舞台作品に『屋根の上のヴァイオリン弾き』『ライムライト』『FACTORY GIRLS~私が描く物語』『スクルージ~クリスマス・キャロル』『EDGES』等がある。
妃海風(ひなみ ふう)
2009年宝塚歌劇団に95期生として入団。卓越した演技力と豊かな歌唱力で頭角を現し、2013年『南太平洋』でヒロイン・ネリーを演じ更に評価を高めて、2015年星組トップ娘役に就任。『ガイズ・&ドールズ』のサラ、『こうもり~こうもり博士の愉快な復讐劇』のアデーレ等、多くの作品で活躍した。2016年退団後は女優活動の他、TV『朝だ!生です旅サラダ』に旅サラダガールとして出演中など、活躍の幅を広げている。近年の主な舞台作品に『江戸は燃えているか』『ドゥ・ユ・ワナ・ダンス?』『恋を読むvol.2「逃げるは恥だが役に立つ」』『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』『チョコレートドーナッツ』等がある。
取材・文=橘涼香  撮影=鈴木久美子

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